SAD VACATION

僕はガキの頃からバイクが大好きで街中を爆音たてて走ったり、峠でスピードを競ったり、変な改造をしてうっかり雑誌の取材を受けたりと、ティーンの頃の思い出といえばバイクだった。音楽と一緒で聞いてるジャンルがどうとか乗ってる単車がどうこうと言うより、風を切って乗ってる事が好きだった。スクーターでも1000ccのバイクでもそれは同じ。僕に向かって吹いている風を全身で受けるのが好きだったな。
そんな時かな？俊介に出会ったのは。もう10年以上前の話だ。

ファーストコンタクトは峠なんかで何度か顔を合わせてるうちに。最初の印象は金髪ロングで腰も低く好青年。バイクでの度胸試しもしばしば。結構狂った感じの走りとキタナイ単車（笑）隣町から奴は毎週やって来る。そのうちどうしょもない悪だと解り、お互いすぐ打ち解ける。いつもシンナー吸ってバイクに乗って走り回ってた（笑）奴はコケて骨折してギブスしてまで走ってた。本当にバイクが好きな奴なんだ。走った後は皆でコンビニで缶ビールのんで宴会。楽しかったな～。俊介は平気で地べたに寝てた（笑）ケリ入れて起こしたっけ。罰ゲームでミミズ食ったりもしてたな～。皆でバイクで海水浴にも行った。奴はシンナーのせいで溶けちまった前歯に入れたばかりの差し歯を海で無くしたりして。ヘルメットかぶって泳いだり（笑）
でもいつもこんな僕を慕ってついてきてくれた。

そんな一つ後輩の俊介が先日自分でその人生を閉じた。
泣きじゃくる別の後輩から電話。納得がいかないし受け止められない。近頃は疎遠だったけど、この年末に昔の皆で会おうよって。俊介も僕に会いたがってたらしい。悲しいけど訳がわからない。とにかく会いに行った。小さな箱の中に奴はいた。皆無言だった。こんな形で集合するはずじゃなかった。あのコンビニで寝てる俊介と同じ顔で眠ってた。声掛けたけど起きないんだよ。もう暗くなるから帰ろうって。ケリ入れても起きないんだよ。並べてあった昔の写真といつも着てた大好きなトレーナーが掛けられてて。酔っぱらったいつもの俊介なんだよ。顔が赤くて、額の血管浮いてて。バカ面で口開けて寝てるんだよ。飲み過ぎて寝ちゃって起きないだけだよ。いつもみたいにこっそり置いて帰るから。いつものコンビニと変わらないのに何故こんな人が沢山いてこんなせまい箱で寝てるんだよ。

こんな事書きたく無かったけど、昔の皆の要望と地獄に旅立つ俊介へと僕なりの事実を受け止めた証として。

俊介見てるか？バカやろう。俺ら何年たってもどんなに離れてようが俺ら仲間だろうがよ。何も言わないで先にいくなよ。相談しろよ。他にも道はあっただろうがよ。ヤキも入れられねぇじゃねえかよ。また走ろうってテメーが言ったじゃねーか。
お前の分もとかありきたりな事は言わねえよ。昔から線が細かったからなウチら。お前のおかげで生と死とODについて考えるよ。
地獄で会おうぜ俊介。待ってろよ！

今日は東京にエノッキーワンマンバンドとTHEEE BATライブを見に行く予定だったけどそんなこんなでキャンセル。エノさんごめんなさい。お土産のうなぎパイも買ったんだけどね。しばらく喪に服して家に引きこもります。と言いたいとこだが奴が許さないだろう。今年も最後だけど俊介がいいところ行けるように祈るよ。多分地獄だけどね（笑）

じゃあな俊介。ずっと忘れね～からな。あの輝かしくも最低で最高な思い出をありがとな。