消費税「増税」は「税収減」を招く!
2011年4月20日 : 笠巻 健也 氏ブログ転載
http://kasamaki.com/?p=1123
【消費税率引き上げ、2段階案が浮上 まず2~3%】
2011年4月20日 日経
政府内で浮上している消費税率の2段階引き上げ論は、
社会保障と税の一体改革を視野に、時限的に導入する
復興税を数年後に年金など社会保障財源に衣替えし、
恒久化する構想だ。
「第1段階」は、復興需要が本格化する来年度以降、
消費税の税率を現行の5%から引き上げ、増収分を
復興再生債(国債)の償還財源に回す。引き上げ幅は
復興予算の規模次第だが、2~3%が有力視されている。
消費税率を1%上げれば、年2.5兆円の増収効果があると
される。
首相の経済ブレーンで知られる内閣府経済社会総合研究所
の小野善康所長は19日の日本記者クラブの講演で、
復興財源には「消費税がいい」と指摘。国が負担する
財政支出を10年間で15兆円程度と試算したうえで、
「消費税なら2~3年に限り、3%上げれば間に合う」と強調した。
「第2段階」は、復興にメドが立ち、時限措置が切れる
数年後に、消費税の税率を元の5%に戻さずに、さらに
引き上げる。時期は2015年度前後、税率は10%超への
引き上げを想定する声が多い。年金や医療など社会保障の
安定財源とする名目とした恒久税制への衣替えを狙う。
政府は高齢化で急増する社会保障費の安定財源を確保
するため、消費税率の引き上げを軸に、社会保障と税の
一体改革論議を検討中。6月に改革案の「成案」を打ち出す
方針だ。2段階引き上げ構想ならば、当面の復興財源を
賄った後に、必要な社会保障財源を確保できる。
政府が消費税率引き上げの恒久化を狙うのは財政再建目標
の達成も意識している。
<引用以上>
「消費税率を1%上げれば、年2.5兆円の増収効果がある」
と主張していますが、消費税増税での景気悪化による
法人税減収、所得税減収効果を試算しないのは、愚かです。
「増税」=「税収増」ではありません。
実際に、消費税の導入(および金融引き締め)による
景気悪化で、
1990年の税収60.1兆円⇒1994年の税収51.0兆円
(9.1兆円減収)
内訳は、所得税26.7兆円⇒12.6兆円(14.1兆円減収)
法人税18.4兆円⇒12.4兆円(6兆円減収)
消費税4.6兆円⇒5.6兆円
消費税導入により、消費税分の約5兆円増えましたが、
所得税、法人税が約20兆円減りました。
さらに、97年に3%⇒5%への増税がありましたが、
こちらも同様です。
1997年の税収53.9兆円⇒2003年の税収43.3兆円
(10.6兆円減収)
内訳は、所得税19.2兆円⇒9.6兆円(9.6兆円減収)
法人税13.5兆円⇒10.1兆円(3.4兆円減収)
消費税9.3兆円⇒9.7兆円
消費税増税で、消費税分が約4兆円増えましたが、
所得税、法人税が約13兆円減りました。
引用記事の「消費税率を1%上げれば、年2.5兆円の
増収効果がある」という馬鹿らしい試算は、消費税増税
による消費・景気へのダメージをまったく考慮していない、
愚劣なものです。
単純計算ですが、上記の2例とも約5年間で約10兆円減収に
なっていますので、平均すると消費税は、年間2兆円づつの
減収効果があるともいえます。本当は、前年比2兆円づつ
減っているとすると、5年間全体の減収分は
2+4+6+8+10=30兆円なので、平均年間6兆円の
減収効果とも試算できます。すくなくとも、消費税の
「税収増」より、法人税・所得税の「税収減」が大きいのは
確実です。
我が母校の一橋大学では、法学部は勉強しないので、
あ・ほう(阿呆)学部と揶揄されていましたが、
東大法学部卒の財務官僚も簡単な計算ができない阿呆
なのでしょうか。
震災の悪影響をなくし日本国内で景気を回復するためにも思い切って消費税を撤廃廃止するべきでしょう。