【南鳥島沖に巨大鉱床、レアアース含有で商業採掘へ政府本腰】
日本最東端の南鳥島沖の深海底でレアアース(希土類)を豊富に
含む巨大な鉱床が見つかり、政府が商業採掘に向けて2011年度
から本格調査に乗り出すことが分かった。
レアアースは次世代自動車やIT製品の生産に不可欠な金属資源。
輸入に依存している日本は、世界6位の広さがある排他的経済水域
(EEZ)内で開発に力を入れており、具体化する第一歩となる可能性
がある。
見つかった鉱床は「マンガンクラスト」と呼ばれ、本州から約1800
キロ離れた南鳥島の周辺にある。1億年前に活動を終えた海底火山
が連なる海域で、特に「拓洋第5海山」の堆積物からはレアアースの
ほかコバルト、ニッケル、銅、白金(プラチナ)などが検出された。
鉱床が広範囲を覆っていることは東京大学と高知大学の合同調査
で、海洋研究開発機構(JAMSTEC、横須賀市)の無人探査機
「ハイパードルフィン」が09年2月に確認していたが、資源量は分か
らなかった。
東京大学生産技術研究所の浦環(たまき)教授らが10年7月、
超音波(エコー)を使ってマンガンクラストの厚さを高精度で計測する
海底調査を世界で初めて実施。
「ハイパードルフィン」に計測装置を取り付け、高さ5千メートル級の
拓洋第5海山を超音波で計測することに成功した。結果の分析から、
周辺の鉱石は2億トンに上ると試算する研究者もいる。
高知大学の臼井朗教授(資源地質学)は「非常に広い範囲に厚く
分布していることが分かり驚いた。資源開発に一歩近づいた」と評価。
「今後は開発技術の確立や、環境影響調査といった商業採掘に向けた
課題の解決が焦点となる」としている。 レアアースは中国が11年上半期の輸出許可枠を10年同期より
35%減らすと発表している。
政府は10年6月に新たな「エネルギー基本計画」を策定。海底資源の
商業化を国家戦略に掲げ、日本近海の鉱物資源の開発・利用を促進
する方針を示した。11年度政府予算案ではマンガンクラストの資源調査
に本格的に取り組むため、6億6千万円を新規計上した。
資源エネルギー庁はとりあえず20年後をめどに商業採掘を実現させる
方針を示しているが「技術の進歩によっては前倒しもあり得る」
(鉱物資源課)としている。
以上、他的経済水域の広さでは、日本は世界第6位で約450万キロ
平方メートル、約90万キロ平方メートルの中国に対して、5倍の広さを
有しており、中国のレアアース禁輸措置等でエネルギー安全保障の
危機に立つ日本にとっては大きな朗報です。
海洋探査に関する科学技術の進歩により、海底資源の鉱物資源開発
が現実になって来ました。しかし、海洋資源開発には、宇宙開発と同じ
く莫大な資金が必要なため、日本政府は国力を挙げて取り組む必要が
あります。 但し、注意すべきは中国や韓国の動きです。
南鳥島は周辺国との資源争いが表面化していませんが、中国は南鳥
島海周辺海域の海底資源に関心を示しており、排他的経済水域(EEZ)
外では激しい争いになることも予想されます。
これまで中国は興味を示していませんが、南鳥島沖海域に巨大海底
資源が発見されたことで、尖閣諸島の時と同じく、「南鳥島は古来より
中国固有の領土だ」と主張してくる恐れもあり、日本が「弱腰外交」を
続けていれば、南鳥島も中国の領海になる恐れがあります。
。