サンケイビズ「民主党政権の政策は
わが党の後追い」
【ついき秀学のMirai Vision】
民主党政権の政策はわが党の後追い 2011.2.4
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110204/mca1102040500001-n1.htm.
スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」で
講演する菅首相=1月29日、ダボス(共同)
□ 幸福実現党党首
スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で
先月29日、菅直人首相が演説を行い、わが国の「第三の開国」
として、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加や、
欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の交渉立ち上げに
向けて、積極的に取り組む決意を表明しました。
農業の自由化は幸福実現党が2009年5月の立党以来訴え
てきており、TPP参加への取り組みには一定の評価をしたい
ところです。しかし、民主党はこうした自由化政策を明確には
訴えてはきませんでした。日米の自由貿易協定(FTA)に
ついては、一昨年の衆院選で当初、公約に「締結」と掲げて
いましたが、農業団体の強い反発を受けて方針をあっけなく
修正しています。
民主党は世論受けを狙って、さも立派な政策を掲げるの
ですが、多少の反対があるとすぐに腰砕けになってしまう傾向
があります。その結果、政策の詰めが不十分になり、中途半端な
効果しか得られません。例えば、先月始まった通常国会での
施政方針演説で、菅首相は農業再生策の柱として戸別所得補償
の拡大を打ち出しました。しかし、民主党の戸別所得補償は
兼業農家や小規模農家にも一律で交付金が支給される仕組み
のため、農地集約の妨げになっている面が強く、このままでは
農業の国際競争力を高めることはできないでしょう。
◆ブレまくり生じる矛盾
法人税率についても、11年度より5%引き下げられ、実効税率
で35%程度となる予定ですが、わが党はかねてより25%まで
引き下げるべきだと主張してきました。5%の小幅な引き下げで
は、確かに何もしないよりマシですが、従来、わが国と同水準の
法人税率だった米国がこれに刺激されて、大胆に引き下げる
可能性が高く(一説には20%台を目指すとも)、再びわが国が
法人税率で最高水準となってしまいそうな雲行きです。
また、昨年より実験的に行われている高速道路の無料化も、民主党
が03年以来掲げている目玉政策ですが、実はわが党の支持母体の
「幸福の科学」がすでに1998年から提言しているものです。
しかも、私たちは無料化とともに高速道路の増設を訴えているの
ですが、民主党政権は、公共事業費を減らし道路網を充実させない
ため、渋滞が解消されません。
米軍普天間飛行場移設問題では、民主党は野党時代から、2006
年の日米合意に反して、移設先を「海外」「少なくとも県外」と言い
続けてきました。政権交代後、これを実現しようとして日米関係の
悪化を招き、沖縄と米国の板挟みとなって、鳩山内閣がダッチロール
したのは記憶に新しいところです。
結局、民主党政権は鳩山内閣の退陣と引き換えに政策を180度
転換し、日米合意通りに県内移設を進める方向にかじを切りました。
今や、昨年の沖縄県知事選で県外移設を訴えて当選した、
仲井真弘多知事への謝罪・説得に努めるほどの変身ぶりです。
このような動きに先駆けて、私たちは立党当初より日米同盟の
強化を訴え続けてきましたし、同知事選でもわが党の金城竜郎氏だけ
が、県内移設による日米同盟強化を公約に掲げて戦いました。
◆一貫性無く効果は中途半端
このように、民主党政権が結果的に幸福実現党の政策を取り込ま
ざるを得なくなっているのは、わが党の政策が、真にわが国の前途に
責任を負う者としての発想の下に作られたものであり、かつこれから
のわが国に必要なビジョンに基づいて作られたものであるからです。
しかし、民主党は、政権運営が行き詰まるたびにわが党の政策を
場当たり的に“盗り入れて”いるため、一つ一つの政策は注目に値
しても、それと相反する政策(デフレ下の増税など)も存在するなど、
政策に一貫性が無くなっています。その結果、良い政策もその効果が
中途半端に終わってしまうのです。
民主党は、その場しのぎ的に他党の政策を取り入れて、いたずらに
政権の延命を図るのでなく、わが国の平和と繁栄のために、
解散・総選挙を行って、より政権担当能力の高い政党に道を譲るべきです。
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【プロフィル】ついき秀学
ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。東京大学法学
部政治コースを卒業後、宗教法人幸福の科学に入局。財務局長、
専務理事などを歴任。2009年、幸福実現党に入党。10年7月、
幸福実現党党首に就任。妻と2男の4人家族。趣味は読書と散歩。