理想国家日本の条件 自立国家日本 日本の誇りを取り戻そう! 桜 咲久也

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香港高裁と北京政府が激突

2019年11月23日 00時00分00秒 | 政治・拡散記事・報道・海外

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13437.php

2019年11月21日(木)13時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長

マスクをしてデモに参加する香港市民(11月14日、中環にて) Athit Perawongmetha-REUTERS

香港高裁が「覆面禁止令」は香港基本法に違反するという判決を出した。それに対して全人代常務委員会は基本法の

解釈権は全人代常務委員会のみにあるとして香港の司法を激しく批判。対立構造の原点を解剖する。

「覆面禁止令」とは

このコラムを読んでくださる方の中には、ご存じない方はおられないとは思うが、念のため、「覆面禁止令」とは何かを

ざっとおさらいしておきたい。

今年10月4日、香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は「緊急状況規則条例」(緊急条例)を発動し、デモ参加者

のマスクなどの着用を禁止した。顔を何らかの形で覆い、見えなくすることを禁止する緊急立法を発布したのである。

緊急条例はまだイギリス統治時代の1922年に制定されたもので、1967年5月6日から同年12月まで香港で闘われれた

「67暴動」の時に発動されて以来、約半世紀ぶりに発動された。「67暴動」は文化大革命の流れの中で、中共側が反英

運動として起こしたものである。林鄭月娥は記者会見で「覆面禁止令」の目的は「暴力行為をやめさせるためだ」と

述べている。

香港高裁「覆面禁止令違憲」判決に中国猛反発

香港の高等法院(高裁に相当)は18日、「覆面禁止令」が香港基本法に違反しているとの判決を下した。これに対して

中国政府が猛烈に反対している。

中央テレビ局CCTVは、例によって噛みつくような勢いで、香港の司法には香港基本法に対する解釈権はなく、全人代

(全国人民代表大会)常務委員会にのみ、その権限があると繰り返したが、11月19日付の中国共産党機関紙「人民日報」

傘下の「環球時報」も

また「全人代:香港高裁の判決は基本法と全人代関連規則に合致しない」というタイトルで香港高裁を糾弾している。

 

中略

CCTVは、多くの組織による香港高裁判決への糾弾として、あらゆる角度から繰り返し繰り返し、激しく報道した。

ご参考のために、その中の一つである香港法律界の意見をご紹介しておこう。そこでも「中華人民共和国憲法第67条に

より、法律の解釈権は全人代常務委員会にある」と規定されていることを強調している。

今回のデモの真因は香港司法と北京政府との対立構造にある

9月24日付のコラム「香港最高裁・裁判官17人中15人が外国人――逃亡犯条例改正案最大の原因」にも書いたように、

そもそもデモのきっかけとなった「逃亡犯条例改正案」は香港の最高裁判所に外国籍の裁判官が多数を占めていること

にあった。

香港の司法は高等裁判所も外国籍裁判官によって占められていて、北京政府と対立構造にある。おまけに最高裁判所

よりも驚くべき現実があり、高等裁判所にはアメリカ国籍の裁判官さえ複数存在し、アメリカ政府に有利な方向に司法

判断をする可能性さえ否定しきれないのだ。

そのため北京政府は早くから全人代常務委員会の権限を最大限に駆使して、香港司法の力を弱めようとしているが、

今般の香港高裁の判決は、香港司法弱体化を狙う北京政府の格好の攻撃材料となるだろう。

香港最高裁であっても糾弾の対象となろうが、ましてやその下にある香港高裁の違憲判決など必ず撤回に追い込むのが

北京政府の決意で、香港司法はこのたびの判決により、弱体化加速を余儀なくさせられていくにちがいない。

なお、香港司法と香港デモの構造に関しては、拙著『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』で考察した。

 


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