桜の腹黒日記

ヲタ日記。毒吐きまくり。嫌な方は回れ右!責任は持てません!
…更新不定期中。遡ってふいにアップしてたりします。

GIRAFFE BLUES

2016-06-18 | マクロスF

気持ちのいい日差しが差し込むダイニングで、長閑な本当に長閑な休日の少し遅めの朝食。

「あっ………」
シェリルの瞳から1粒の涙がこぼれた。
涙はシェリルの形のよい頬を伝い、まるで流れ星のように消えた。
シェリルはその涙を悼むようにそっと目蓋を閉じた。
「…………」
そしてお腹を両手でそっと包む。
その姿はアルトには聞こえない歌を聴いているようだった。
だからアルトはただ見守った。
いつもそうするように。
ほどよい温度だったみそ汁が少し冷めたころシェリルは目を開けた。
とたんに涙がほろほろとこぼれ落ちる。
「シェリル?」
アルトは手をのばしシェリルの頬にその指先を添える。
シェリルはアルトの指先の温もりを確かめるように、自分から頬をすり寄せた。
「……何が聞こえた」
「―――とても哀しくて、切ない……でもとても力強い決意に満ちた気高い、そんな歌声が聞こえた気がしたわ………きっとどこかで誰かが大切な人を失くした」
触れた指先からシェリルの感じた哀しみがアルトにも流れ込んでくるようだった。
アルトの脳裏に金髪で碧眼の失くしてしまった相棒の姿が思い浮かぶ。
それはたぶんシェリルの脳裏に浮かんでいるからなのだろう。
「そうか……」
彼のことを思い出すと今もアルトとシェリルの胸はちりちりと痛む。
悲しくて、切なくなる。
とても大切な大切な存在だった。
彼を失ったことが癒されることはないだろう。
それでも残された人たちは生きていかなくてはならない。
その痛みと共に。
でもアルトもシェリルも知ってる。
その哀しみはいずれ痛みと同じくらいの懐かしさと愛しさも与えてくれると。
祈ろう…そうアルトが言いかけた時、シェリルが歌い始めた。
祈りの鎮魂歌。
銀河すべてを優しく包み込み、悲しみを浄化させる歌声。

どこかの銀河の誰かの悲しみが少しでも癒されますように……
強く生きてゆけますように……

シェリルの歌にアルトも祈りをのせる。
歌が、風が、この想いを届けてくれますようにと願ってアルトはシェリルの歌声に耳を傾け続けた。

 

 

 



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