こんばんは、鯖野です。フォロー、リアクションをしてくださった皆さん、ありがとうございます。
さあ、前回のまとめと、続きから行きましょう。
前回は、放射線の種類と、原子の仕組みについて解説してきました。放射線とは、粒子が高速で移動するものと電磁波があるのでしたね。そして、放射線に共通するのは電離作用。これは、放射線が大きなエネルギーを持つため、原子核の周りをまわる電子を弾き飛ばしてしまうのです。第一回では触れませんでしたが、電子には軌道があります。各軌道により電子の持つエネルギーが違い、内側の軌道ほどエネルギーは低いです。電子はその内側の軌道から順番に入っていき、最も安定な状態(基底状態)となっています。これにエネルギーを与えると、内側にある電子がエネルギーを受け取ってエネルギーの高い外側の軌道に移ります。これを励起といいます。励起状態ではまだ電子は原子核の作用を受けている状態で、電子の周りをまわっていますが、原子核のひきつける力を上回って電子がエネルギーを持つと、これは電離となるのです。
つづいて、放射線と混同されがちな放射能についてみていきましょう。
放射能とは、放射線を出すという性質のことです。両者は違うものなので、注意しましょう。
さて、よくニュースなどでmSv(ミリシーベルト)という単位を目にしませんか?ここで気になる放射線の単位、放射能の単位についてみていきましょう。
まず、Gy(グレイ)。これは、放射線を浴びたとき物質1kg当たりの吸収するエネルギーです。これを、吸収線量といいます。
次に、Sv(シーベルト)。これは2つの量を表すのに使われます。一つ目は、放射線の種類による影響を考慮に入れたもので、吸収線量に放射線荷重係数という数をかけた数字です。等価線量といいます。二つ目は、人体の臓器による影響の違いを考慮に入れたもので、等価線量に組織荷重係数という数をかけて表します。これは実効線量といいます。すなわち、Svは人の体への影響を表すのに使われます。ちなみに、ヒトは4Svの放射線を浴びると浴びた人のうち半分が死に至ります。(この数字を、半致死線量といいます)。Svは、ヒトの体への影響を表すには大きすぎる単位のようですね。もう少し細かい単位が必要です。ということで、Svの1000分の1のmSv(ミリシーベルト)、1000000分の1のμSvなどが使われているわけです。こちらの方が、よく耳にしますね。
最後に、Bq(ベクレル)。これは、放射能の強さを表すもので、1秒に1回原子核の崩壊が起こることです。1kg当たりの放射能を表すために、Bq/kg(ベクレル毎キログラム)をよく使います。
今日の締めくくりは、ヒトの体への影響です。最初に、放射線は大きなエネルギーを持ち、電離作用を持つと書きました。そのことを意識しておいてください。
放射線を浴びることを被曝といいます。一度に大量に浴びるのは、急性被曝。放射線で影響を受ける場合、急性障害が起こります。これは、DNAが傷つくためです。人の体には、DNAが傷つけられたときにそれを治す仕組みがあるのですが、その仕組みが追い付かないほどダメージを受けてしまうのです。これは、受けた放射線量が多いほど深刻です。不妊、白血球減少、吐き気、嘔吐、下痢などがあげられます。これらの影響を、確定的影響と呼び、ある一定のラインを超えると起こってしまうのです。
それに対し、確率的影響とは、浴びた線量が大きくなればなるほど確率が高くなる影響のことで、がんリスクの増加があげられます。
今日はここで締めましょう。次回は、補足的な説明をさせていただきます。宜しくお願い致します。
もし、誤りなどにお気づきの際は、コメントを宜しくお願い致します。
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