今なぜ台湾で「懐日映画」が大ヒットするのか
戦後70年、無視されてきた「人間の歴史」
台湾で今年最も話題を集めた映画の一つが、終戦後に台湾から日本に引き揚げた人々を追ったドキュメンタリー映画「湾生回家」である。
「湾生(わんせい)」とは、戦前、台湾で生まれ育った日本人のことを指す。映画の日本語タイトルは「故郷-湾生帰郷物語」。ドキュメンタリーとしては、興行収入1億円を超える台湾で異例のヒットとなり、来年には日本でも公開される予定だ。
この映画は、「回家」という言葉が示すように、湾生たちは日本に帰った後も、忘れようとしても忘れられなかった「台湾=故郷」に、戦後70年を経て、深い感慨とともに戻っていく物語を描く。映画のなかでは、高齢に達した湾生たちが、それぞれの「故郷」で懐かしい人々や景色と再び出会い、台湾への愛惜や戦後の人生を語り尽くすところが見どころだ。
「懐日ブーム」を担うのは20代、30代
なぜ、湾生たちを取り上げた映画が台湾でヒットしたのか。それは、近年台湾で広がる「懐日(日本を懐かしむ)」ブームと深く関係している。
※2016年11月12日より岩波ホールにてロードショー!!
台湾のアカデミー賞こと「金馬奨」で最優秀ドキュメンタリー作品にノミネート、大阪アジアン映画祭2016では観客賞を受賞し、2015年の台湾でもっとも話題になったドキュメンタリー映画。
タイトルにある「湾生」とは、戦前の台湾で生まれ育った約20万人の日本人を指す言葉。下関条約の締結された1895年から1945年までの50年間、台湾は日本に統治されていました。当時、日本から公務員や企業の駐在員が台湾へと海を渡り、農業従事者も移民としてその地を踏みました。そして、彼らのほとんどが敗戦後、中華民国政府の方針によって日本本土に強制送還されました。引揚者が持ち出しを許されたのは、一人あたり現金1,000円(当時)とわずかな食糧、リュックサック2つ分の必需品だけでした。
敗戦によって台湾から日本本土へ強制送還された日本人は、軍人・軍属を含め50万人近かったと言われています。彼らの多くにとって、台湾は仮の住まいの土地ではなく、一生涯を送るはずの土地でした。しかし残ることはできず、その願いはかないませんでした。そこで生まれ育った約20万人の「湾生」と言われる日本人にとって、台湾は紛れもなく大切な「故郷」でした。しかし、彼らは敗戦という歴史の転換によって故郷から引き裂かれ、未知の祖国・日本へ戻されたのです。
『湾生回家』は、そんな「湾生」たちの望郷の念をすくい取った台湾のドキュメンタリー映画です。異境の地となってしまった故郷への里帰りの記録です。ホァン・ミンチェン監督をはじめ製作スタッフは、戦後70年という長い年月を経るなかで、かつて20万人と言われた「湾生」が高齢化して、「湾生」が忘れ去られようとしている現在、台湾の人々の心とまなざしで、彼らの人生を、引揚者の想いを記録しました。
撮影隊は40名近い方に取材をし、そのうち6名の方の物語を中心に本作をまとめあげています。時の流れを超えて「湾生」たちは台湾で過ごした日々との再会を願い、失ったものを探し求めます。ある人は、幼馴染の消息に心を震わせ、ある人は自身のルーツを求めて台湾の地を踏み、またある人は、日本に引き揚げて初めて差別もあった台湾統治の真実を知ります。自分たちの居場所はどこなのか、台湾への里帰りは、戦争に引き裂かれたアイデンティティーを修復する旅でもあるのです。
監督:ホァン・ミンチェン(黄銘正) 出演:冨永勝 家倉多恵子 清水一也 松本洽盛 竹中信子 片山清子 他
エグゼクティブプロデューサー:チェン・シュエンルー(陳宣儒/日本名:田中實加) プロデューサー:ファン・ジェンヨウ(范健祐)、内藤諭 ナレーター:クー・イーチェン(柯一正) 声の出演:本間岐理、ヤン・ホェイルー(楊恵茹) 撮影:リン・ウェンイー(林文義)、チェン・ミンダー(陳明徳)、タン・ヒョンソン(陳香松) 編集:ホァン・イーリン(黄懿齢)、クオ・ユーニン(郭于寧) 後援:台北駐日経済文化代表処 協力:一般社団法人台湾協会 東京台湾の会 協賛:CHINA AIRLINES ワンハイラインズ株式会社 提供:マクザム ワコー 太秦 配給:太秦
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中朝韓などの反日国は壊日映画。
日本は仲良くする国を間違えています。
インドやフィリピンあたりとも共同映画作っておきたいですね。