http://go2senkyo.com/articles/2018/03/23/35002.html より
結党から9年、全国に約30人の所属議員が誕生。幸福実現党が目指すものとは|党首 釈量子氏インタビュー
一昨年2016年の参院選と東京都知事選、昨年2017年の都議選と衆院選。そして来年2019年の統一地方選と参院選に挟まれて大型選挙が予定されていない2018年。各党は現在の政治状況をどのようにとらえ、どんな準備をしているのでしょうか? キーパーソンにお話を聞きます。
幸福実現党 党首 釈量子氏
2009年から現在まで、様々な挑戦を続けている幸福実現党。
国政では2010年に無所属の大江康弘参議院議員(当時)が約7ヶ月間籍を置いていた以外は、所属国会議員はまだ誕生していません。
しかし、地方議会に目を向けると北は北海道幕別町から南は鹿児島県薩摩川内市まで全国各地に公認で17人、推薦や無所属でも党籍のある人を含めると約30人の議員が誕生しています。来年で結党から10年を迎える幸福実現党はどんな視点で現在の政治状況を捉え、どのような戦略を考えているのか。党首の釈量子氏に選挙ウォッチャーの宮原ジェフリーが尋ねました。
時には1人で、全国400の後援会を丁寧に回る
-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー(以下、選挙ウォッチャー 宮原)
釈党首は普段はどのような活動をされているのですか?
-幸福実現党党首 釈量子氏(以下、幸福実現党 釈氏)
幸福実現党は全国に約400の後援会があります。最近は様々な場所に直接出向いて地域で活動する党員とともに、地元の方から色んなお話を聞きながら党の活動を広報しています。時には私1人で回ることもあります。
既存の政党の政治家に陳情してもなかなか動いてくれない、という問題を全国で数多く見聞きして、勉強になると共に、幸福実現党への期待や必要性を日々強く感じています。
特に、幸福実現党は「『自分の国は自分で守る』当たり前の国家へ」と、国防・外交を最重要政策として考えていますので、過去に拉致被害のあった地域や他国からの密漁が発生した地域を回ることも多いです。先日も漁師さんからお話を伺ってきたのですが、地元の政治家の皆さんは驚くほど危機感がないそうです。密漁が発生すると、時にはそのままエスカレートして銃撃事件などに発展することもあります。漁師さんにしてみれば、生活の糧を奪われると同時に命の危機にもつながります。そのため、昨今の国際情勢を見て、地元の市議会議員や県議会議員に相談に行くそうですが、全く相手にされず困っているというお話を伺いました。国防を最重要政策として掲げる我が党の重要性を痛感しますし、期待も高まっていっているように感じます。
-選挙ウォッチャー 宮原
各地でたくさんの人とお話をする中で、幸福実現党への理解や反応はどのようなものがありますか?
-幸福実現党 釈氏
若い党なので知名度としてはまだまだなところがありますが、党員のボランティアの方々が津々浦々に自民党や公明党、その他野党に負けないくらいの枚数のポスターを貼ってくださっているので、徐々に党名や党首である私の顔の認知度が上がっているのは感じます。
先日歩いていたら、「よくお見かけする方ですよね?飲みに行きませんか?」と声をかけられて驚きました(笑)
ただポスターには「幸福実現党」という党名を大きく出しているので、「釈量子」という名前の認知度はまだまだ頑張らなくてはならないと感じています。
全国で17人の地方議員を抱える
-選挙ウォッチャー 宮原
全国にはすでに17人の地方議員の方がいらっしゃいますが、その方々の活動に対する評価はどのようなものがありますか?
-幸福実現党 釈氏
地域で人気が高く、評判がいい議員が増えています。例えば、鹿児島県にある薩摩川内市の松澤力(まつざわ・いさお)市議は野球部出身のパワフルさが売りで、大政党の若手議員より熱心だと評判です。地元の方に自分から会いに行き、話を聞き、問題があれば解決するためにすぐ行動する姿勢が、地元の方から信頼されているようです。
他にも、大分県佐伯市の菅さとみ(すが・さとみ)市議は議会質問で「北朝鮮の弾道ミサイルを想定した避難訓練を実施すべきだ」と訴えて実現させるなど、成果を出しています。少しずつですが、地域の皆さんのために活動してゆくことで私たちの政策に対する理解を深めていきたいと思っています。
この2人以外にも活躍している地方議員が増えてきています。地道ではありますが、「地域に根ざして直接声を聞き、話をする」といった草の根の活動を突破口にして多くの方々に政策を評価していただける存在になれるよう努力しています。
幸福実現党は「哲学」を持っている。根本的な議論を
-選挙ウォッチャー 宮原
ここ数週間を見ても政治がかなり大きく動いている状況を幸福実現党としてはどのように捉えていますか?
-幸福実現党 釈氏
国内では森友学園問題が大きな話題になっていますが、外交にも注目しなければなりません。一番気になるのは韓国と北朝鮮の急接近です。平昌オリンピック以降、政治ショーと化した状況で対話が進んでいますが、ここ20年くらい北朝鮮が態度を二転三転させていることは皆さんご存知の通りです。北朝鮮が態度を軟化させるのではないか、といった淡い期待も聞こえてきますが、北朝鮮が核開発を放棄するなんてことはあるわけがありません。
また、日本にとっての本当の危機は朝鮮半島の先にある中国です。習近平体制で国家主席の任期制限を廃止して独裁的な体制をさらに強めており、米中間の衝突も健在化し始めています。のんびりしていられない状況なのに、日本では緊張感のない政治が続いているように思います。
-選挙ウォッチャー 宮原
国内政治についてはどのようにお考えですか?
-幸福実現党 釈氏
財務省の改ざん問題が明らかになるまでは、働き方改革についての議論が続いていましたが、労働量と賃金は市場が決めるべきだと考えている私たちとしては、残業規制などが強化される現状は危険だと考えています。性別や肌の色での賃金格差はもちろん問題ですが、責任感や習熟度などに応じて賃金を決めるのは経営の判断であり、現状の同一労働同一賃金の方針は若者の競争力を下げ、海外の人材と闘えなくなってしまうリスクにもなります。賃金や労働時間などは市場・民間が決めるべきですが、なぜ政府が踏み込もうとしているのでしょうか?
また、憲法改正に付随して議論されている教育無償化についても不必要な人にまで広げることで財政が圧迫され、結果的に財政赤字に結びつくので否定的な考えを持っています。また、私立高校まで無償化してしまえば、「公立高校」と「私立高校」の差がなくなります。無償化となれば私立高校への政府の影響力も増えるでしょうから、実質的には「公立高校」と「半 公立高校」の2つになるようなものです。財政面での課題もありますが、「働き方改革」と同様に政府が市場・民間に影響力を増やしていく流れになっています。
教育無償化よりも、まずは飛び級制度やバウチャー制度を導入するなど、横並びの教育ではなく競争原理を働かせる、より自由度の高い改革が必要だと思います。
-選挙ウォッチャー 宮原
昨年の衆院選の際に選挙ドットコムが各党に実施した政策アンケートでは「幼児教育を無償化すべきか?」との設問に対して、幸福実現党を除くほぼ全ての政党が「賛成」と回答する中、幸福実現党のみ「反対」としていた点は目を引きました。
-幸福実現党 釈氏
幸福実現党は「哲学」をしっかり持っているのが他の政党にない強みです。人間は食べるためだけに生まれてきているわけではありません。夢を叶える、人のために役に立ち、心を磨くと同時に、自分だけではなく公の幸福を実現することに生まれてくる意義があるのです。そういった人間観に基づいた政治を行うことで、現状の哲学なき政治に対して巨大な一石を投じたいと思っています。
大川隆法総裁の政治哲学をバックボーンとしながら、幸福実現党は、日本だけでなく世界に責任を持つ観点で政治を変えてゆきます。
-選挙ウォッチャー 宮原
幸福実現党は憲法改正を政策の柱の一つとしていますが、自民党主導で行なわれている現在の改憲議論をどのように捉えていますか?
-幸福実現党 釈氏
幸福実現党は安全と自由を守るために憲法9条を真っ先に変えるべきだと主張しています。しかし、現行の憲法は日本の国力を削ぐために70年前に作られたものですので、議院内閣制の見直しや首相公選制または大統領制の導入など根本からの議論が必要だと考えています。自民党の主張する教育の無償化は社会主義化につながりますし、緊急事態条項については自由の制限になるので賛成しかねます。
安倍政権は、年金の問題や地方経済の疲弊に対応できないなど先送りの政策が目立っています。成長の柱にカジノを解禁する、といったような夢のない政策ではなく、根本的な議論を進めながら、世界のお手本になるような国にしたいと思っています。
森友学園問題が顕在化するまでは、安倍内閣は「安定・長期内閣」だとされてきました。「安定・長期」であるのであれば、重要な課題を根本から丁寧に議論すべきです。ですが、これまでの安倍内閣は「改憲ありき」で枝葉の議論ばかりでした。こうした点も、政党としての「哲学」の有無の差なのではないでしょうか。
沖縄県内に候補者を擁立。来年の統一選では過去最多人数を目指す
-選挙ウォッチャー 宮原
年内では沖縄県で統一地方選と知事選が、来年には統一地方選挙が控えています。幸福実現党としてはどのような取り組みを考えていますか?
-幸福実現党 釈氏
沖縄県知事選についてはまだ調整中ですが、沖縄県内の市町村議選には何人か候補者を擁立する予定です。来年の統一地方選では、これまで以上に候補者を擁立したいと考えています。後援会が全国に400程ありますから、それぞれの後援会で最低でも一人ずつ候補者を立てることを目標としています。必ずしも学歴などではなく政策や人柄で評価してもらえる人材を育て、それを基盤に国政では比例を中心に国民政党として幅広い受け皿を目指して行きます。
-選挙ウォッチャー 宮原
本日はどうもありがとうございました。
※ 表現を一部修正しました(3月23日 14時)
詳細は http://go2senkyo.com/articles/2018/03/23/35002.html
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