https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180310/soc1803100002-n1.html
「GHQが日本国憲法の草案を起草した」 憲法改正国民投票の前に知っておくべき史実
ケント・ギルバート ニッポンの新常識 2018.3.10
日本国憲法は5月3日の憲法記念日で、施行71周年を迎える。国会では最近やっと、第9条を含む改憲論議が始まった。
相当数の国会議員を含む多くの日本国民が、子供の頃に習った「日本は憲法で戦争を放棄したから攻撃されない」という「平和憲法」の理論を信じている。だが、米国人にそんな話をしたら笑われる。ウイグル人とチベット人には、「現実を見ろ」と諭されるだろう。
もっとも、日本国憲法には「平和憲法」の側面が確かにある。当初は「米国のための平和憲法」であり、近年は「中華人民共和国(PRC)と朝鮮半島のための平和憲法」である。
島根県・竹島が韓国に不法占拠され、北朝鮮の日本人拉致事件が長年解決せず、沖縄県・尖閣諸島周辺に中国公船がわが物顔で侵入する最大の原因は、日本に憲法第9条があるからだ。第9条が戦後の日本から「抑止力」と「紛争解決力」を奪った。
今、世界中で9条改憲を誰よりも恐れているのは、近隣三国の上層部とその手先だろう。前者は第9条の恩恵を失うから、後者は任務失敗で粛清されかねないからである。
現行憲法の制定経緯とプレスコードの話をしておこう。
改憲の国民投票に臨む前に、日本国民が全員知っておくべき史実だが、NHKを筆頭とする日本メディアの大半は、GHQ(連合国軍総司令部)が終戦直後に命じた「プレスコード」から脱しきれておらず、この話題を積極的に報じない。
GHQが批判や報道自体を禁止した「プレスコード」全30項目のうち、日本メディアが3番目に禁じられたのは、「GHQが日本国憲法の草案を起草したこと」である。重大な問題だからこそ隠そうとした。次の改憲世論調査では、ぜひ何割の日本人がこの史実を知っているのか調査してほしい。
マッカーサー元帥が1946年2月3日、民生局長のコートニー・ホイットニー准将に憲法草案の作成を命じ、彼を含む25人の米国人が、命令から10日という短期間で「GHQ草案」を完成させた。日本政府は、この草案を飲まなければ天皇の安全は保障できないとGHQに恫喝(どうかつ)された。この憲法制定経緯は、「ハーグ陸戦条約」という国際法に違反していた。
私は日本国憲法を全否定する気はない。GHQ草案を受け入れたおかげで、昭和天皇の安全と皇室制度が守られた。それだけで大変な意義があった。
また、翻訳調の不自然な日本語にさえ目をつぶれば、(第9条以外の)内容は意外と悪くない。ただし、すっかり様変わりした国際情勢にはもう対応できない。国会も、日本国民も、現実をよく見て考えてほしい。
■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。