日本の「ゆるい対策」にドン引き 英国に住む日本人が警告 #ldnews https://t.co/Na8L1H7fka
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) March 30, 2020
【谷本真由美】「日本も3週間後、地獄を見る」まるで戦争…欧州に住む日本人の警告 「ロックダウン」中のイギリスから
前略
1月の初めから、個人的な興味で中国の状況をTwitter や動画で観察していた私は、なんとなく嫌な予感がしていました。
ですから、どこに行くのにも病院で使っている消毒ワイプを持参し、手を洗った後に消毒ジェルで手を消毒し、外食するときは椅子もテーブルも全てワイプで拭いていました。
もともとイギリスの飲食店の清掃は十分ではなく不潔なところが多いので、以前からそうしていたのですが、中国の状況を目にしてからは、さらに入念にやるようになりました。
そんな私を、イギリス人の夫や義母は「実に神経質だ」と半ば冗談半分に言い、笑っていたのです。
2月の半ばに子供とその友達と映画館に行った際にも、子供達に店から提供されたクレヨンやテーブル、椅子を全て消毒ワイプで拭き、参加者にも全員にワイプを配布して、触れるところを拭いてから食事をするように言いました。
私の鬼気迫る態度を、他の親たちは若干異様に感じたようでした。以前から変わった人だと思われているので、気にはしませんでしたが。
そもそも、イギリスだけでなく欧州では、食事をする前に手を洗う習慣がないのです。子供達にまで手を洗わせるような親は、中国人や日本人、韓国人、そして東南アジアの人々だけです。そんなことをする人達は「神経質でセコセコした、感じが悪い人間だ」と思われるのです。
首相スピーチに泣き出す人も
ところが、ボリス・ジョンソン首相の3月13日のスピーチにより、私が「神経質な東洋人」扱いされる時は、残念ながら終わりました。
あの瞬間、平和な日常生活は終わりを告げました。
一国の首相が、国民に向けて「あなたの家族にも犠牲者が出る」――つまり「もう我々はあなた達を守れません。弱い人は死にます」 と、はっきり述べたわけですから。
日本では、ボリスのスピーチについて「リーダーシップがあり、日本政府よりはっきりしている」と評価する人も多かったようですが、 イギリス人には泣き崩れる人が出ました。
イギリス人は「欧州の京都人」と言われるほどですから、何事も遠回しに述べるのです。「あなたの家族にも犠牲者が出る」というのは「あなたには死んでもらいます」という意味だったのです。
このスピーチの後、イギリス人は大変なパニックに陥りました。
普段は上流階級特有の慇懃無礼な態度で、ユーモアを交えて話すあのボリスが、 真っ青な顔で冷酷なスピーチをしたのです。
ボリスは、第二次世界大戦中の首相であったチャーチルを自身のロールモデルとしています。しかしロンドンが激しい空襲にさらされる中でさえ、チャーチルは国民を鼓舞するようなスピーチこそすれ、「死んでくれ」とは言いませんでした。
ドイツに包囲され絶体絶命の中、チャーチルが国民に対して述べたのは、
「we shall never surrender」(我々は絶対に降伏しない)
でした。
ところが、爆弾が降り注ぐわけでも、軍に包囲されているわけでもない今のイギリスで、ボリスからそうした威勢の良い言葉は一切出てきませんでした。
イートンを首席で卒業し、オクスフォード仕込みの古典ギリシャ語やラテン語の引用を多用するあのボリスが、レトリックも何もなく「死」について語った――つまり、もうこの国には何の選択肢も残されていない、ということだったのです。
冗談を言う気力もなくなった
いつもなら、厳しい局面でも冗談ばかり言って乗り越えるイギリス人たちの間からも、この日以来ジョークが消えました。
テレビでは、もうコロナ以外のことはやっていません。
普段は有名人の不倫情報や、隣の家の垣根を切りすぎて喧嘩になった、というような他愛もないネタばかりやっているワイドショーも、朝から晩まで深刻な議論しかしていないのです。もう誰一人、余裕も笑顔もありません。
そしてさらに衝撃的だったのが、チャールズ皇太子だけではなく、ボリスや保健相までもが感染してしまったことです。このニュースはイギリスのメディアでは淡々と伝えられました。
もう装飾する気力も、ジョークで切りかえす力もないのです。
この国の人達には。毎日トイレットペーパーの残りを計算しつつ、ワクチンと治療薬が登場することを祈ることだけしかできないのです。
https://news.livedoor.com/article/detail/18040721/
(つづく)