幸福実現党
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.212
2024年7月16日発行
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江夏正敏 幸福実現党 幹事長のオフィシャルブログ
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「レーガン後のアメリカ経済―父ブッシュとクリントンの時代」
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レーガン大統領のレーガノミクス以来、25年好況(1982年~2007年)が続いたとも言われています。
その間に、父ブッシュ、クリントン、息子ブッシュが大統領を務めました。
この25年間は紆余曲折もあり、一筋縄ではいきませんでしたが、基本的には減税、規制緩和、
小さな政府路線が続いたとも言えます。
今回のメルマガは、父ブッシュ、クリントンの両時代にフォーカスして、
アメリカ経済を鳥瞰していきたいと思います。
●父ブッシュの後半2年の変節。
レーガン大統領の後は父ブッシュが大統領(1989年1月~1993年1月)になりました。
父ブッシュは「レーガン路線の継承を打ち出し、税制政策は堅持する」と強調していました。
ところが、2年後の夏に大変なことが起きました。なんと父ブッシュは公約を破ったのです。
民主党が提案した増税案に同意してしまいました。
これに激怒した共和党保守派は一斉に父ブッシュを見放しました。
●父ブッシュ増税後、案の定の景気後退。
父ブッシュが増税に同意した直後から、アメリカは8年ぶりの景気後退局面に突入しました。
しかも増税は財政赤字を減らすこともできませんでした。
逆に赤字は予算が成立してからうなぎ登りに増大し、政府支出も減りませんでした。
●増税して財政赤字も倍増。
ちなみにレーガン大統領がホワイトハウスを去る時、財政赤字は
減りつつあったのです(GDP比2.9%)。父ブッシュは何もしなくても4年間で
GDP比2%まで減るという予測でした。
いやもっと言えば、グラム=ラドマン=ホーリングス支出削減法で決められたルールを
実行していれば、任期が終わる頃には予算はほぼ均衡していた可能性があります。
ところが、財政赤字は1991年に倍増してしまいました。
1990年~1994年に米政府は1兆ドルの借金をしましたが、4年間の債務としては
過去40年間で最大で、レーガン大統領の1期目、2期目よりも巨額でした。
●減量せず増税、そしてバラマキ。
父ブッシュ時代は、予算規模は20%の大幅拡大を記録しました。増税からの税収増を
当てにしていたようですが、残念ながら税収は増えませんでした。
逆にGDP比で税収が減っていたのです。
まあ、増税したが、税収は減った。そして、無駄を省く減量もせず、大盤振る舞いの
バラマキをしてしまったという感じでしょうか。
●増税で、富裕層からの税収が減る。
特に、増税後、富裕層からの税収が減っていました。特にアメリカの人々を怒らせたのが
「贅沢税」でした。ヨット、宝石、プライベート・ジェットなどに10%の税金が加算されました。
その結果、お金持ちはヨットを買うのを止めてしまいました。
そして、贅沢税導入の二年後には9400人の船大工が失業したのです。
ある船大工は「議会は我々の職も贅沢品と考えているのか」と怒りを露わにしていました。
●父ブッシュ増税に対するアメリカ有権者の怒り―そしてクリントンに政権交代。
このように1990年度予算は、共和党にとって自殺行為でした。
それまでの25年間、共和党は反増税を貫き、党の看板にもなっていました。
父ブッシュの増税という背信行為は、1992年の大統領選で大方の予想を裏切り、
ビル・クリントンに政権を明け渡す原因になってしまいました。
湾岸戦争の勝利もあって、父ブッシュの支持率が一時期91%もあったにもかかわらず。
増税に対するアメリカの有権者怒り、恐るべしです。
●クリントンの増税、バラマキ法案は否決される。
父ブッシュの後はクリントン大統領(1993年1月~2001年1月)です。
クリントンは「大事なのは経済だ」と切り返して当選しました。
1993年度予算案は「国民第一」と銘打ち、減税は一切なく、個人所得税の大幅引き上げによる
富裕層への増税、法人税1%引き上げ、新エネルギー税、新社会保障税、連邦ガソリン税の
引上げとともに、500億ドルの景気刺激策が盛り込まれていました。新エネルギー税は
上院で葬られましたが、その他の増税案は上下両院とも1票差の僅差で通過しました。
景気刺激策の内容は、生活保護世帯対象の食糧配給券、地方都市向け補助金、失業保険の
拡充など、リベラル的な社会福祉プログラムが盛りだくさんでした。
しかし、議会で否決されゴミ箱行きになりました。
●最初の2年でクリントン政治にNO―上下両院で共和党勝利。
クリントン大統領の最初の2年間は、やや左寄りでした。最初の政策決定は大幅増税でした。
ところが、増税に見合う予算削減は一切行われませんでした。
つまり、クリントン大統領は増税で財政を均衡させたかったのであって、支出を
切り詰めるつもりはなかったようです。
この2年間で、妻ヒラリーによる医療保険改革や社会福祉プログラムなど、
首をかしげたくなるような政策案を出し、有権者は辟易してきました。
その結果、1994年の総選挙で、有権者は民主党にノーを突き付けたのです。
上下両院共に共和党が多数派を占める事態になりました。
●共和党議会と対立しながら自由市場主義に転換。
この事態に直面して、クリントン大統領は方針転換をします。
議会多数派となった共和党と鋭く対立しながら、自由市場重視に傾いていったのです。
1994年を境に経済は好調をきたしました。
市場は「これで大統領は、好きなように増税したり、支出をしたりできない。
民間事業をそっくり政府が引き受けることもできなくなる。
今後、税率が変わるとしても、上げる方向ではなく、下げる方向に変わるだろう」
と考えたのです。
クリントン大統領は1994年以降自由市場の信奉者となり、共和党を上手に
料理するようになりました。
共和党の提案の多くに同意しつつも、過激な部分は巧みに削り取り、やりすぎないように
手綱さばきをしました。2期目のクリントンのこの老獪なやり方は成功しています。
●クリントン経済政策がレーガンに似てくる。
1996年~2000年のクリントン大統領2期目は、レーガン流サプライサイド経済学の
有効性を実証したことになります。
自由貿易を推進し、財政規律を守り、キャピタルゲイン税の削減に署名し、
グリーンスパンを二度に渡ってFRB議長に指名し、社会福祉改革法案に署名した。
北米自由貿易協定(NAFTA)に署名したのも、アメリカはグローバル市場から
退却するのではなく、そこで競争しなければならないと主張しました。
キャピタルゲイン減税を行った結果、1990年代末には株取引は活発化し、
税収は大きく膨らみました。当時、リベラル派からは、
「クリントンはレーガンに似ている」とも言われました。
●クリントンの社会福祉改革法の大成功。
前述したように社会福祉改革法案にも署名しました。
ちなみに、2度も拒否権を発動した末に、でしたが。
この改革は、貧困層の労働意欲を高める絶大な効果をもたらし、政策としては
大成功だったと評価されています。
なんと1996年8月から2005年12月までの間に、生活保護受給者の数は440万人から
190万人に減ったのです。58%の減少です。
それまでの社会福祉政策では、生活保護者が働けば働くほど、お金を失うという
不合理がまかり通っていたのです。
これだと、生活保護者は絶対に働かず、政府からお金をもらうほうが得です。
この改革によって1995年から2004年の下位20%の最低所得層の所得は、
他のどの層よりもハイペースで伸びていったのです。
このことは、貧困を撲滅する最良の答えは雇用であることを実証しています。
●共和党主導の議会が予算増加に歯止め。
大統領がクリントンで、議会多数派が共和党だった期間(1995年~2000年)は
政府支出の伸びが低く抑えられました。国防予算の削減もありましたが、
国内の各種プログラムも支出も拡大しませんでした。
共和党主導の議会が連邦予算の増加にいい顔をしなかったからです。
●クリントンと共和党議会がアメリカの繁栄を演出。
クリントン大統領は、2期目にはハイテク分野を中心に市場開放や自由貿易に力を入れました。
ダウ平均は1994年11月から2000年夏に3800ドルから11000ドルに急上昇。
経済成長率は4%に達し、しかもインフレは起きていません。
1990年代の好況は戦後最長であり、失業率は25年ぶりの低水準を記録しました。
平和と繁栄がアメリカに訪れ、財政規律が守れて予算は均衡していました。
●ハイテクバブル崩壊と同時多発テロの暗雲。
しかし、2000年半ばにハイテクバブルが崩壊し、株価急落によって税収は激減。
財政黒字は再び赤字に転じています。
そして、2001年9月11日に、同時多発テロが起きました。国防予算を減らせる時代は
終わったのです。対テロ戦争は、アメリカの金融をも暗転させていきます。
今回はここまで。次回は息子ブッシュ時代を書けたらいいなあと思っています。
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2、編集後記
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「小さな政府、減税、規制撤廃のイメージができない」という声をよくいただきます。
今のままでは、日本経済に未来はありません。
「小さな政府、減税、規制撤廃」をして、国民のやる気を喚起し、生産性を上げる方向のみ、
日本は復活し、再生し、繁栄への道を行くことができます。
本腰を入れて、小さな政府路線を国民の皆様に訴えていこうと考えています。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
現在、幸福実現党・幹事長。
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