「フレンチアルプスで起きたこと」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」など、人間に対する鋭い観察眼とブラックユーモアにあふれた作品で高い評価を受けてきたスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドが、ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会をテーマに描き、2022年・第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間ドラマ「逆転のトライアングル」見ました。
モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係だった。
めちゃくちゃ面白い‼️好きだわこの映画。明らかにセレブに対して喧嘩を売っているのに、虐げられているはずの底辺ピープルが特権を持つとどうなるか、あからさまに描いているので、セレブや特権階級をこき下ろすだけでなく、お前らだって同じなんだよと貧乏人、底辺ピープルの醜さを曝け出すブラックユーモアにニタニタが止まりません。特に、第1章のファッションモデル業界の空虚さは、たまりません。ファッション業界の酷いルッキズム、くだらない価値観で回る世界であることが露見されているところに監督の辛辣なメッセージが詰まっていて、笑えます。さらに第2章の豪華クルーズ船での富裕層の自慢話と承認欲求に反吐が出る思いが、嵐に巻き込まれたクルーズ船で船酔い多発、嘔吐物オンパレードのくだりに腹抱えて大笑い。金持ちも貧乏人も一緒だよと思いながら船は難破。第3章は、島でのサバイバル。ここで一番役立つのがトイレの清掃レディというのが大逆転でしたね。しかし.とにかくラストのラストまで笑わせてくれました.見事な脚本、演出でした.
☆☆☆☆1/4