
塾経営者から政界入りし、小泉政権時代には教育分野の規制緩和で旗振り役を務めた
下村博文文部科学大臣。その下村大臣が支部長を務める自民党東京都第一一選挙区支部
(板橋区)が、学習塾、予備校を中心とする教育関連企業から多額の政治献金を受け取って
いたことが判明した。
献金者の中には、一月二四日に始動したばかりの教育再生実行会議のメンバーである
「成基コミュニティグループ」の佐々木喜一代表の名前も。露骨な政・業の癒着が問題視されている。
献金の事実を報じた一月二一日付の『しんぶん赤旗』によると、業界からの献金額は
二〇〇五年から一一年までの七年間で総額一二八九万円に上る。
政治資金収支報告書は〇八年以前のものは破棄されているが、過去三年分(〇九~一一年)は
現在も公開されている。ここには「田島教育グループ」「英進館」「木村教育研究会」
「代々木進学ゼミナール」「リソー教育」など塾運営企業がズラリと並ぶ。大半は一年ごとに
六万~一二万円程度の小口献金だが、進学塾「みすず学苑」も経営する
神道系宗教法人「ワールドメイト」(教祖:深見東州氏「本名:半田晴久」)は、〇九年だけで
三〇〇万円を寄付していた。
中には具体的な“見返り”を疑わせる企業も存在する。かつて学校法人にしか認められなかった
学校の設置・運営は、〇二年施行の構造改革特別区域法で株式会社にも解禁。この時「教育特区」の
担当者として文科省と交渉したのが下村氏だ。規制緩和を機に「ウィザス高等学校」
(現「第一学院高等学校」・茨城県高萩市)を設立した「ウィザス」(大阪市中央区)は、過去三年間で
計四八万円(『赤旗』によれば七年間で八四万円)を献金している。
また、一一年に一二万円(同六〇万円)を献金した佐々木喜一代表について、下村大臣は筆者に
対し「教育再生実行会議のメンバーに入って頂く際に(中略)頂いたご寄付は全て返納」していると
述べているが、だとしても佐々木氏が文科相にかけた恩が、委員の人選に有利に働いた疑いは残る
(内閣官房の教育再生実行会議担当室は「ノーコメント」とだけ回答)。
下村大臣が塾業界との癒着を指摘されたのも今回が初めてではない。日本で初めての
株式会社立大学「LEC東京リーガルマインド大学」の法令違反(東京都と文科省からの是正勧告を経て、
一〇年に学部生の募集を停止)が国会で問題視された〇七年一月にも、『アエラ』『サンデー毎日』が
業界からの多額献金を報道。この際に大臣はブログで、「(献金は)いずれも政治資金規正法に則って、
その枠内の中で応援をしてもらっていることであり、適正である。そもそも私は大学在学中に学習塾を
開きその縁で全国の塾経営者の方々から広く浅く支援をいただいている。(中略)かつての仲間を
皆で応援しようという私に対する好意の表れであり、そこに何ら問題点があるわけではない」と反論
している。だが、いくら「広く浅く」であろうと、特定の業界からこれだけの額のカネを集め、結果的に
業界への利益誘導が実現している以上、“適正”な関係とは到底言い難い。
なお、下村大臣は〇四年と〇六年にLEC東京リーガルマインドの広報誌『法律文化』で、同社の
会長と対談。そこでの発言によれば大臣の思い描く「究極の教育改革」とは、既存の公立小中学校を
民間委託し、最終的に独立行政法人化(民営化)することのようだ。
「教育分野では、私立学校が増えるよう新規参入できるようにすることが大切であり、公設民営も進めて
当然ということになります。公立学校の経営を民間の事業者に委託することでサービスアップが可能
だと分かれば、任せればよい」(『法律文化』〇四年九月号)
「私が提唱する究極の形態は、(教育委員会ではなく)現場の学校にマネジメントを任せるべく、公立の
小中学校を独立行政法人に移行させること」(同誌〇六年三月号)
塾業界にビジネスチャンスをもたらす「改革」を一貫して志向・推進してきた下村氏。業界「代理人」の
ような人を大臣にして、教育行政の公正さは保たれるのか。
(古川琢也・ルポライター、2月8日号)
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