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「自民党の負の遺産が」と言っていた人たちは今
2010年04月16日 転載させていただきました
政権交代以来、無意味にこじれてきた普天間問題だが、年明けくらいまでは「これは自民党政権の負の遺産ですから、鳩山さんも大変ですね」などということを言う人もいた。しかし、さすがにここまでこじれてくると、のんきなことも言っていられない。
実際には、普天間問題は自民党政権の「正の遺産」であった。昨年12月の時点で読売新聞の「検証普天間」が言及していたように、この10年間、日米同盟にとって最大の懸案事項だった普天間問題は、自民党政権が既に解決していたのである。
「外務省幹部は『外交関係でこれほど恵まれたスタートを切ることができた政権は過去になかった』と断言する。陰りが見えるとはいえ、米国は依然、軍事力、経済力ともに世界一だ。中国やインドの台頭は著しいが、日米欧が組めばなお強力で、その関係も悪くない。そして、橋本政権から麻生政権までの自民党政権のくびきだった普天間問題は、米政府、日本政府、沖縄県の考え方が初めて一定幅に収まった状態で、『後は淡々と進めるだけだった』(同幹部)からだ。
結局は、鳩山自身が問題を4次方程式にまで複雑化させたことが混乱の原因だとの見方は根強い」(読売新聞)
解決済みの問題を選挙目当てで蒸し返したのが民主党だった。政治的妥協というのは、当事者それぞれが、それなりに不満を抱えているものだ。そこへ、民主党が無責任な「期待」を持ち込み、政治は妥協だということを忘れさせた。当事者全員が勝手に「理想」を語り始めれば、合意など絶対に訪れない。
政権交代前まで、外交では特に大きな問題はなく、内政でも長期の経済政策は小泉・安倍がレールを敷き、短期の金融危機対策は麻生がほぼすべてやってくれた。経験の浅い政権政党でも、何の苦労もなく政権運営ができるだけの条件が整っていた。
しかし、一部のイデオロギー団体に媚びて外交では勝手に空回りし、内政では自称弱者で税金亡者のバラマキ支持者たちの気を引くために掲げたマニフェストで自縄自縛になっている。外交は滅茶苦茶になり、長期の経済政策(改革・成長路線)は消え、短期においては麻生バラマキの劣化コピーのような政策ばかりである。
民主党政権は、自民党の「正の遺産」を一瞬で食いつぶし、小泉・安倍改革で「膿」を出してきれいになった政治を一瞬で腐らせて、新たな「負の膿」を大量に発生させているだけだ。ここまでお膳立てができているのに何もできないどころか、余計なことばかりして問題を悪化させてしまうのは、ある意味、ものすごい能力としか言いようがない。