「罰則強化」で刑事罰も。緊急事態宣言で懸念される「倒産・失業・自殺」。飲食店いじめ、医療崩壊のウソ(釈量子)【言論チャンネル】
「罰則強化」で刑事罰も――緊急事態宣言で懸念される「倒産・失業・自殺」【前編】[HRPニュースファイル2224]
https://youtu.be/y1vvDUm6Tjg
(1月15日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆関連法の改正、罰則の導入
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、菅政権は、1都3県を対象に緊急事態宣言の発出を行いました。(その後、緊急事態宣言は11都府県まで拡大。)
対象の地域は知事による具体的な要請として20時以降の不要不急の外出の自粛、テレワーク出勤で7割削減、大規模イベントは上限5000人、かつ収容率50%以下等が求められました。
さらに政府の方も18日に召集される通常国会で関連法の改正を行う予定です。ポイントは罰則の導入です。(22日、政府は新型コロナウイルスへの対応策として、新型コロナ特別措置法や感染症法の改正案を閣議決定。)
菅首相は、「強制力を付与することによって、より実効的な対策を可能にしたい」と言っています。
事業者が都道府県知事の休業要請に従うなら補償を行い、休業の命令に従わない事業者には「行政罰」を課す方向です。刑事罰なら前科がつきますが、それは見送られて行政罰になりました。
また感染症法の改正としては、都道府県知事による入院の勧告に応じない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科そうとしています。
こちらは、前科のつく刑事罰となっています。
◆狙い撃ちされた飲食業
今回厳しい措置がとられるのが飲食店で、死刑宣告にも等しいという声も挙がっています。
協力金の上限は1日6万円。1ヶ月最大186万円が給付されますが、家賃や従業員の人件費等、それに加えて社会保険料負担を考えればまさに雀の涙です。
飲食店が感染源であるという証拠もありません。経路不明が6割。飲食店の会食は8%。そもそも騒いで感染が広がることに飲食店が責任を負うべきなのかは大いに疑問です。
緊急事態宣言の期間は2月の7日までですが、コロナ感染の状況を見ると通常の季節性のインフルエンザが流行する季節と重なっており、解消できる見通しはありません。
東京都の飲食店数は、2016年の数字で約7万9000軒あるとされ、事業者の12.8%を占めています。
東京都の雇用の8%、就業する男性の6.7%。そして女性の9.8%が飲食店というデータもあります。つまり大変多くの雇用を支えている業界を狙い撃ちにしています。
心配は倒産、失業、自殺です。
◆倒産、廃業、失業、自殺者の増加
新型コロナ関連倒産の件数は、帝国データバンクによりますと1月14日までに全国で887件が確認されています。
そのうちの飲食店は最大の139件で、次に多いのがホテル旅館の72件です。
また、東京商工リサーチによると政府の資金繰り支援で倒産件数はバブル期以来の低い水準ではあったものの昨年、自主廃業や解散した事業所の数は5万件前後で過去最多でした。
コロナ関連の失業は、8日の時点で80836人とされています。
そして失業と関連性がある自殺者も、昨年の10月には前年度比40%も増加し、特に女性は倍増しました。
◆「医療崩壊」の実態
では、なぜ政府は、倒産や失業の危機を知りつつ、緊急事態宣言を発出し、罰則を伴う法改正などを行うのか。その理由として、「医療崩壊」を挙げています。
OECD(経済協力開発機構)によると1000人あたりの急性期病床所、いわゆるベッドの数は、日本は世界一を誇る数字です。
しかも日本は、コロナ感染状況、死者数、重症者の数は欧米に比べて桁違いに少ない状況です。
季節性インフルエンザで日本は毎年1000万人程度の患者が発生しており、関連死を含めると1万人が亡くなりますが、医療崩壊が起きたという話は聞きません。
特に今医療崩壊が叫ばれているのが東京都ですが、東京都のベッドの数は10万6240床あるとされ、医師の数は4万人以上、看護師は10万人以上いるとされます。
しかし東京都が用意している重症者用のベッドの数は250しかありません。1月15日現在、重症者の数は135人です。
重症者135人の段階で、東京都1400万人の自由を制限して経済活動を止めることは明らかにバランスを欠いています。
つまり医療崩壊と言っているのは一部の病院に重症患者が集中しているからです。
「罰則強化」で刑事罰も――緊急事態宣言で懸念される「倒産・失業・自殺」【後編】
http://hrp-newsfile.jp/2021/4012/
◆患者を受け入れられない病院の理由
厚生労働省の調査によると、国内の病院約8400機関のうちコロナ患者を受け入れ可能な医療機関は1700機関あります。
そのうち1度でも新型コロナ患者を受け入れた病院は約8割弱と結構あります。
しかし重症患者を受け入れている医療機関は307で受け入れ可能な医療機関の約18%に過ぎません。
対応可能な病院でも、患者を受け入れない理由は、病院の経営的危機につながるからだとの指摘があります。
コロナ患者を受け入れる場合、完全隔離措置、部屋の配置転換や人員の重点配置、さらに検査や感染予防のコストがかさみます。
一方で、ほかの病気で診察を受ける人を減らしたり、手術件数を減らしたりしなくてはならず、収入が減るのです。
さらに怖いのが院内感染で、発生すれば病院の機能は止まり、多額の損失が発生します。マスコミが騒げば、「報道被害」でたちゆかなくなります。
対策としては国が民間病院を動かすための財政支援です。現在、国は重傷者ベッド一床あたり1500万円の支給(緊急事態宣言地域は、1950万円)をして病院経営をサポートする方針です。
本来であれば、病院の損失補てんのために税金を投じるということは望ましくありません。ただ緊急事態宣言で連鎖的に多額の損失を生むくらいなら理にかない、国民の不安を取り除く観点からも有効かもしれません。
◆日本のコロナ感染はインフルエンザと同じレベル
さらに過剰な対策を止めるということがあると思います。
現在ではコロナは「指定感染症」と分類され致死率が30%から40%のサーズ、マーズのレベル、場合によっては致死率が50%のエボラ出血熱レベルの措置を取っています。
これについて「指定感染症」を外して、季節性インフルエンザと同じレベルの対応をとるべきだと主張する医師は少なからずいます。
日本の場合、今のところ新型コロナの致死率は欧米と大きく違って0.4%程度です。
季節性インフルは0.03%から0.1%の致死率で、今のまま一部の病院に過度な負担をかけて国民全体の経済を止めるということは多くの人を苦しめることになります。
ここまで感染が広がった以上、ウイルスを完全に制圧することは現実的ではありません。つまり季節性インフルエンザ並みの対処を可能として多くの病院で治療ができる体制を整えていく方が国民全体のメリットが大きいと思われます。
こうした声は当然政府にも入っており、感染症法を改正して現在の指定感染症から新型インフルエンザ等感染症に分類を検討するという動きがあります。
医療体制を強化するための具体的な対策を講じることなく、緊急事態宣言をさらに延長し、繰り返しだしていくことには断固反対の声をあげたいと思います。
◆ぜひとも全体を俯瞰した判断を
「コロナ感染、イコール犯罪者」というような扱いが差別を助長するような可能性もあります。
そしてコロナで生活環境が変化することにより、精神疾患が今増えています。昨年民間企業が緊急事態宣言下において全国の医師に尋ねた結果、回答したうち4割が「精神疾患が増えた」ことを挙げています。
教職員でもうつ病など精神的な病気で休職する人の数は昨年度過去最多でした。そして緊急事態では里帰り出産もできにくく産後鬱のリスクも約3倍になったという研究結果もあります。
さらに財政状況もこの1年間で110兆円も政府の借金が増えています。国がすべての企業を支えて国民全体を養うことはできません。
さらに「補償を増やせ」という声に応えるようなことになれば、今後大増税につながることは確実で、なんでも政府にやってもらうというな「大きな政府」に向かっています。
「小さな政府」、つまり政府は社員の雇用を守るために民間の自助努力の邪魔をせずに規制を緩和することに徹することが大事なのではないでしょうか。
ぜひとも全体を俯瞰した判断をお願いしたいと思います。
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
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