小保方氏、理研退職へ STAP細胞が「なかった」わけではない
転載、させていただいた記事です
By. uni 2014/12/20 17:00
理化学研究所は19日に開いた記者会見で、小保方晴子氏がSTAP細胞の検証実験に
成功しなかったと発表しました。会見では、小保方氏が21日をもって理研を退職すること、
退職後も、小保方氏に「研究不正」があったされることに伴う懲戒処分は引き続き検討
されることが発表されました。
小保方氏は同日、コメントを公開しています。
小保方氏は同日、コメントを公開しています。
予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事
などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ
疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。
私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を
以て退職願を提出させていただきました。
(理化学研究所ホームページ「小保方晴子研究員コメント」2014/12/19)
記者会見の質疑応答で検証実験チーム チームリーダーである相澤慎一氏は、「STAP細胞は
あるのか」という質問に対して、「検証実験は、論文の手順に従ってSTAP現象が再現できるか
調べたもの。今回の手順では再現はできなかったが、そこに可能性を見いだすか見いださないかは、
個々の研究者の判断にゆだねる」と答えました。
ここで気になるのは、下村博文・文部科学相の発言です。
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下村博文文部科学相は19日の閣議後の記者会見で、「検証結果として、STAP細胞が
存在しないと確定したということ」と述べた。撤回された小保方晴子氏らの論文は多くの
疑問点が指摘されている。下村氏は「悪意ある不正とも思えない部分がある」としつつも、
「(未熟だという理由での)不正は科学の世界では許されない」と指摘。
(産経新聞「STAP存在しないと確定した」下村文科大臣 2014/12/19)
STAP細胞は、限られた時間の間に「作れなかった」のであって、「存在しない」ことが科学的に
確定したわけではありません。研究の生命線である「研究予算」を握る文科省の大臣の発言
としては、問題があります。
実験打ち切りと「研究費」
STAP細胞の有無がはっきりしない段階で検証実験が打ち切られたのは、これ以上の検証が
「税金の無駄遣い」と批判される可能性を考慮したためとも予想できます。
今年の7月、日本分子生物学会は理研に対し、「論文不正に適切に対応しないことは、科学の
今年の7月、日本分子生物学会は理研に対し、「論文不正に適切に対応しないことは、科学の
健全性を大きく損なう。税金で間接的に生命科学研究を支えている国民への背信行為だ」との
声明を発表し、STAP細胞の検証実験を凍結するよう求めました。
財政再建が叫ばれるなか、国の助成金は減る方向にあります。そのため、研究者同士で予算を
財政再建が叫ばれるなか、国の助成金は減る方向にあります。そのため、研究者同士で予算を
事実上「奪い合っている」状態になっているのです。ただ、「再生医療」など、政府が重点的に
支援する分野には重点的に予算が配分されますし、その中でも、注目を集める研究ほど予算を
獲得しやすくなります。
逆に、政府から光が当てられていない分野の研究者の立場であれば、「論文不正」があると
逆に、政府から光が当てられていない分野の研究者の立場であれば、「論文不正」があると
される研究に、莫大な資金(STAP細胞の検証実験の予算は1500万円)が投入されれば、
公平性に欠けると見えてもおかしくないでしょう。
小保方氏の「吊るし上げ」は妥当なのか
ただ、小保方氏は「犯罪者」のように吊るし上げられるべきなのでしょうか。
「不正行為」と認定された論文の「画像の取り違え」や「切り貼りのミス」は、小保方氏のミスで
「不正行為」と認定された論文の「画像の取り違え」や「切り貼りのミス」は、小保方氏のミスで
あることは確かです。ただ、相澤氏は会見の終了後、記者団の前にわざわざ戻り、小保方氏が
監視つきの部屋で検証実験を行ったことについて、「今後、このように犯罪人扱いをしたように
科学の行為を検証することは、あってはならない。そのことは深く、検証実験責任者として
おわびを申し上げるとともに責任を痛感している」と語りました。この言葉の真意は定かでは
ありませんが、今回の検証実験の手段に「非科学的な論理」が働いていると感じているのでは
ないかということが伺えます。
誰も手をつけていない新たな分野を切り開く際には、失敗はつきものです。
誰も手をつけていない新たな分野を切り開く際には、失敗はつきものです。
実験が成功しない理由が、まだ気付かれていない意外なところにある可能性もあります。
そもそも、笹井氏が自殺し、小保方氏自身、心身の不調が続く中、「数カ月で結果を出す」
という条件は、極めて厳しいものでした。
もし、科学的な論理よりも、利害の調整を優先しているのであれば、むしろ、国民の科学への
信頼は低下するのではないでしょうか。
小保方氏が「生き別れた息子」と表現していたSTAP細胞。今後も、小保方氏が何らかの形で
小保方氏が「生き別れた息子」と表現していたSTAP細胞。今後も、小保方氏が何らかの形で
研究が続けられるようになることを祈るばかりです。
今年のノーベル賞物理学賞を受賞した中村修二氏は、研究の軸足をアメリカに置いています。
今年のノーベル賞物理学賞を受賞した中村修二氏は、研究の軸足をアメリカに置いています。
日本の科学界が今後、新発見の可能性を「消す」ような形を取ってでもルールの順守を強化
するならば、日本を脱出せざるを得なくなる科学者が、さらに増えるのではないでしょうか。
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https://www.youtube.com/watch?v=gXJr82JEcN0