こんにちは、鯖野です。少し時間をおいての投稿となりましたが、よろしくお願いします。
今日は、放射線についての補足と、福島で起こった事故について解説していきます。
まず、一回目の投稿で単位の紹介をしました。Sv、Bq、Gy.... 耳にすることが多いのは、Svだと思います。特にmSv,μSvについては人の体への影響を表すのによく使われるのでした。ところで、実際3μSvと聞いてピンとくる方は少ないのではないでしょうか。そこで、どのような線量でどのような影響があるのか解説していきます。一般に、100mSvからがんのリスクが徐々に高まっていきます。一方、それ以下では「低線量被曝」といい、生活習慣などほかのがんの原因のほうが大きく、比較できないので、100mSv以下ではリスクはあまり認められないということになります。
ちなみに、原子力や放射線を取り扱う作業者の被曝限度は5年あたり100mSvかつ1年あたり50mSvと法律で定められています。
<以上のデータは、環境省HPより>
身の回りでは、どのような被曝があるのでしょう。例えば、CT検査。一回当たり5~30mSvです。これは、撮影する部位や手法により変わります。
<このデータは、量子科学技術研究開発機構サイトより>
実は、私達は普段宇宙から、大地から、食物から、空気から常に放射線を浴びています。日本では、年間平均2.1mSvです。放射線量については、高度、地質などによって異なります。国内でも、地域によって違います。鉱物の採掘地などでも、放射線量は高くなります。
ブラジルのガラパリでは、年間10mSvです。他にも、イランやインドのケーララなどでは放射線量が大きいです。しかし、このことによってがんのリスクが高まるということは報告されていません。
では、このことを頭に入れて福島で起こったことについてみていきましょう。
2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生。三陸海岸はリアス海岸という入り組んだ海岸であるため、津波の規模も増幅され、甚大な被害をもたらしました。
福島原発では、震度6強の揺れ、約13メートルの大津波に襲われ、原子炉を制御する電源を失います。
原子力発電は、放射性物質であるウランの核分裂のときに出る熱をつかって水を熱し、その上記からタービンを回転させて電力を得るという仕組みです。この核分裂の時に出るエネルギーは莫大です。ちなみに、原子爆弾も核分裂の仕組みが使われています。ただし、原発ではこうした急激な反応が起こってしまってはいけないので、原子爆弾よりもずっと濃度の低いウランを使っています。ウランには同位体があり、どちらも使用されているのはウラン235です。ウラン235は核分裂しやすく、ウラン238は核分裂しにくいです。「濃度が低い」とは、ウラン全体の中でのウラン235の割合が低いということです。(図をご覧ください)
ウランが核分裂をするときに放出する放射線は、中性子線です。この中性子線を野放しにしてしまっては、他のウランに攻撃して、続けざまに反応が起こります(連鎖反応)。中性子は、大量の水によって防ぐことができます。これを中性子のスピードを落とす「減速材」として、反応全体をコントロールしているのです。また燃料の間には制御棒というものが挟まっています。これは、中性子を吸収して、核分裂の起き具合を制御します。
非常に熱いため、冷却する必要があるのですが、当時、津波の影響で冷却ができなくなってしまいました。炉心ではウランの崩壊が続き、ますます熱くなっていきます。水はどんどん水蒸気となり、水位が下がって、燃料がむき出しになり高温の燃料と水蒸気が反応して水素が発生しました。容器も圧力や高温などで壊れ、容器の外に水素と放射性物質が漏れ、水素爆発に至ったという経過でした。
次回は、その後の処理と処理水の話題について書いていきます。
長文でしたが、最後まで読んで下さりありがとうございました。
参考文献
福島大学 共生システム理工学類 なぜ、福島第一原子力発電所の事故が起こったのか
http://www.sss.fukushima‐u.ac.jp/phys/why.html
環境省HP
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/portal/qa/a_45.html
量子科学技術研究開発機構
https://www.qst.go.jp/site/qms/1889.html#:~:text=CT%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AB%E3%81%AFX,%E3%81%A7%E3%81%99%EF%BC%88%E8%A1%A81%E5%8F%82%E7%85%A7%EF%BC%89%E3%80%82
『放射線を科学的に理解する~基礎からわかる東大教養の講義』
鳥居寛之 小豆川勝見 渡辺雄一郎 著 丸善出版
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