文科省が「少人数化推進方針」―
―「教育の質の向上」を優先すべき
http://kurokawa-hakuun.hr-party.jp/2011/01/13.html
黒川白雲氏ブログ転載
本日1/3の産経に「文科省が教育振興基本計画改訂を
1年前倒しで検討――教育支援、少人数学級の実行目指す」
との記事が掲載されています。(以下、一部抜粋にて転載)
文科省が教育振興基本計画改訂を1年前倒しで検討(1/3 産経新聞)
5年ごとに教育政策の基本目標を定めている国の「教育振興基本計画」について、文部科学省が1年前倒しで改定し、平成24年度から新計画をスタートさせることを検討していることが2日、分かった。
経済的な理由で高校や大学進学をあきらめる子供をなくす行政支援拡充や、小中学校の少人数学級推進などを国の計画として盛り込み、早期に実行するのが目的だ。
具体的には、義務教育ではない高校や大学教育も、家庭の所得に関係なく進学できるようにするための支援策をさらに拡充することや、教員の資質向上策推進などを盛り込むことが検討されている。
高校教育では民主党政権がすでに授業料無償化を導入しているが、低所得層の高校生への新たな奨学金、大学生の給付型奨学金などを基本計画に盛り込みたい考え。各地方自治体独自の支援策を推進しやすくする施策も盛り込む方向。
また、自公政権時代から文科省が検討してきた少人数学級についても、現時点では財政難で小学1年だけでしか実施見通しが立っていないため、計画に盛り込むことで、24年度以降の推進につなげたい意向だ。
教育現場に具体的な目標を定め、成果を検証する仕組みを盛り込むことも検討されている。
文科省はねじれ国会で法律改正が困難なため、「教育振興基本計画」の1年前倒しという国会議決を要しない「計画改定」(閣議決定)に持ち込み、予算編成に反映させる考えを示しています。
ここで述べられている「小中学校の少人数学級推進」については、どの政党も賛成しており、父兄の支持率も高く、異論を述べることはタブー視されていますが、果たして少人数
学級の推進が本当に「教育の質の向上」に繋がるかどうかの十分な検証が必要です。日教組は従来、「きめ細かな指導を実現する」として、少人数学級を推進して来ましたが、それが教師の職場確保、失業対策、日教組の勢力拡大を意図したものでないか、
検証すべきです。2011年度予算の特別枠で小学校1年生の35人学級実現のために、教員の定員増加も含め、約50億円の予算がつきました。
今後、全学年の少人数学級推進については更に多くの教員と教室の拡大が必要です。
少人数学級の推進には、莫大な財政支出が求められる分、厳密な効果の実証が求められます。日本大学大学院総合科学研究科准教授の安藤至大氏は、2010年9月17日の日経新聞「経済教室」のコラムで「不確かな少人数学級の効果――学力調査での実証必要」と
して以下の論点を展開されています。
・クラスの少人数化は一見すると児童生徒にとって良いことのように思える(クラスサイズ効果)。
・しかし、教化学習の達成度に関する実証研究では、予想に反してクラスサイズ効果が有為には観察されないか、観察されたとしても非常に小さい。
・少人数学級のメリットが観察されにくい理由の一つは、少人数学級にはクラス内の競争を通じた切磋琢磨が損なわれてしまう可能性がある。
・学級規模を小さくすると、能力が低い子どもの学習意欲が増加する代わりに、能力の高い子どもの努力が低下する効果が存在する。・また、少人数学級化を進めると、必要な教師の数が増えるために新規採用が行われ、それにより教師の平均的な質や経験年数が低下する。
少人数クラスにすることで「落ちこぼれ」は減っても、能力の高い
生徒の「吹きこぼれ(浮きこぼれ)」が促進されると指摘されて
います。
底辺に合わせて「平準化」「平等化」を目指す「日教組」的価値
観だけでは、「ゆとり教育」は改まらず、日本の学力水準を引
き上げていくことは困難です。
幸福実現党は、教育における切磋琢磨や適度な競争自体
は必要であると考えます。
算数(数学)や英語の習熟度別クラスなどは落ちこぼれ&
吹きこぼれ対策にもなるなど、科目や学校、地域の状況に
よっては少人数化のメリットがあるものもあることは想定され
ますが、「一律に少人数化を進めれば、教育の質が向上
する」というシンプルな考えには賛同できません。
教育改革においては「公立学校の無償化」「少人数
学級」など「形」ばかりが議論されがちですが、教育の
質の向上においては「形」ではなく、「中味」こそが大事です。
教育改革においては、「教育の質の向上」を中心的な
価値基準として、「費用対効果」を測定し、最も効果が
高いところに税金を集中的に投入すべきです。
同方針の「教員の資質向上策推進」「教育現場に具体
的な目標を定め、成果を検証する仕組み」については
幸福実現党の政策とも重なっており、まずは最優先で
取り組むべきであると考えます。
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