正恩氏動揺、なりふり構わず すがられた文氏、面目回復
5/28(月) 7:55配信https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180528-00000003-san-kr より
【ソウル=名村隆寛】26日に行われた南北首脳会談の開催を、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が前日に求めていたことが、韓国の文在寅大統領によって明らかにされた。トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を発表した翌日でもあり、トランプ氏の電撃発言に衝撃を受けた金氏の強い焦りがうかがえる。
文氏は27日、南北首脳会談の結果発表で「25日午後に金氏が、形にとらわれずに会いたいと伝えてきた」と述べた。トランプ氏の米朝会談中止通告からまる1日もたっていなかったとみられ、なりふり構わない韓国への要請には、事態を深刻に受け止めた金氏の動揺ぶりが露骨に出ている。
また、急遽実現した文氏との会談で金氏は「非核化に北朝鮮が応じた場合、米国が確実に(対北)敵対関係を終息させ体制を保証するのかを心配しているようだった」(文氏)という。「会談中止」の表明で対北武力行使の準備に言及した米国を、自らの体制維持を最優先とする金氏が相当、恐れている様子も分かる。
南北首脳会談はこれまで実現に至るまでの道のりが困難を極めた。だが、今回の「電撃的に行われた会談」(北朝鮮メディア)で、金氏の意向次第では、いつでも形にとらわれない会談が可能であることが証明された。
金氏との会談について発表した文氏は終始、余裕の表情だった。米朝首脳会談中止の知らせを受けた際、文氏は「当惑しており非常に遺憾」と表明し落胆を隠さず、自任してきた米朝の仲介役の限界を認めていた。その直後の北朝鮮側からの対話要請は、文氏を勇気づけ、「渡りに船」だったとみられる。
南北首脳会談を北朝鮮メディアは27日、「格式と枠組みなしに腹を割って話し合った」と報じ、金氏が「朝米首脳会談のために多くの努力を傾けてきた文在寅大統領の労苦に謝意を表した」と文氏を激賞した。
トランプ米政権を翻意させるには、金氏は文氏にすがるしかなかったようだ。一方の文氏も、失った仲介者としての面目を、金氏からの“救援要請”によって取り戻そうとしている。