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どこへゆく? アメリカの安全保障

2015年01月09日 00時00分00秒 | 一般愛国者、 ご紹介記事。
     

ご参考までに、・・・
転載、させていただいた記事です

今回の記事は少し古い話題になります。それは、アメリカの安全保障政策についてです。アメリカ国防総省が2014年版4年毎の国防政策見直し(QDR 2014)を公表したのは去年の3月のことですが、この文書の影響力を推し量ることはアメリカの安全保障政策を占う意味で非常に重要です。記事では、これまでのアメリカ国防総省またはアメリカ軍の戦略文書をざっと振り返り、QDR 2014が与える影響について考えていきたいと思います。

さて、QDR 2014の公表以前に、報道や識者の間でクリストファー・レインの主張する「オフショア・バランシング」や、アメリカ陸軍の削減について取り上げられていたので、アメリカはどこに行くのか不安に思われた方も多いと思います。しかし、実際のアメリカの軍事戦略と絡めてお話しなければ、アメリカの意図は測りかねるかと思います。なぜ、実際のアメリカの軍事戦略と絡めないといけないのかと言うと、オフショア・バランシング自体は単なる学説にしか過ぎないし、アメリカ陸軍の削減にしても軍事戦略を見なければ何もわからないからです。実際に策定されている軍事戦略との比較なくして、アメリカの安全保障政策におけるオフショア・バランシングのインパクトやアメリカ陸軍削減の影響を推し量ることはできないのです。

1. これまでに公表されたアメリカ軍関連戦略文書の内容

今回のQDR 2014の公表によって、策定済みのアメリカの軍事戦略と対照させることにより、アメリカの安全保障政策を分析することができるようになりました。ではこれまで公表されたアメリカの軍事戦略に関する文書の内容を見てみましょう。

実際のアメリカの軍事戦略の将来像は、Joint Operational Access Concept(JOAC)、capstone concept for joint operations joint force 2020(CCJO)にまとめられています。この2つの戦略文書はアメリカ統合参謀本部が2011年、2012年に承認し公表したもので、アメリカ軍のあるべき姿について取り上げています。

アメリカ統合参謀本部は2011年に廃止されたアメリカ統合戦力軍の業務の一部を引き継いでおり、こうした将来像を見通す文書の公表もその業務の一つです。

これらの軍事戦略の主要なポイントは、アメリカ軍の前方展開を取りやめる代わりに、アメリカは前方展開していた国の軍事力増強をサポートすると共に、アメリカ軍の能力を向上させることにあります。

アメリカはある程度の規模の戦力をわずかな時間で展開できる能力があり、戦況の変化に応じてそれを増強できるという極めて特異な能力がありますが、この能力を底上げするというものです。

軍種間の障壁を可能な限り取り除き、それぞれ相互に長所を生かし、短所をカバーすることによって、効率的な軍事作戦を遂行できるようにする基本概念(Cross-domain Synergy)の下、如何にして相手国の領域に接近することなく、国益を達成するかが目指されています。

2.QDR 2014に規定されたアメリカの安全保障政策

JOAC及びCCJOの策定を受けて公表されたQDR 2014では、「リバランス(調整)」という用語を多用して、アメリカの安全保障政策が調整期に入ったことを強調しています。ここでQDR 2014の一節を引用してみたいと思います。

“国家の安全保障環境の中において与えられた様々な変化ー地政学的な変化、近代戦の変化および国家財政の環境の変化ーに対して、我々の最新の国防戦略は、幾つかの地域において将来のために効果的な準備をするための、統合軍の集中的なリバランス(調整)を必要としている。

リバランスは、紛争のスペクトルの中の広い範囲に及ぶものである。将来の紛争は、非対称のアプローチを使用するプロキシー・グループ(非国家アクターなどの国家によらない行為主体)に対する複合的な紛争から、大量破壊兵器を備えるとともに接近対処・領域拒否能力の獲得を技術的に進めている国家権力に対する高度な紛争までを含んでいる。

このような様々な範囲にわたる挑戦を反映して、アメリカ軍は将来における様々な紛争に備える条件の下で、全てのスペクトルにおける軍事作戦を可能にする方向を強く強調し、推進するように視点を変えるだろう。

我々の軍隊は、もはや長期間に及ぶ大規模かつ安定的な軍事作戦を行うことはない。我々は10年間に及ぶイラクとアフガニスタンにおける対反乱戦及び安定的な軍事作戦において得た専門的な知見を維持する。我々は将来の要求を満たすために必要になる可能性のある軍事的な能力を再生成する能力を担保する。”

QDR 2014ではリバランスを達成するために、以下の目標を掲げています。

①空軍

アメリカ空軍は全地球規模の戦力投射能力を確立するために、必要な資源を投ずる。戦闘機や爆撃機、特に先進的な防空システムを含む戦闘装備を近代化する。また能力開発の資源を確保するために、多任務に対応できない航空機を退役させる。さらに強制削減が2016会計年度以降も行われて80機以上の航空機を退役させなければならない場合、F-35の調達計画の見直しなどで調整を図る。

②陸軍

アメリカ陸軍における集合的な調整は、陸軍常備軍、陸軍州兵、陸軍予備役全てに及ぶ。陸軍常備軍は戦争最盛期の57万人から44〜45万人に、陸軍州兵は35万8000人から33万5000人に、陸軍予備役を20万5000名から19万5000人に削減する。さらに強制削減が2016会計年度以降も行われる場合、陸軍常備軍を42万人、陸軍州兵を31万5000人、陸軍予備役を18万5000人に削減する。

③海軍

アメリカ海軍は21世紀における脅威に対抗するために、水上艦艇、航空機および潜水艦を近代化する。艦隊がすべての地域そして全ての紛争のスペクトルを網羅する形で作戦行動ができることを保証しなければならない。沿海域戦闘艦(LCS)については32隻までとし、新たな小型水上戦闘艦の開発を模索する。強制削減が2016会計年度以降も行われる場合、原子力空母ジョージ・ワシントンをオーバーホールと燃料交換作業以前に退役させる必要がある。海軍省が10個の空母打撃群を維持するかどうかの決断は、2016会計年度予算案までに行なう。

④海兵隊

アメリカ海兵隊は、最終的に18万2000名の戦力を保持する。これには大使館保護プログラムの海兵隊員900名を含む。強制削減が2016会計年度以降も行われる場合、アメリカ海兵隊の戦力を17万5000名まで削減する。

かなりの規模の兵力が削減されますが、これはイラクとアフガニスタンからの撤退を機に、2つの大規模紛争を同時に戦う能力(いわゆる2.0戦略)を放棄したことによって、兵力を削減することが可能になったために起きています。さらにアメリカ陸軍は、QDR 2010が公表された4年前の時点で師団から旅団への改編を行っているため、削減は容易に進むと思われます。

より深刻なのは、海軍の削減です。予算の強制削減が2016会計年度以降も行われる場合という条件付きですが、原子力空母ジョージ・ワシントンの退役が示唆されるなど、日本の安全保障政策にも影響が出ることは必至であるといえます。

3. アメリカの安全保障政策が調整期に入った理由

なぜ、アメリカはこのような文書を作成し公表したのかを考える必要があります。これには幾つかの理由があると考えています。

①財政的な理由:アメリカは二つの大規模紛争を同時に戦う能力を確保する戦略の下、アフガニスタンとイラクを戦った。しかし、大規模な戦費の支出はアメリカの財政を逼迫させ、アメリカの弱体化に繋がった。

②戦略の喪失と厭戦ムード:2.0戦略の下でアフガニスタンとイラクを戦ったものの、出口戦略を誤った上に当初の目的を見失い、かえって事態が悪化(アフガニスタンではタリバンの再台頭、イラクでは宗派間対立を誘発)、紛争の長期化に繋がった。これにより国内では予備役すらも動員される事態となり、厭戦ムードが広がった。

③対外関係の悪化:当初のアメリカの戦略は、対外関係を用い海外基地を設けてロジスティクスを確立するものだったが、紛争に対して次第に諸外国の支持を失ったため、独自にロジスティクスを確立せざるを得なくなった(アメリカ本土からアフガニスタン本土への直接補給路の確立はその代表的な例)。よって、戦費が増大した。

④アメリカの保守回帰:アメリカの保守回帰の傾向は、アメリカの財政面はもちろんのこと安全保障政策に重大な影響を与えている。大盤振る舞いだった安全保障政策を再編成し、支出を抑制して確固たる財政基盤を取り戻すこと、アメリカ本土の防衛を確立することがアメリカの保守の安全保障政策の要である。

 4. アメリカの戦略の欠如は他人事ではない

アメリカの弱体化の直接の原因は、アフガニスタンとイラクの派兵期間の長期化に伴う莫大な戦費の支出にありますが、この原因、つまりアメリカの弱体化の真の原因は「戦略の欠如」にあったと言えます。

この戦略の欠如は、アフガニスタン戦争の初期段階から、アメリカ指導層内における齟齬という形で見えていました(パウエル国務長官の辞任や、シンセキ陸軍参謀総長の更迭など)。要するに、アメリカはアフガニスタンやイラクの戦争で指導層が混乱し、目的を見失っていたのです。

これは日本にとって対岸の火事であるとは必ずしも言えません。

日本はアメリカのように戦略家と呼ばれる人間が恒常的に安全保障政策を立案するシステムを確立しておらず、その時その時の声の大きい人が確たる理論的な背景や計画もなく、単なる感情や脊髄反射(反応)によって安全保障政策を進める傾向にあります。そういった意味では、自民党政権も民主党政権も変わりはありません。

アメリカのブッシュ政権が戦略を見失い、資源を喪失し、破滅的な方向に向かっていったのと同じ事態に日本がならないとは限りません。何故なら、日本には戦略がないからです。戦略を確立するためには、国益を規定し、それを守るためにどのように国の資源を無駄なく運用するのかを考えねばならないのです。

さて、こういったアメリカの戦略転換に対して、日本はどうするべきかについてですが、まずやらなければならないのは、安全保障政策のすり合わせです。太平洋地域またはユーラシア大陸縁辺部において、責任ある行動をとることのできる国は、日本とアメリカしかありません。米中が戦略対話をするのと同じ密度で、日米も戦略対話をしなければならないのです。そのためには、常に開かれた対外的なチャンネルを持ち続けなければなりません。

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2 コメント

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Unknown (泣き虫ウンモ)
2015-01-09 19:56:04
これを読んだ感想ですが、革新=内向き、保守=内向きですかねぇ。

もちろん、内向きの内容が違いますが。

保守の日本にとっての救いは、前方展開していた国の軍事力をサポートという部分ですかね。

上記のところを利用しながら、軍事力を強化して米国に誤解を与えないように、同盟関係も大切にしないといけないかなぁと。

ティーパーティーに代表されるような、保守系の団体に対するあらゆる意味での教育も必要でしょうね。
財政均衡に拘り過ぎてますので、それだと世界の秩序は守れませんし、米国の経済にも悪影響を及ぼすかなぁと。
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米国経済も (桜 咲久也)
2015-01-09 20:05:06
オバマさんでは期待できないですね(´▽`)~~
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