https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E2%80%9C%E5%88%86%E6%96%AD%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E2%80%9D%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AF%E7%B1%B3%E6%9C%9D%E9%A6%96%E8%84%B3%E4%BC%9A%E8%AB%87%E3%82%92%E3%81%A9%E3%81%86%E8%A6%8B%E3%81%9F%E3%81%8B/ar-AAyFfCL?ocid=sf#page=2
“分断社会”韓国は米朝首脳会談をどう見たか
「北朝鮮の完全勝利」は本当か
ところが、ふたを開けてみれば、首脳会談はあっさりと終わり、合意内容にはCVIDの文言も入らない、板門店宣言を確認したぐらいの肩すかし。しかも、トランプ大統領が、安保ではなく経費の面から米韓軍事演習の条件付きの中止や在韓米軍縮小にまで言及して、韓国では「トランプ、文在寅、金正恩体制の中 韓国安保はどこへ行く」(朝鮮日報、6月14日)と憂慮する声も出始めている。
韓国の中道派の全国紙記者が語る。「合意内容には皆、肩を落としましたが、合意文には明記されなかった口頭での合意があるのではないかという見方も出ています。正直、敗戦国に適用されるCVID合意には現実味がなく、会談の1週間ほど前にも、『米朝は(CVIDまでの)工程の20%くらいしか合意できていない』と政府関係者が漏らしていて、CVID合意の可能性は低いと見られていました。ただ、トランプ大統領は、『過去の米国の大統領が対北政策を誤ってきたのは側近らの話に耳を傾けたからだ、自分はそんなことはない』と話したと伝えられて、結果は最後まで分からないという雰囲気があった。
オバマ前大統領は『戦略的忍耐』と聞こえはいいが北朝鮮をまったく無視していた。それと比べれば、もちろんトランプ大統領自身の利益もありますが、金正恩委員長と会い、その姿を世界の目に披露させ、北朝鮮の“今”を世界に見せた。70年間、敵対視していた米朝が同席し、これからについて話し合ったということがもっとも重要です。米国や日本、そして韓国の一部メディアもトランプ大統領は北朝鮮に譲歩しすぎた、北朝鮮の完全勝利としていますが、そう判断するのはまだ早いでしょう」
親米から反米へ……? 没落する保守派
韓国の安保を憂慮する声が出る背景には、韓国保守派の没落もある。
今回の米朝首脳会談にとりわけ厳しい評価を下したのは、皮肉にも「米韓同盟の守護者」を自負していた保守派だ。米国と北朝鮮の接近に警鐘を鳴らし、最近では、親米から、ややもすると反米ともみられる方向へ旋回するような珍現象が起きていた。そこへ、会談翌日には文政権を問う統一地方選挙が行われたが、結果は進歩・革新派の与党「共に民主党」の大圧勝となった(広域自治体の知事・市長選17のうち14で与党勝利)。 「理念として保守を支持する人は30%くらいいると言われていますが、今回は真の保守派を標榜していた『自由韓国党』を審判する選挙となりました。そこでの大敗。国会議員の補欠選挙でも保守の牙城が崩れる前代未聞の結果となった。米朝の大きな動きがある中で、韓国の保守がどこまでそこにコミットできるかなど新しい姿を打ち出せず、親米から反米へと無残にも軸がぶれてしまった。保守派の解体、再編は避けられない」(別の記者)
文大統領にとっては、政策を推し進める上でかなり有利な状況となった格好だ。
そうそう、北朝鮮の非核化にともなう莫大な費用について、「日本と韓国が払う」と言い放ったトランプ大統領の発言には、「口で言っているだけ」という楽観的な見方がされている。米朝枠組み合意の際に米国が重油を供給したことを根拠にしているようだ。
北朝鮮国営テレビ、金委員長を「世界の指導者」と称賛
【AFP=時事】北朝鮮の国営テレビは14日、シンガポールで開催された金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の米朝首脳会談の映像を放送し、金委員長は普遍的に崇拝される「卓越した世界の指導者」であると評した。 朝鮮中央テレビ(KCTV)は40分の放送で、金委員長が夜にシンガポールの観光地を散策する様子などを放映し、同国で「深い敬意と無限の熱意」をもって迎えられたと伝え、金委員長を称賛した。
女性アナウンサーは「並外れた政治的洞察力で国際政治を主導するようになった金委員長への畏敬の念にあふれた支持者たちで、街路は込みあった」と伝えた。また、首脳会談の会場となったセントーサ(Sentosa)島のホテルへ向かう金委員長の長い車列を写した映像が放映された際には、「世界中が待ちわびた世紀の会談がついに開催された」と語った。他にも、金委員長とトランプ大統領が握手を交わす場面や座って会談する様子、ワーキングランチ、合意文書に署名する様子が放映された。
そして最後は「国中が、天の下の全国民に崇拝されている、卓越した世界の指導者の帰国を心から歓迎した」と締めくくった。
【翻訳編集】AFPBB News