普天間めぐり民主ねじれ、沖縄選挙区で候補ゼロ
沖縄県では米軍普天間飛行場の移設を巡る混乱が尾を引き、民主党の参院選の戦いに影を落としている。
29日、那覇市の県庁前。党県連代表の喜納昌吉参院議員は選挙カーから「沖縄に基地は造らせないよ。いかなることがあっても妥協しない」と声を張り上げた。
普天間飛行場を名護市辺野古に移設する日米合意を履行しようとする菅政権に対し、県連は「県外・国外移設」を求め、真っ向から反発している。民主党が今回の選挙区選で唯一、沖縄選挙区に公認、推薦候補を出せなかったのも、こうした対立が影響している。
比例選に出馬した喜納氏も沖縄を拠点とし、党と正反対の主張を訴えている。この日も記者団に「戦う相手は自民党でなく、党中央だ」と明言した。
沖縄県ではこの10年余り、国政選挙や知事選などのたびに、普天間の県内移設の是非が争点となってきた。自民党系や公明党系の候補が県内移設を基本的に認める立場をとるのに対し、県内移設に反対する民主、社民、共産各党と地域政党の沖縄社会大衆党が、「革新共闘」の態勢を作って候補を擁立する構図だった。
しかし、鳩山前首相が県外移設の約束をほごにして辺野古移設に回帰し、問題をこじれさせたことへの反発から、自民党なども「県内移設反対」で足並みをそろえるようになっている。
同党の島尻安伊子参院議員は29日、沖縄市で、「菅首相は日米首脳会談で『辺野古移設を履行する』と言った。とんでもない。沖縄の合意のない移設は無効だ」と菅政権を厳しく批判した。無所属で社民党推薦の新人、山城博治氏と、共産党推薦の新人、伊集唯行氏も県内移設反対の立場だ。
「<RB>四面楚歌</RB><RP>(</RP><RP>)</RP>」の状態だからか、参院選でも民主党の幹部や閣僚は誰も沖縄に入ろうとしない。仙谷官房長官は29日の記者会見で、普天間移設の行方について、「話し合いで解決し、着地点を作る努力をするしかない」と述べただけだった。
自民党の谷垣総裁は山形県南陽市での街頭演説で、沖縄に候補を立てなかった民主党を、「(県民と)信頼関係を取り結ぶことができないと、菅首相が(あきらめて)バンザイしたのと同じだ」と攻め立てた。