TPPは単なる経済的枠組みではなく、
ISD条項は日本の投資を守る盾である
【幸福実現党のこまいぬ】佐高芳行 TPPは単なる経済圏ではない
ISD条項は日本の投資を護る盾
佐高芳行氏のブログ転載
本日もまたTPPについて以下の訴えを市川駅前で
述べさせていただきした。
11月30日(水)TPPは単なる経済的枠組みではなく、
ISD条項は日本の投資を守る盾である
2011.11.30
今月11日に民主党野田総理はTPPへの参加を表明いたしました。
このTPPについては未だに日本を二分する状況もあり、
これが私たちにとってプラスであるかマイナスであるか
皆さんそれぞれご意見はあると思います。
しかし、結論から言えばわたしはTPP参加は賛成です。
TPPについてはISD条項について
「日本の富を奪うための毒薬条項だ」という方も
いらっしゃいます。しかし、本当にそうでしょうか。
ISD条項とは投資家を保護するための条項です。
日本は対外投資が約8,000億ドルある国であり、日本に
対する投資は2,000億ドル。実に日本からの投資に対し、
日本への投資が1/4であり、圧倒的に対外投資の方が
大きい国です。
日本の投資を守るためにもISD条項は必要ではないでしょうか。
特に今後TPPに途上国が参加してくることを想定しても、
例えば日本企業が多額の投資をしたものに対し、
「明日からその設備を接収する」といわれる可能性も
ある訳です。
その無茶な言い分に対し、ISD条項で守らなければ
日本企業の投資を守ることが出来ません。
よくTPP反対論に出されるのがカナダでPCB廃棄物を取り扱う
米国企業がカナダ政府を相手にISD条項を適用させ、巨額の
賠償金をせしめたというもの(S.D.マイヤーズ事件)です。
これは「ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理
をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクル
する計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から
米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。
これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に
従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの
賠償を支払わなければならなくなった。」といわれて
います。
しかし、現実にはこの問題は米国のPCB廃棄物処理業者
がカナダからPCB廃棄物をアメリカに輸送しようとした
ところ、同業のカナダ企業の利益のためにカナダ政府に
邪魔をされたというのが実情なようです。
そもそも有害廃棄物の輸出入を規制したバーゼルは
有害物質の輸出入を禁止しているわけではなく、締約国
へ有害廃棄物を輸出する場合は輸入国の同意が必要と
なっており、この場合は、米国政府の同意を得れば
条約には反しない訳です。この件でカナダ政府が訴え
られて、負けたのは米国政府側が同意しなかったから
ではなく本来必要のない規制でカナダ政府がアメリカの
PCB処理業者を縛ったことにあると考えられます。
また、このような不利益を受けたにも関わらず日本の
TPP参加表明により即座にカナダとメキシコがTPPへの
参加を決定したことを見ても本当に国を滅ぼすような
不利益な条項であるはずがないと考えられるでしょう。
「有害物質埋め立て事件」で1,680万ドルの賠償金を
支払ったメキシコも同様です。
関税撤廃、公正な取引(
知的財産権の保護、取引ルールの明確化)を標榜するTPPにも
いずれ中国が参入することになります。それはTPPでアジア
の中心的な国を囲い込んでしまったら中国も参加せざる
を得ないためです。
2010年2月に中国の全人代で決定された「国防動員法」は
中国国内で有事が発生した際に、
全国人民代表大会常務委員会の決定の下、動員令が発令される
国防義務の対象者は、18歳から60歳の男性と18歳から55歳の
女性で、中国国外に住む中国人も対象となる
国務院、中央軍事委員会が動員工作を指導する
個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて
徴用される
有事の際は、交通、金融、マスコミ、医療機関は必要に
応じて政府や軍が管理する。また、中国国内に進出している
外資系企業もその対象となる
国防の義務を履行せず、また拒否する者は、罰金または、
刑事責任に問われることもある
というものであり、
個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて徴用される
しかも
中国国内に進出している外資系企業もその対象となる
のです。
一旦中国が認定したら日本企業が出資したもの、中国現地
で買った利益が全て奪われてしまうのです。
皆さん思い出してください。昨年の尖閣諸島漁船衝突事件で
中国は「船長を返せ」といきなりレアアースの禁輸措置を
取ったり、戦前の遺棄化学兵器処理事業に携わっていた
フジタの社員5人を拘束しました。
漁船船長の引渡しをした菅内閣は決して許してはなりません
が、あの漁船船長を引き渡さなければフジタ社員5人は
おそらく解放されなかったでしょう。
このような無法なことをする国が現実にはあります。
当面中国が入って来ることが出来ないTPPですが、いずれ
FTAAPにこのTPPの仕組みを導入することになるでしょう。
中国もこの規律に従う必要が生じ、そしてこのまま
受け入れたときに中国共産党の支配体制は崩壊せざるを
得ないことになるのです。
これは新しい冷戦であり、今回の冷戦は前回と違い
アメリカには単独で戦う力は無いのです。
残念ながら巨大な老鷲は失墜します。その時にアメリカを
支える国が必要です。アメリカと共同でアジアの新秩序を
形成しなければならないのが日本であるわけです。
かつての冷戦よりアメリカの体力は落ちており、また
中国の目はストレートにわが国に向かっている以上、
今までのように憲法9条だけで国が守れるというような
甘ったれた国家であることは許されません。
日本は自主防衛をきちんとしながら自らも中国の覇権主義
と向き合っていかなければなりません。
くれぐれも、TPPというものは単にアメリカと日本との
二国間協議などではなく、TPPに参加するか否かはこの
東アジアを中心とする秩序形成に日本が参画するか、
傍観するかの大きな、大きな決断であるということを
知っていただきたい。
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