『"ビーナス誕生"と、"春"』 ヘラトリ.トピックス12
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北海道正心館
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*メル友北海道*
『"ビーナス誕生"と、"春"』
ヘラトリ.トピックス12
『世界の目を醒ます
ヘラトリ.トピックス』
(R12号)
『"ビーナス誕生"と、"春"』
イタリアのフィレンツエに、「ウフィツィ美術館」という、
パリ・ルーブル美術館と並ぶ世界最高峰の美術館がある。
その本館2階に、この美術館を代表する「ビーナスの間」と
でも言うべき部屋があり、そこには、
イタリア・ルネッサンスを代表する画家
ボッティチェリの二つの大作、
『ビーナス誕生』と、
『プリマベーラ(春)』が、飾られている。
『ビーナス誕生』
『プリマベーラ(春)』
読者の皆様も、どこかで一度は、その写真を
ご覧になられた方が多いだろう。
もう20年以上も前、ウフィツィ美術館を訪ねて、
『ビーナス誕生』を目の当たりにしたときの感動は、
今でも忘れられないが、ここ何年もの間、その感動が
消えて無くなってしまいそうな経験が何度もあり、
もう、そのときのことはすっかり忘れていたが、
あらためて「真実」に出会うと、
「自分はそのとき、確かに"本物"の"感動"と出会っていたのだ]
ということが,よくわかる。
その秘密を解く「鍵」は、『ビーナス誕生』の隣に飾られている作品、
『プリマベーラ(春)』の中にある。
"ダ・ヴィンチ・コード"ならぬ"ボッティチェリ・コード"
"ヴィーナス"の起源は、言うまでもなく、ギリシャ神話の
美の女神"アフロディーテ"である。
ボッティチェリは、ギリシャ神話に出てくる
「泡(貝)から生まれたロードス島のアフロディーテ」
を絵にあらわしたのであるが、もう一枚の絵『春』も、
実は、アフロディーテにまつわるある題材をテーマにしていることは、
あまり知られていない。
ボッティチェリは、1445年に生まれ、画家としては、
あのメジチ家(コシモ・ド・メジチの次の代)の保護を受け、
コシモ(ref.竹村健一)の命を受けて、『ヘルメス文書』の
探索・発見・ラテン語への翻訳をやってのけた学者フィチーノ
の親友でもあった。
むしろ、ヘルメス学や秘教的知識への造詣(ぞうけい)は、
フィチーノを凌駕(りょうが)していた、とまで言われており、
彼の作品には、レオナルド・ダ・ヴィンチに劣らず、
様々な隠喩(いんゆ)が隠されていると言われている。
だから、彼の代表作『春』について、美術の教科書に
出てくるような、オーソドックスな解釈を紹介することも
可能であるが、
むしろ歴史的には、それとは違う『秘教的解釈』
(主として「ヘルメス思想」や「エジプト思想」の研究者
から出されてきたもの)が、脈々と受け継がれてきて、
途切れることがなかった。
今日は、「真理」に基づいて、その解釈に触れてみたい。
そっぽを向き、
真理を探究するヘルメス
『春』の画像をご覧いただきたい。
登場人物は、左から、ヘルメス、三人の美の女神
(いわゆるギリシャ神話でいう「三美神」)、
中央に位置するのがアフロディーテ、そして、
その上空に、愛の矢をつがえた天使エロス(キューピット)が
舞っている。
ヘルメスは、なぜかアフロデイーテからそっぽを向き、
ケリューケイオンの杖をかざしして、雲を払っている。
これは、見上げる天空の神秘の世界(真理の世界)を探究し、
その真実を解き明かそうとしていることを示している。
天使エロス(愛の使いキューピット)は、矢をつがえ
(その矢が当たると愛に芽生え、子を宿すと言われている)、
まさにその矢を放たんとしているが、
その弓矢が狙いを定めている相手は、
中央に位置するアフロデイーテではなく、三美神の真ん中にいる
タレイア(花の盛り・喜びの意)である。
アフロディーテは、ただ物憂げにその様子をながめているだけであり、
下腹の様子は妊娠しているようにも見えるが、
実際に子を宿すのは、三美神の中の一人である。
その美神の目は、ヘルメスに注がれており、
彼女に愛が芽生えているのがわかる。
昔から、この「三美神」という存在が、
どうしてもよくわからなかった。
ギリシャ神話を起源として、よく中世や近代の絵画にも登場するが、
現存するギリシャ神話では、単に「アフロディーテの召使い」
ということになっており、絵画の中で示されている存在感からは、
ほど遠い。
しかし、「アフロディーテ」というのは、当時、
「美しい女性」、或いは「美の女神」をあらわす「一般呼称」
であり、「特定の個人をあらわす「固有名詞」ではなかった」
ということがわかれば、納得がいく。
「"女神にも比肩される女性が三人いた"ということが、
後々神話となっていった」
ということであれば、すべてに筋がとおるのだ。
「エロスとプシケー」、そして、「オフェアリスとイシス」
面白いのは、この「解釈」が、何をベースにして
生まれてきたのか、ということである。
これらの解釈が一様にベースにしているのは、
ヘルメス思想史上も重要な位置づけにある、
ローマ時代の作家アプレイウスの作品
『黄金のロバ(変容)』である。
「ボッテイィェリは、明らかに『黄金のロバ』から
インスピレーションを得ている」というのが、
彼らの一致した主張である。
そして、この『黄金のロバ』の内容は、何から
構成されているかというと、主として、
「エロスとその妻プシケーの遍歴の物語」そして、
「オシリス(ハッピー・サイエンス的にはオフェアリス)と
イシスの神話」(とりわけ「イシスの秘儀」)
の二つから、構成されているのである。
神話(とりわけギリシャ神話)というのは、常に、
時の権力者や後世の意図によって、改変されるものである。
しかし、「真実」というのは、どんなに取りつくろっても、
どこかで必ず明らかになってくるのである。
20年前のウフィツィの感動は、やはり本モノだった。
私は、間違いなく、ロードス島の美の女神「アフロディーテの誕生」
を観ていたのだ。
ギリシャ神話上のアフロディーテには、「様々な逸話が流れ込んで」
おり、「明らかな二面性がある」というのは、
昔からつとに指摘されていた。
何年か前に、「アレキサンドリア展」が日本全国に転戦して
開かれたとき、神戸で漸くそれをつかまえることのできた私を、
新幹線の出発時刻までのわずかな時間を使って、
友人がそこに案内してくれたことがあった。
展示物の中には、石に刻んだレリーフで、
「サンダルでエロスを折檻(せっかん)するアフロデイーテ」
というのがあって、その凄い形相に苦笑しながら、
友人と無言でその場を立ち去ったことを、今でもよく覚えている。
その「アフロディーテ」と
「ボッティチェリの描いたアフロディーテ」は、
あまりにも違いすぎていた。
しかし、今となれば、すべては納得できる。
全知全能の神の下に、すべては必ず明らかにされる。
真理の灯火(ともしび)から、何人も逃れることはできないのだ。
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