こんばんは、鯖野です。
今日は、たまたま面白い記事を見つけたので、ご紹介したいと思います。
今日の話題は、糖尿病についてです。
なんと、驚くことに、あの有名な音楽を聴くことにより、インスリンの分泌細胞を活性化できるというのです!
そもそも、糖尿病とは?糖尿病は、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンがうまく働かず、血糖(血液中のブドウ糖)が増加してしまう病気のことです。血糖値が高いままでは、血管がダメージを受け、合併症を引き起こします。有名なものでは、失明、足の壊死、心臓病などがあります。これらは慢性の合併症ですが、急性のものであれば昏睡状態に陥ることもあります。中高年に多く、遺伝的な影響や生活習慣により引き起こされるⅡ型糖尿病(インスリンが出にくい、効きにくい)、若い方に多く自己免疫によってインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまうⅠ型糖尿病(インスリンが出ない)があります。
前者では食事の制限、運動、必要によってはインスリンの注射による治療、後者はインスリンの注射のみにより治療します。
さあ、ここで「インスリンの注射」という話が出ましたね。注射なので、もちろん痛みもありますし、何より手間もかかります。
そんななか、「新たな糖尿病のコントロール法を開発」というニュースをみつけました。誰もが知るQueenの名曲、We will rock you を聞くことで、インスリンの分泌を活発化させるというものです。ロックンロールが糖尿病患者さんたちの生活を守るものとなる可能性があるということですね!
アメリカだけでも、3700万人が糖尿病です。そんな中、研究者たちは、インスリンの注射の代わりとなる糖尿病のコントロール方法を探していました。ティーバッグのような移植可能なものから、チークパッチまで、インスリンを体に届けられる様々な方法が多くの研究により示されました。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究は、これまでにない、興味をそそられる研究です。
そこの研究者は、カルシウムイオンの細胞内物質への流れをコントロールする大腸菌からたんぱく質を採取し、イオン通路を備えたインスリン細胞にそのたんぱく質を組み込みました。その細胞は、音にさらされたとき、正電荷を帯びたカルシウムイオンを取り込み、さらに中に蓄えていたインスリンが膜と融合して細胞外に放出され、インスリンが体中にいきわたりました。60デシベルの音、低周波数50Hzのとき、最もイオン通路が良く働きます。(60デシベルは、普通の会話、静かな乗用車ぐらいの音です:旭川市HPを参考にしています)もっとインスリンを放出させるには、音を三秒以上再生、5秒以内の一時停止で流します。この音として使われたのが、音楽です。
研究者たちは先ほどの細胞をマウスに移植し、空腹状態でスピーカーの上に乗せ、様々なジャンルの様々な歌を流し、影響を図表化しました。すると、最も良い反応が得られたのが"We will rock you"で5分で70%、15分ですべてのインスリンを細胞内から解放しました。2番目に好反応だったのは、『アベンジャーズ』のサウンドトラックだったそうです。音楽は、ほとんどの人が家で再生する音量である85デシベルで再生しました。
ロックンロールで主に好反応であった一方、ベースが少ない音楽、例えばクラシックなどでは効果が少なかったようです。
音源の上に移植した細胞が直接または皮膚ごと来なければならず、イヤホンやヘッドホンでは効果がないと実験が示しました。周囲の騒音により意図せずインスリンが放出されてしまう心配もないとのことです。放出されすぎも危険ですからね。
この研究は、まだ人間に応用できる段階ではなく、音によるインスリン分泌システムはまだ先の話です。もっと研究が進み、この新しい治療法が実践できるようになるといいですね。この研究を軌道に乗せるには、商業的な関心が必要だと、研究者たちは見ているようです。
この発見は、他のタイプの細胞にも応用ができる可能性もあるそうです。医学は日々研究者たちの下で進歩していますね!
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↑スイス連邦工科大学チューリッヒ校
・THE LANCET Diabetes and Endocrinology
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(23)00153-5/fulltext
・NEW ATLAS
https://newatlas.com/medical/sound-waves-insulin-cells-diabetes/
・旭川市HP
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/271/299/306/d053190.html