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【社説読み比べ】南シナ海問題で各紙が中国を批判 中国頼みか、日本が動くか

2015年06月20日 00時00分00秒 | 政治・拡散記事・報道・海外
2015/06/14    
【社説読み比べ】南シナ海問題で各紙が中国を批判 中国頼みか、日本が動くか

南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が猛スピードで進めている岩礁の埋め立て問題が、5月末からシンガポールで開催された今年のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)での主要な関心事となった。

各紙社説も今月に入って、一斉に中国批判を展開している。

 朝日・東京:衝突を回避するよう中国に期待

朝日新聞は、中国の岩礁埋め立てを「即刻中止すべきだ」と批判しているものの、結論部分では、中国との領有権問題の「棚上げ」を提案した台湾にならえと、一気にトーンダウンしている。

シンガポールであったアジア安全保障会議で、中国軍の孫建国・副総参謀長が、軍事目的があることを明言した。

埋め立てについて「防衛上の必要な軍事的要請に応える」とし、建設中の滑走路を「軍民共用」とする見通しも示した。

全く容認できない発言である。この海域の岩礁は近隣国が領有権をめぐり争っている。力による一方的な既成事実化は明らかに国際ルールに反する。埋め立てを即刻中止すべきだ。

ファイアリークロス礁と呼ばれる環礁では、埋め立てによる滑走路が姿を現し、スプラトリーで最大の面積になろうとしている。これらを拠点に防空識別圏を設ける可能性がある。

中国政府が先週発表した国防白書は、陸軍よりも海軍に重点を置くとする海洋重視戦略を明確に掲げた。孫氏の発言はその線に沿ったものだ。

南シナ海への進出には、漁業資源や海底資源の確保に加え、重要海路を支配する軍事力を確立する狙いがあるとみられる。

孫氏は「海洋科学研究」「環境保護」も目的に挙げるが、埋め立ては環境破壊ではないか。他国から非難されても、制裁は受けないとの見通しがあるようだが、それは大国の傲慢(ごうまん)だ。(中略)

この海域で実効支配する島を持つ台湾は最近、領有権争いの棚上げと、資源の共同開発などを提案した。中国との関係で国際協議に加われない立場ではあるが、傾聴に値する。

南シナ海を穏やかな海に戻す努力をすぐに始めなければ、事態は悪化するばかりだ。
(朝日新聞 「(社説)南シナ海問題 中国は埋め立て中止を」2015/06/02)


東京新聞は、中国が発表した国防白書の内容に触れ、「海洋進出をさらに強硬に推し進めようとする戦略」の可能性を憂慮している。その一方で、習近平国家主席に、周辺諸国との紛争回避を主導してほしいと述べ、「『永遠に覇権を争わない』中国を主導してほしい」と呼びかけているが、希望的観測の色合いが強い。

さらに、南シナ海で領有権問題を抱えるフィリピンやベトナムなどを念頭に、白書は「中国の領土主権と海洋権益に対する挑発行為をしている」との認識も示した。

中国の岩礁埋め立てによる滑走路などの施設建設は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議でも喫緊の課題となった。

国際法を重視しない一方的な行動であるとも批判された。言い分はあろうが、不安をあおるのは大国らしからぬ行動だ。

東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国はすでに、南シナ海の紛争回避のための「行動規範」策定に向けた協議を加速させることで合意している。策定と実行こそが急がれるべきである。

中国が「策定には時間がかかる」との立場を示し、平和的な話し合いを通じた緊張緩和に積極的でないように映るのは残念だ。

白書は「軍事的な拡張をしない」と明記し、そうあってほしいが、前回に続き国防費の詳細な内訳は公表しなかった。(中略)

習近平国家主席は「中日友好交流大会」で重要講話をし、日本でも好感をもって受け止められた。習氏は日中が「アジアと世界の平和に貢献すべきだ」と強調した。

軍の突出が懸念された時期もあるが、軍高官の汚職摘発などを通じ習氏は軍掌握も進めつつある。白書の言う「永遠に覇権を争わない」中国を主導してほしい。
(東京新聞 「【社説】中国の国防白書 危険すぎる力の誇示」2015/06/03)

 

毎日:話し合い路線を示唆

毎日新聞は、アメリカと日本のアジア・太平洋地域における政策転換に、中国が「強い関心」を示していると説明しつつ、安倍首相の中国との良好な関係維持に向けた姿勢が、アメリカに比べて消極的だと批判している。

安倍晋三首相が安全保障政策を転換しようとする最大の理由は中国の台頭とみられる。アジア・太平洋地域のパワーバランスの変化も中国の経済、軍事大国化によるところが大きい。日本、アジアの平和と繁栄を維持することが安全保障関連法案の目的なら、長期的視野に立った対中戦略についても論議すべきだ。

当面、中国の動きを抑止することができるとしても将来的に機能するのか。抑止力強化が相手の疑心を高めて軍拡競争に結びつくジレンマに陥ることはないか。それを防ぐために中国との信頼醸成をどう進めるのか。現実的な論議が必要だ。(中略)

中国が最近、発表した国防白書はアジア・太平洋に軸足を移す米国のリバランス(再均衡)政策に加え、「日本が戦後体制からの脱却を積極的に推し進め、安全保障政策を大幅に調整している」と指摘し、日本の進む方向への「強い関心」を示した。(中略)

互いに意図を読み誤り、緊張が高まる事態は避けなければならない。米中間にはそれなりのパイプがある。南シナ海情勢緊迫化を受け、ケリー国務長官が急きょ訪中して習近平(しゅうきんぺい)国家主席や軍首脳部と意見交換したのが一例だが、日中間に十分なパイプがあるとは言い難い。

安倍首相が法案閣議決定後の記者会見で中国が人工島建設を進める南シナ海で米軍との共同行動を取る可能性について問われ、「全く承知をしていないのでコメントのしようがない」と答えたのはいただけない。
(毎日新聞 「社説:安保転換を問う・これからの日中」2015/06/01)

 

読売・産経・日経:東アジアの平和のために、日本の積極的行動を提言

読売新聞は、習近平国家主席が、言葉では「アジアの安全」を掲げなから、「独善的な行動で地域を不安定化させている」と批判し、日本がアメリカやフィリピンと連携する必要を述べている。

アジア諸国などの国防相や軍事専門家らが議論を交わすアジア安全保障会議がシンガポールで開かれた。中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で急ぐ岩礁の埋め立てが焦点になったのは、当然の流れである。(中略)

問題なのは、中国が米国に対峙しようとする姿勢を露骨に表したことである。

中国軍の孫建国副総参謀長は会議での講演で、埋め立ては「完全に主権の範囲内であり、合法で道理にかなったものだ。航行の自由には影響しない」と強弁し、米国の中止要求を拒否した。

人工島の造成についても、孫氏は軍事目的であると公言した。南シナ海での防空識別圏設定の可能性を問われて、「上空での安全がどの程度脅かされているかなどを総合的に判断する」と述べ、否定はしなかった。

国際法の根拠がないまま、南シナ海を「中国の海」として囲い込み、米国の影響力を排除しようという底意がうかがえる。

習近平国家主席は「アジアの安全はアジアの人々が守る」とする新たな構想「アジア安全観」を掲げ、安保秩序の構築を主導しようとしている。しかし、独善的な行動で地域を不安定化させているのは、中国自身ではないか。(中略)

各国の能力向上は南シナ海の安定に欠かせない。日本は米国やフィリピンなどと連携し、中国に自制を促していく必要がある。
(読売新聞 「(社説)南シナ海情勢 人工島を合法と強弁する中国」2015/06/02)

産経新聞は、孫建国・中国人民解放軍副総参謀長の「軍事目的」発言は、「中国の野心を裏付けるものである」と述べている。そして、アメリカやASEAN諸国が相次いで危機感を表明していることに触れつつ、日本も「南シナ海での警戒監視活動について検討」すべきだと、提言している。

南シナ海を軍事支配し、西太平洋での海洋覇権確立につなげるという中国の野心を裏付けるものである。放置すれば、米軍の展開や民間を含む航行・飛行の自由を脅かす中国の軍事拠点や防空識別圏が出現しかねない。

国際ルールを無視した中国の行為は「力による現状変更」だ。地域の安全への重大な脅威となる暴挙を座視することはできない。(中略)

米国を中心に、危機感を共有する日本やオーストラリア、ASEANの関係国は結束し、対中抑止力を強化する道を早急に検討すべきだ。

経済協力などをテコに東南アジアの国を個別の交渉で懐柔しようとする中国には、やはり多国間の協力が不可欠だ。

米国はこの数カ月、人工島建設の即時中止を要求する一方、領海と認めないため人工島の12カイリ(22キロ)以内で米軍の艦船、偵察機を活動させると警告した。

だが、中国は自制のそぶりすら見せず、2年ぶりに公表された中国国防白書では、南シナ海での米国との摩擦を念頭に「海上での軍事衝突」の可能性に言及した。

日本の取り得る手段はいくつかあろう。南シナ海での警戒監視活動について検討に着手すべきときではないか。ベトナムやフィリピンなどASEANの関係国に対する沿岸警備隊への巡視船供与や海軍との共同演習など能力向上支援も有効だ。
(産経新聞 「【主張】南シナ海 対中抑止へ多国連携図れ」2015/06/02)

日経新聞は、今月下旬に予定されている「米ワシントンで閣僚級の米中戦略・経済対話」に、米中間の緊張緩和の期待をかけている。しかし、国防白書から、中国が東シナ海から西太平洋までを手中にしようという戦略を読み取り、日本の「沖縄県の尖閣諸島」で起こり得る軍事衝突を危惧し、中国に自制を促すよう提言している。

中国が埋め立てを続け、米国や関係国が対抗措置に出た場合、「致命的な紛争になりかねない」との声もASEAN内で出始めた。憂慮すべき事態である。

今月下旬には米ワシントンで閣僚級の米中戦略・経済対話が開かれる。安全保障上、大きな問題が生じた際も高いレベルで意見交換できる枠組みである。両国はこれを有効に活用し、緊張緩和の糸口を探るべきだ。

中国は先に発表した国防白書で「海上の軍事闘争とその準備を最優先し、領土主権を断固守る」と強調した。海上衝突を想定した軍事的な準備への言及は異例だ。

白書は中国海軍の戦略について、従来の「近海防御」から「近海防御と遠海護衛の結合」に転換する方針も打ち出した。遠海は主に西太平洋を指す。中国海軍は西太平洋で潜水艦を含む艦船の活動を活発化させる可能性が高い。

中国から見れば、沖縄県の尖閣諸島は東シナ海から太平洋への出口に位置する。中国が白書で述べた戦略を中長期的に推し進めるなら、海洋での摩擦は南シナ海ばかりではなく、東シナ海や西太平洋に波及しかねない。

海上輸送路の安全確保は日本にとって重大な問題である。今後の安全保障法制の議論にも大きく関わる。日本は米国やアジアの関係国と歩調を合わせ、偶発的な衝突につながりかねない一連の行動を自制するよう中国に促すべきだ。
(日経新聞 「(社説)中国は南シナ海の緊張緩和へ自制を」2015/06/02)

反戦平和を重視する左翼系の新聞は、南シナ海での中国の行動を批判するものの、日本は中国を刺激することは避けるよう訴えている。そうなると、アメリカの対中政策に頼ることにしか解決策を見いだせなくなってしまう。

それに対して、日経を含む保守系の新聞は、日本も、中国の拡張主義に対抗する周辺国を支援し、アメリカと協力して中国の横暴を抑止すべきだと述べている。

衆議院で審議中の「安全保障関連法案」は、憲法違反かどうかにばかり議論が集中している。だが本来なら、アメリカとの協力も含めた日本の安全保障をどうするかという論点についても、議論を尽くすべきだろう。もはや中国の脅威に背を向けている余裕は無いはずだ。


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