朝鮮半島有事:在韓邦人救出に向け、早急に
法改正や特措法の制定を進めよ!
[HRPニュースファイル134] 転載
北朝鮮の最高指導者金正日総書記が12月17日に死去し、
その後継者に金正恩氏が立てられました。
金正恩氏はまだ若く、後継者として北朝鮮に浸透している
とは言い難く、その実績も非常に少ないものがあります。
このことから、金正恩氏が体制固めを強化すべく、規模の
大小にかかわらず、何らかの軍事的行動に出て
「実績づくり」に走ることが危惧されています。
そこで思い起こさなければならないのは
「朝鮮戦争は未だ終わっていない」という事実です。
朝鮮戦争は1953年7月27日発効の停戦協定によって
「休戦」していますが、これは「戦争が終わっていない」と
いうことを意味しています。
どちらかが協定を破棄するような事態になれば、再び
戦争が開始されるリスクを常に伴っており、そのリスクが
低くない以上、朝鮮半島に隣接する日本も万全の備え
を整えていく必要があります。
朝鮮半島が有事に至った場合、日本にとって真っ先に
問題になるのは、在韓邦人(韓国に住んでいる日本人)の
救出です。在韓邦人は長期滞在者・永住者が約2万9000人、
旅行者が毎日約9000人で、合わせて約3万8000人に
なります。
幸福実現党は金正日氏の死去に際し、
「幸福実現News号外」を配布致しておりますが、その中で、
真っ先に
「自衛隊による在韓邦人救出に向けた法整備を行う」こと
を挙げています。
昨年12月、延坪(ヨンピョン)島砲撃事案を契機に、
菅前首相は、半島有事の際、拉致被害者を含めて邦人の
救出に自衛隊の輸送機を派遣する考えを表明しました。
しかし、韓国側から「日本軍に対する韓国人の感情を
度外視した浅はかな発言だ」といった猛反発を受け、
仙谷前官房長官が「頭の体操に過ぎない」と菅氏の発言を
全面否定して、うやむやに終わっています。
事態は何も進展していません。
先日の野田首相と李明博大統領との日韓首脳会談でも、
報道を見る限り、在韓邦人の救出問題は話題にも
上がっていません。
今年のリビア動乱の際も、大使館員は2月25日に脱出
しましたが、現地に7人の日本人が取り残されました。
この期に及んでも、民主党政権は航空自衛隊所属の
政府専用機をリビアに飛ばすことを検討せず、結果、
内6名は韓国企業の手配で出国し、全員が出国したのは
3月5日でした。
こうした経緯を鑑みると、民主党政権は半島有事の際、
国民の生命と財産を守る責任を放棄し、4万人近い
在韓邦人を見殺しにするであろうことは容易に予測が
つきます。
もし、朝鮮戦争が再び開戦という事態になれば、
韓国の首都ソウルは軍事境界線(38度線)から
約50kmしか離れておらず、北朝鮮が短距離弾道ミサイルで
首都ソウルへを攻撃することが想像に難くありません。
北朝鮮が保有しているとされる短距離弾道ミサイルは
「スカッド」と「ノドン」の2つですが、両者とも高性能火薬
を詰めた弾頭、毒ガスを詰めた弾頭(化学兵器)、
ボツリヌス菌などを詰めた弾頭(生物兵器)を取り付ける
ことができます。
核ミサイルでなかったとしても、化学兵器弾頭や
生物兵器弾頭が都市部に落下すれば甚大な被害が
及びます。
その被害は砲撃によるものとは比較にならず、
韓国軍の指揮統制が破壊されることにより、
非武装地帯における韓国軍の作戦行動に大きな
影響を与えます。
そうなれば、韓国政府は非常に大きな混乱に陥り、
邦人救出の協力など望めるべくもありません。
韓国政府は、まず自国民の保護を優先することが
当然だからです。
日本政府にとっても、他国の領土における日本国民を
保護・救出することは基本中の基本です。
米国政府も、米軍を除いても約8万5,000人もいる
在韓米国人の救出を優先させるでしょう。
在韓邦人にとって、最後の頼みの綱は日本政府しか
ありません。
北朝鮮の韓国に対する攻撃が発生した場合、
非武装地帯に近いソウル特別市にある金浦国際空港や
仁川広域市にある仁川国際空港も同時に攻撃を受ける
可能性が高いと言えます。
そこで、ソウルにいる日本人には安全な韓国中部や南部、
例えば釜山広域市や大邱広域市に退避させ、そこから
空路、若しくは海路で日本に向けて脱出するシナリオが
最も現実的だと考えます。
日本に向けて脱出する場合、自衛隊機だけでは
輸送キャパに限度があるため、政府は旅客機などの
民間機をチャーターすることが必要です。
事態が韓国全土に拡大する可能性も十分に考慮する
必要があるため、投入しうる最大限の輸送力を以って、
極めて迅速に輸送することが必要です。
1999年に自衛隊法が改正され、海外の自国民を救出
するために、自衛隊の艦艇や軍用機を使用できるように
なりましたが、「当該輸送の安全について…
確保されていると認めるとき」という条件が付いています
(自衛隊法第八十四条の三)。
しかし、安全な状況であれば、民間機を利用すれば
良いわけで、有事においても自衛隊が救出に参画できるよう、
自衛隊法の改正や
「朝鮮半島有事に係る在外邦人脱出に関する特別措置法」
の制定、事前の韓国との取り決め等が急務です。
邦人救出はスピード勝負です。朝鮮半島有事における
邦人救出については、日本政府は今から迅速に法改正
等に取り組み、何度もシミュレーションを繰り返すべきです。
こればかりはアメリカや韓国などの他の国を頼りに
するわけにはいきません。
日本人の生命・安全・財産を守るのは、日本政府の最大の
責務です。(文責・黒川白雲)
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