タイムリーな中国の空母建造
かりに原子爆弾が中華民族の尊厳を表すものであると言うならば、空母はその夢である
『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙(以下Q) 空母を中国の「海のトーテム」として描いているのは何か出典があるのか?
戴旭(以下A) 空母はもはや兵器という概念を越えて、すでにわれわれの民族の心の中に融け込んでいるものである。中国は最も先に海というものを認識した国であり、最も先に海の門を閉じた国でもあり、中国が海洋による苦しみを嘗めたことは世界のいかなる国よりもひどいものであった。今日、中国にとって海洋の意味はほとんどすでにその命のツナとなっているが、中国はそれを守る力を擁するに至っていない。空母はこのような背景の下で現代の中国人の軍事的トーテムとなっているのである。記号の意味について言えば、今日、中国が空母を保有することはかつて原子爆弾を保有することと同じで、いずれも大国として必ず保有しなければならないものである。現実の軍事的意味から言えば、空母はその本質から言えば軍艦であるが、普通の軍艦ではない。空母を保有するかどうかは伝統的な海軍と現代海軍を区別する根本的な目じるしとなっている。さまざまな現代化した兵器システムに支えられて、空母はすでに海上における多軍種、兵種の合同作戦の中心となっている。現代の技術的条件の下で、空からの攻撃と防衛の能力のない海軍はほとんど生存の能力を持たず、海上を縦横に航行することのできる現代海軍ではなく、海岸を守る「水軍」にほかならない。
世界じゅうのほとんどすべての大国はいずれも海洋から受益し、欧米諸国、日本は言うまでもなく、ロシアまでもここ二百年らいずっと東西両側の二つの港を獲得するために戦ってきた。中国だけは例外である。1950年、「朝鮮戦争」勃発後、アメリカの空母が中国の沿海まで航行してきた。その後、ずっと今日までアメリカの空母は一度も中国の沿海海域を離れたことはない。当時、毛沢東主席はかつて「海上鉄道」といわれる遠洋船団と航空母艦を作ることについて提案したことがあるが、当時の資金力と技術的基盤から、意欲十分あったが力不足だったため、あきらめるほかなかった。
1978年、中国はかつてイギリスから1.8万トン級の小型空母、垂直離着陸艦載戦闘機を購入するか、またはイギリスと共同でそれをつくる計画があったが、イギリス側のオファーが高すぎたためあきらめた。
1988年の南沙群島における海戦の後、空軍の長距離作戦の能力が不十分で、海軍を空から効果的に援護できないという問題が顕在化したため、中国における空母建造を求める声が日ましに大きくなってきた。当時、海軍を主管していた劉華清氏はその後その回顧文の中で、「『第7次五カ年計画』期から(空母建造の問題について)フィージビリティーを始め、『第8次五カ年計画』期からフラットホームと艦載機のカギとなる課題に対し研究を行い、2000年に状況を見て、規格を決めて建造を始める」と言う計画であったことを明らかにしている。空母建造は数世代の中国人がずっと追い求め、臥薪嘗胆して目指してきた夢だと言える。
中国の一空母編隊の総建造価格は100億ドルに達すると見込まれる
Q 以前、中国の空母建造の計画は資金不足のため何回もあきらめてきたが、現在、中国の経済力が全世界でも誇れるものとなり、「カネ」はもう問題にならないと見てもいいか?
A 初めて空母を建造することは研究開発の経費も多く必要とし、建造価格は低くはなく、中国がたとえ6万トン級ぐらいの空母を建造してもその単位価格は20億ドル以上は必要と見られる。
このような空母にさらに戦闘機50機、早期警戒機数機、対潜および救援用ヘリコプター数機を合わせるならば、艦載機の総額は30億ドルを越え、一空母そのものの建造価格を上回るものとなる。一隻の空母の航行にまた多数の駆逐艦、護衛艦、掃海艇と潜水艦で全方位的にガードしなければならず、通常動力潜水艦、空母の場合はまた、タンカーによる給油を必要とし、1つの編隊を形成してこそはじめて戦闘力が備わることになる。現在、ロシアが売っている7000トン級の駆逐艦の単価は6億ドルに達する。こうして計算すれば、1つの空母編隊における航行のガードと補給用の艦艇の建造総価格は40億ドル以上でなければならず、中国の1つの空母編隊の軍艦と艦載機の建造総価格は100億ドルに達すると見られている。海軍の艦艇がいずれも定期的メンテナンスを必要とするため、中国はいつも行動できる空母を保有しようとするなら、少なくとも空母2隻を建造するとともに、それぞれ編隊を形成しなければならない。このように計算すれば、2つの空母編隊は大体200億ドル、即ち1400億元を費やさなければならない。
空母編隊の建造が出来上がった後、使用を確保する保守、メンテナンス、燃料と訓練などの維持費も小さな額ではなく、アメリカの計算によると、それは毎年建造価格の10%を占めるものである。中国の空母建造はもし2隻として計算するならば、毎年の維持費を100億元以上必要とするが、これはここ数年来年間GDPの伸び幅がいずれも1兆元を数える中国経済にとって、大きな額ではない。
中国の空母がデビューすれば「中国空母脅威論」が自然に消えてしまうことになる

Q 中国の空母発展の目的は合法的な海洋権益を守ることにあるが、それは関連諸国のさまざまな不安と憶測を招き、「中国空母脅威論」が一時けんけんごうごうたるものとなるかもしれないが、あなたはこの問題をどう見るのか?
A 現在の世界では9つの国があわせて20隻の空母を擁していることに対し、彼らは「脅威論」を叫んでいないのに、ずっとウワサと推測の段階にある中国の空母がこともあろうに「脅威」となるものとなったのか?中国で本当に戦略的威かく作用をもっているものは大陸間弾道弾、原子爆弾、水素爆弾と戦略的原子力潜水艦であるが、「脅威」を感じている人はおらず、これは不思議なことではないか?
「中国空母脅威論」は西側の勢力が画策した陰謀である。われわれは、「脅威論」をデッチ上げたのは主にアメリカのメディアと軍事学術研究機構で、日本とヨーロッパの世論が束になって調子を合わせていることを承知している。これらの国々はいずれも在来の海洋大国で、海洋からの恩恵を享受することは、少ないもので100年、多いもので500年にのぼり、いずれも在来の海洋における勢力圏があり、どの国もほかの新興の大国が現れて彼らと「いくつかの利益」を分け合うことを望んでいない。しかし、中国が平和、調和という理念と外交政策を実行し、それに中国のトータルな経済力が大きいため、彼らのいずれが強硬な手段をとって中国の海上の道を取り囲んで塞ぐに至っていない。
そのため、心理戦術、どろぼうが「どろぼうだどろぼうだ」と叫ぶやり口で、中国の周辺ひいてはより大きな範囲において恐怖心をあおり、外交と政治の面から中国を自らの殻の中に閉じこめ、みずから海洋に対する大志を持たないようにし、または海洋に向かう歩みをスローダウンさせることは、いくつかの西側のシンクタンクの最も安上がりの選択となっている。
アメリカのメディアはかつて、中国の空母建造計画は「1949-1999年の期間にアメリカに何回も歯止めをかけられた」と自ら認めている。どのようにそれに歯止めをかけられたのか?とりもなおさず「中国空母脅威論」を大いに吹聴することであった。
事実上、西側が力を尽くして「中国空母脅威論」を盛んに吹聴することは、まさに中国の海上勢力の弱さを示すものにほかならない。考えてみて、虎はなんと言っても肉食の動物であるのに、従来から自然界に対する「脅威」となったと非難されたことはない。中国の空母がデビューすればやがては「中国空母脅威論」も自然に消えていくことであろう。
われわれはつねに、軍艦が南中国海に出現すれば紛争を引き起こしかねないのではないかと懸念しているが、まったく反対であり、軍艦がそこにくり出してこそかえって風が静まり、これは虎が山の中に帰ったことと同じである。「中国脅威論」をデッチ上げたものは、ほかでもなく平和をぶち壊し、火事場ドロボウを働こうとする連中である。中国は1大国として、地域と世界の平和を擁護する重い責任を担っており、「中国空母脅威論」は中国の対外往来の心理的障害、われわれの頭を締めつける呪文の輪(『西遊記』に出てくる物語で、観音菩薩が孫悟空を三蔵法師に従わせるため、孫悟空の頭に呪文の輪をはめたことから、そう語り伝えられている。天竺へ仏教の経典を求めに赴く途上で、孫悟空が三蔵法師の言うことを聞かないと、三蔵法師は呪文を唱え、孫悟空の頭の上の呪文の輪をがちっとはめつけ、孫悟空はこたえられぬといわれているほど頭が痛むため、三蔵法師の間違った命にも従わざるを得なかったといわれている)となってはならない。
「北京週報日本語版」より 2010年3月14日
果たして空母が「持つだけ」で済むものだろうか?「そのとき」日本はどうする。。
中国の空母建造・・・本心なんてみせない。深い深い内面に眠る本質が、鎌首をもたげて、目に見える形で立ち上がってくるときがくるだろう。。。 紛れもない本当の中国の姿だが。。。
日本はそのとき、飲み込まれるだけなのか?
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