2015年12月25日 キャリコネニュース
軽減税率の対象品目に「新聞の定期購読料」を含むことが、12月24日に閣議決定された。これを受けてジャーナリストの池上彰さんが、朝日新聞に連載中のコラムで新聞報道に対する痛烈な批判を展開している。25日付け紙面に掲載されたコラムでは、軽減税率の適用品目が決まったことについて17日付け朝日新聞朝刊が「来夏の参院選を意識する首相官邸の意向が色濃く反映された内容となった」と論評したことを引用。記事のあいまいな書き方をこう皮肉った。
「(官邸の意向とは)何を指すのでしょうか。食品全般を軽減税率の対象にしたことでしょうか、『週2回以上発行する新聞を定期購読する場合』も参院選を意識しているのでしょうか」
「電気やガス、水道は、なぜ軽減税率の対象にならなかったのか」
12月25日朝刊のコラム
池上氏は、政府が新聞を軽減税率の対象としたことについて「参院選対策」であると示唆しているが、さらに読者を代弁する形でこう言い切っている。
「安倍政権は、新聞に軽減税率を適用することで新聞社に恩を売った。そう受け止めている読者も多いはずです」
そのうえで「安倍政権は今後、新聞報道に対し、見返りを要求することはないのか。あるいは、それを仄めかすことはないのか」という疑念を示す。見返りを要求するのは当然の帰結であり、その事態を招いたのは新聞社自身と言わんばかりの強い調子だ。さらに池上氏は、朝日新聞社の飯田真也会長が17日付け紙面で「民主主義を支え活字文化を守るためには、知識への課税は最小限度にとどめるべき」「生活必需品である食料品に加え、宅配の新聞が対象に」とコメントしたことについても、その矛盾を論破した。
「『知識への課税は最小限度にとどめるべき』なら、学習塾、英会話教室、カルチャースクールの入学金や授業料はどうなのか。『生活必需品』だから軽減されるなら、電気やガス、水道は、なぜ軽減税率の対象にならなかったのか」
現役記者も「国家が口を挟む絶好の口実になる」と危惧
新聞を軽減税率の適用品目とすることについて、ネットでは「新聞は公共財じゃない」「新聞なんて生活必需品じゃない」「なくなってもいい」と激しい批判の声が高まっている。池上氏も、新聞社は読者の疑問にどのように向き合い、新聞の必要性を実感させることができるのかと問題を提起。「新聞社には、課税は軽くなっても責任は重くなったのです」と結んでいる。
新聞の軽減税率適用については、現場の記者からも異をとなえる声があがっている。朝日新聞の丹治吉順記者(@tanji_y)は12月24日、ツイッターに「新聞への軽減税率2%の適用に反対します」と投稿。池上氏のコラムにも「趣旨に全面賛同」と投稿している。
池上氏は「もちろん現場の記者に、そんな意識はないでしょうが」としながらも、新聞社の経営幹部が軽減税率の見返りに安倍政権の意向を汲んだ指示を下すことは「考えたくもありません」とし、これは特定の新聞だけではなく「新聞業界全体に対して危惧を持っているのです」と明かす。丹治記者も「税を口実に編集内容に国家が口を挟(む)絶好の口実になる」と指摘し、知識・情報の流通への税負担を軽減するならば、「いま最も盛んな情報流通の場であるウェブやそのインフラである通信網までも含めた議論をしなければ、説得力はないでしょう」と指摘する。
新聞は「ジャーナリズムより自分の給料を選んだ」という批判も
徳島新聞の元記者で法政大学准教授の藤代裕之氏(@fujisiro)も、ツイッターで軽減税率の適用に新聞社で働くジャーナリストたちが反対すべきだったと主張している。
「労使が一緒になって権力にお願いごとをする異常さと、その後に何が起きるのかよりも、自分の給料を選んだということだからなあ。それで社会の公器とかジャーナリズムとか言えたもんじゃないと思うが…」
知識への課税の負担減という大義名分の裏で、「自分の給料」を守りたいという思惑があるのなら、新聞に対する信頼度は大幅な下落を招きかねない。
関連記事
必要なのは「軽減税率」ではなく「増税中止」
[HRPニュースファイル1533]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2549/ 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人
◆我が党は、消費減税を進める政党
去る12月16日、与党間で協議されていた「2016年税制改正大綱」の全容が固まりました。
その中で、2017年4月の消費増税時に導入する「軽減税率」について一応の決着が付き、1兆円という財政規模及び、適用される具体的な品目について合意がなされました。
今回の議論では、軽減税率の線引きに、インボイス(税額票)の導入、「みなし特例」制度の新設、今となっては笑い草ですが、低所得者への現金やらプリペイドカードの給付案なども浮上しました。
しかし、こうしたドタバタ劇については、そもそも消費増税がなければ起きようがなかったものです。
我が党は「国民の負担を軽減し、自由の領域を拡大することで、経済成長とその果実である税収増を目指す」のが、経済政策の基本方針です。
そして、軽減税率については、党声明で表明したとおり「消費増税の負担減が必要というのなら、本来は、軽減税率の導入で対処するのではなく、増税自体を取りやめるべき」という立場です。
◆「税率据え置き」となる個別品目をどう見るか
そうしたことも踏まえた上で、今回の軽減税率の対象となる具体的な品目についてみましょう。
まず、生鮮食料品や加工食品などは「生活必需品」として、これらの増税を避けることができたという意味では、8%の税率据え置きが望ましいことは言うまでもありません。
さらに、新聞・書籍関係について、新聞は「税率8%に据え置き」、書籍も「同様の方向で検討中」となりました。
新聞に対する軽減税率の適用は、財務省とマスコミと裏取引の懸念はあるものの、書籍・出版の自由が自由主義を保障する大きな根幹をなすものであることは間違いありません。
少なくとも、今回の協議の結果、この分野での増税が止まったことには賛成の立場です。
といっても、現在のマスコミのあり方そのものを是としている訳ではなく、つねに国家・国民にとっての利益をもたらすものであるか、今後も注視を怠ってはなりません。
◆GDP1,500兆円を実現するために
さて、現時点の日本経済の現状について、8日に内閣府より発表された7月~9月のGDP改定値は「年率換算プラス1.0%」でした。
昨年4月以来、GDPの値は、プラスとマイナスを行き来しており、現在の日本経済は、アクセルを踏みながらも「消費増税」というブレーキをしている状態です。
このままでは、少なくとも日銀黒田総裁がことあるごとに表明してきた「物価上昇率2%」の目標達成は、極めて困難な状況です。
しかし、それでも、プラスの結果を残したという意味では「ブレーキを踏みながらも、前進し続けている」、日本経済の底力を感じるところです。
幸福実現党は、さらなる日本経済のさらなる発展を通じて、世界のリーダーたるべき役割があると訴えています。
先般、総合雑誌「ザ・リバティ」の綾織次郎編集長による著書「GDPを1500兆円にする方法」が出版されました。
アマゾンwebサイトより
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4863957408/liberty0b-22
このタイトルを見ると、キャッチフレーズとして「極端な数字」を掲げたのではないか、と思う方も多いでしょう。
現在の日本は、「失われた20年」での中で、およそGDP500兆円のレベルを行き来している状態が続いてきました。この書籍では、3倍の1,500兆円のGDP達成が可能、という夢のようなビジョンが掲げられています。
実は、1990年代以降、日本が米国と同程度の経済成長を続けていたら、すでに1,500兆円のGDPが達成可能だった、という話が掲載されています。
「なぜ、米国並みの経済成長ができなかったのか」、逆に「何がその成長を止めていたのか」が、分かりやすく解説されています。これを読むと、いかに政治または官僚の経済政策が国民の財産を奪い取り続けてきたのか、ということが実によくわかります。
そして、1500兆円という数字は、本来、達成していなければおかしい数字であったことを感じます。
例えば、消費増税の中での「年率換算プラス1.0%」というGDP値について述べましたが、仮に、増税ではなく、減税を行うことによってこのプラスがさら2%、3%とさらに大きな数字になり、米国並みの成長を取り戻せたということは間違いありません。
さらに、リニアなどのインフラ整備、未来産業の立上げなどを国家が主導することで、この成長率を高め得ることが可能となるのです。
このように、まず「ブレーキ」となって成長を妨げている部分を取り除き、更には、アクセルとなる部分を強化することが必要なのです。
そのためにも、今回の軽減税率について、一部の重要な品目について、増税を回避できたという意味では賛成ですが、本当に必要なものは、消費減税であり、世界経済のリーダーとしての日本のさらなる経済大国としての国家ビジョンであるのです。
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