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【日本の解き方】強国の動きに日本は留意せよ “裏技”で4期目に入るプーチン氏、任期制限を撤廃させた習近平氏
2018.3.24
中国で国家主席の任期制限撤廃が決まり、ロシアではプーチン大統領も通算4回目の当選を果たした。中露の政権が長期化するなかで、政局が不安定化しそうな日本はどう対応すべきなのか。
まず、中露、そして米国の社会体制を復習しよう。シンクタンクのエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが世界167カ国を対象に発表している民主主義指数をみると、2017年は中国が139位、ロシアは135位、米国は21位だ。ちなみに日本は23位である。
中国は社会主義体制で一党独裁だ。憲法には、共産党の指導を受けるという規定があり、憲法より共産党の方が上位になっている。軍隊も共産党の軍隊である。これまで国家主席の任期は2期10年までと定められていたが、共産党が憲法より上位にくるため、憲法改正して国家主席の任期をなくすことは難しいことではなかった。
ロシアは共和制とされているが、実態は中国と並ぶ独裁主義国家である。ただし、ロシアの憲法はフランスをモデルとしており、2期12年が大統領の上限である。プーチン大統領は、00年から08年までの2期を務め、首相に転じた後、12年に再び大統領になり、6年となった任期を務めた。そして今回の大統領選で勝利して4期目に入る。
プーチン大統領は2期12年の憲法上のルールを守っているが、一度大統領を退いた後に再び大統領になるというギリギリの「ルールの範囲内」である
米国は中露に比較すれば、はるかに民主主義国家である。大統領の任期は2期8年と憲法によって決められている。これまでの歴代大統領のうち、連続でなく務めた大統領はグロバー・クリーブランドだけである。22代の1885年から89年と、24代の93年から97年までの合計8年にわたり大統領を務めた。
中国は憲法上の主席任期の規定をあっさりと改正して任期を撤廃し、ロシアは2期というルール内でありながら再選するという裏技で3期以上にし、米国だけは2期が上限でありそのルールを守っている。こうしてみると、民主主義のお国柄は、指導者の任期に表れているといえる。
中露で、国家元首の「皇帝化」「任期長期化」が進むと、外交政策や安全保障でも「強権国家化」が進むだろう。実際、中国の習近平主席は「海洋強国」を掲げており、プーチン大統領も新型大陸間弾道ミサイル(ICMB)開発で覇権主義を明確にしている。
日本はどうかといえば、米国と同様に民主主義国家である。戦後の1人当たりの首相の平均在任期間は808日(2・2年)しかない。最長は佐藤栄作氏の2798日、次いで吉田茂氏の2616日、その次は今の安倍晋三首相の2280日(3月23日現在)。6年以上やって、中露米に対抗できるかどうかといったところだ。
財務省の公文書改竄は、大きな国内問題であるが、世界はもっと動いている。財務省の問題なので財務省解体、行政の信頼を失ったので消費増税中止で対応し、世界の強国の動きにもっと留意しなければいけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)