【手を引く米国】
2014/05/04
高木 よしあき氏 ブログ転載
米国のヘーゲル国防長官は、ウクライナ問題でのロシアの行動を受け、将来的に
ロシアの脅威が高まるとして、NATO加盟国に国防費の増額を求めました(※)。
政治家として万一の事態に備えることは理解できますが、ロシアの政治や経済の状況を
考えれば、喫緊の課題とは思えません。
むしろ米国がNATO加盟国に国防費の増額を求めた背景には別の理由もありそうです。
米ハドソン研究所の日高義樹氏によると、米国は2011年に成立した予算管理法によって、
今後10年間にわたり連邦予算が毎年10%ずつ削減されることが決まっており、軍事関連
予算も10年間で1兆ドル以上削られるとのことです。
これにより米国は、今までのように潤沢な予算でNATOに関与できないので、ロシアの
脅威を煽ることで、自分たちのことは自分たちで守るように促しているのではないでしょうか。
しかし、一党独裁という統治の体制や、近年の急速な軍備拡大などを鑑みれば、将来的な
脅威は中国であることが明らかです。
ですが、欧米にとって、中国は地理的に遠いため現実的な脅威とは認識しづらい面があり
ますし、世界経済を牽引していると目されていることから決定的な対立を避けたい思惑があります。
欧米がロシアとの対立を先鋭化させることは、ロシアと中国が手を組むという道を作るようなものです。
これは、世界にとって最悪のシナリオです。
欧米が中国と融和的な状態で、かつ対中国でロシアと組めないということは、日本としても
外交上たいへんな痛手となります。
※:5月4日付読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140504-OYT1T50041.html?from=ycont_top_txt
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