幸福実現党
江夏正敏の闘魂メルマガ vol.114
2018年6月5日発行
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江夏正敏 幸福実現党
政務調査会長のオフィシャルブログ
http://enatsu-masatoshi.com/
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1、江夏正敏の「闘魂一喝!」
「クロス・オーナーシップ―日本のマスメディアはこのままでいいのか。」
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クロス・オーナーシップという言葉をご存知でしょうか。
簡単に言うと「同じ資本が『新聞』『ラジオ』『テレビ』という異なるメディア媒体を同時に所有すること」を言います。
「あれっ?普通じゃん」という声が聞こえてきそうです。
日本では、読売=日本テレビ系列、朝日=テレビ朝日系列、毎日=TBS系列、産経=フジテレビ系列、日経=テレビ東京系列ということは、周知の事実です。
ただ、これは国際的には普通ではないのです。「マスメディア集中排除原則」という基本があり、「言論の自由」に関わってくる大問題なのです。
今回のメルマガでは、このクロス・オーナーシップについて述べていきます。
●新聞社とテレビ局の歴史。
まず、新聞社、ラジオ局、テレビ局について、簡単に歴史を振り返ってみます。
テレビをマスメディアの代表と思っている世代には信じられないことかもしれませんが、もともとは新聞社が一番大きな顔をしていました。
民放がスタートした1950年代は、新聞社こそマスコミの代表という感じです。そして、現在でも新聞社のテレビ局に対する影響力は絶大なものがあります。
新聞社はラジオ草創時代に、放送局を立ち上げたのは自分たちであるとの自負があります。ラジオニュースの提供は新聞社が務め、それはテレビ時代になっても続きました。
東京キー局だけでなく、準キー局を含む系列地方局に対しても同様で、新聞社には系列ネットワークを築いたのも自分たちだと確信しています。
その結果、新聞社のテレビ局への天下りは当然のように行われ、新聞社のテレビ局支配はますます堅固になりました。
●密接な関係のひずみ。
新聞社と放送局の親密性は、報道面にも様々なひずみを生じさせています。
新聞の不祥事を系列のテレビ局は報道しないとか、メディアに関して不都合なことは沈黙してしまうとか。
例えば1982年の「山形美術館事件」があります。山形新聞を中核とするグループが補助金6億5千万円をもらいながら不明朗な運営をしていた事件です。
しかし、この問題を山形新聞、山形放送、山形テレビは、ほとんど報道しませんでした。
なぜなら山形新聞の社長が山形放送の社長も兼ね、山形テレビも支配下に置いていたからです。
●日本のメディアの特異性。
日本は世界的にも類を見ないほどのメディア大国です。
2014年の「情報通信白書」によると、テレビのリアルタイム視聴は、平日が168.3分、休日が225.4分と、新聞、ラジオ、テレビ、ネットの中では最も接触時間が長いのです。
それゆえに、テレビは基幹メディアとも呼ばれています。テレビの持つ影響力は圧倒的でしょう。
その一方で、日本は世界有数の新聞大国です。
そして、特異な点は、先ほどから述べているように、主要な新聞とテレビ局がグループ(系列)として結びついていることです。
●欧米の常識。
欧米では、メディアについて論じる際、「言論の多元性、多様性」を維持することの重要性が強調されています。
そのためには、主要な新聞社とテレビ局とをそれぞれ独立させることが基本であるという認識です。
しかし、日本では、先進国では考えられないほど、新聞社とテレビ局の密接な関係が黙認され続けています。
●テレビの主要プレーヤーの交代がほとんどない。
そして、NHKと民放5局が圧倒的な存在感を維持しており、メンバー交代の兆しがありません。
これは、諸外国、ドイツ、英国、米国のいずれも見られない現象と言えます。
●東京キー局を頂点としたヒエラルキー。
さらに、地上波では東京キー局を頂点としたヒエラルキーが存在します。
実は、全国放送はNHKだけのはずなのですが、民放は東京キー局を中心に、地方に対して系列をつくっているのが実態です。
その系列であるローカル局の自社制作比率は非常に低く、ローカルとは名ばかりで、東京キー局が提供するコンテンツの単なる中継局になっているのが実態です。
そのテレビコンテンツは、1953年のテレビ放送開始以来、一握りの会社によって寡占され続けています。
●「マスメディア集中排除原則」とは?
日本のマスメディアの簡単な歴史と実態を見てきました。何となく「このままでいいのかなぁ」という感想を持たれた方も多いと思います。
ここで、世界標準である「マスメディア集中排除原則」について考えてみたいと思います。
「マスメディア集中排除原則」は、そもそも新聞、ラジオ、テレビの三メディアの集中排除を目的としています。
アメリカでは、放送局の複数所有制限とともに、新聞社と放送局の兼営をさせないことを一つの原点として出発しています。
日本では放送法に規定されています。
●「言論の自由」を確保するため。
「マスメディア集中排除原則」は、言論の多元性・多様性を確保することにあります。それは「言論の自由」を確保するためです。
メディアが特定の者に集中すれば、市場の独占が起こり、国民は「選択の自由」を享受できなくなる可能性があるからです。
●直接ではなく経営面からの規制―政府の介入を最小限にするため。
そもそも、集中排除原則は、テレビなどの放送の多元性、多様性を実現するために、放送内容を直接規制しないようにしているのです。
放送内容を生々しく規制するのではなく、経営面から規制をしているのが「マスメディア集中排除原則」なのです。
このアプローチは、「表現の自由」に直結する放送内容への政府の介入を最小限にするためにあるのです。
ですから、マスコミにとって有難い原則とも言えるのです。
●日本の現状は原則から逸脱している。
しかし、日本の現状は、この原則から逸脱しています。
世論に強い影響力を及ぼす全国紙とテレビ局が実態として結びついていることは、特定の少数の者による世論の支配につながります。
その結果、多様な意見が表明されるべき民主主義の観点からは問題あると言えるでしょう。
さらに、全国紙と東京キー局が結びついていることで、放送のあり方について新聞が十分に批判できないでいる弊害があり続けています。
●日本新聞協会の意見書(2003年)。
しかし、日本新聞協会は、2003年に総務省に提出した意見書において「これまで機会をとらえて、マスメディア集中排除原則の撤廃を含めた同原則の緩和を求めてきた」と述べています。
そして、「国民にとって重要な情報発信をしている新聞・通信社が放送事業(テレビ・ラジオ)に進出することを制約している『三事業支配の禁止』規定は、
言論・表現の自由に対する行政府の介入や、国民の知る権利の制約につながる恐れがある」とも述べています。
簡単に解説すると「『言論の自由』を守るべく出発した『マスメディア集中排除原則』が、『国民の知る権利の制約』になる」と強弁しいているように見えます。
●民放連も緩和を求めている。
さらに、民放連も経営の観点から「競争激化とデジタル化投資の圧力から『経営の立ち行かなくなった放送事業者が出現』するおそれがあり、
経営体質や資本の強化を図るためには、他社との連携強化を行える方途を用意すべきで、集中排除原則の緩和が必要となる」と訴えています。
●クロス・オーナーシップ規制。
いろいろな問題をはらんでいますが、「クロス・オーナーシップ規制=集中排除原則」について論点を整理します。
まず、新聞、テレビ、ラジオを同じ資本が所有するという「クロス・オーナーシップ」は、諸外国では長らく法律で禁止されてきました。
情報の多様性を阻害し、「言論の自由」を尊ぶ民主主義の精神に反するからです。
しかしながら、日本において、この「三事業支配の禁止」は、制定当時の諸事情から、要件が緩すぎてほとんど機能していません。
全国紙が東京キー局を支配しているという現状を、より深刻な問題として議論すべきでしょう。
最も有力なメディアである新聞社とテレビ局が資本的に結合しているため、それら相互の批判に多くを期待することはできません。
わずかに、新聞社系以外の月刊誌・週刊誌や、宗教団体などによってメディア批判を見出すことができるにとどまっています。
●日本のメディアの言い訳。
日本では、新聞社の資本が放送局に入っていますが、メディアは「部分的に資本が入っているだけで、クロス・オーナーシップではない」と主張しています。
しかし、現実には、新聞社と放送局の系列化は進んでおり、系列によっては新聞社の重役が系列ローカル局の社長に就任する例や、新聞社と系列の報道業務の提携などの例もあります。
さらに、地方紙がローカル局の一部に出資することも一般的です。
こうした点を考えれば、日本では新聞とテレビの事業主体に多くの重なりがあり、多様性を尊ぶ「思想の自由市場」を目指す精神からは程遠いと言えるでしょう。
つまり日本のメディア界では、「言論・表現の多様性が理念や目的として制度化されていない」と言わざるを得ません。
●今後のマスメディアのあり方。
いまのマスメディアのあり方は「居心地のよい寡占」と言う識者もいます。
憲法に規定されていないマスメディアが、第一権力として猛威を振るっているのですが、その自覚が当事者にはないところが恐ろしいところです。
しかし、ローカル局の経営難、新聞離れ、ネットの主流化など、マスメディアの将来は安泰ではないと思われます。
「居心地のよい寡占」にどっぷりとつかっていては、時代に取り残される可能性が大です。
マスメディアは既得権益にしがみつかず、民主主義に寄与する存在として、経営理念をしっかりと持った運営を行うことが必要だと思います。
多元性、多様性を実現するクロス・オーナシップ規制は必要であると思いますが、ITによるイノベーションによって、マスメディア自体が大波に飲み込まれていく予感がします。
いずれにせよ、真実を発信し続ける者が勝利を得ると信じています。
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2、編集後記
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間もなく米朝首脳会談が行われる予定です(6月5日現在)。
トランプ大統領は、交渉過程の一部を全世界にオープンにして金正恩氏にプレッシャーをかけているように見えます。
「もし、北朝鮮が約束を破れば、攻撃も止むを得ないよね」と世界各国がある程度納得できるような状況を創り出しているとも見えます。
あくまでも希望的観測ですが、北朝鮮の膿を出し切るぐらいの結果になって欲しいものです。
気になるのは、北朝鮮も韓国も「日本は平和交渉を信じていない。邪魔をしている」というようなことを言っていることです。
北朝鮮はそもそもそういう国ですが、韓国は文在寅大統領の思惑も入っています。
これも、大川隆法総裁が予見していた通りです。
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◆ 江夏正敏(えなつまさとし)プロフィール
1967年10月20日生まれ。
福岡県出身。東筑高校、大阪大学工学部を経て、宗教法人幸福の科学に奉職。
広報局長、人事局長、未来ユートピア政治研究会代表、政務本部参謀総長、
HS政経塾・塾長等を歴任。
幸福実現党幹事長・総務会長を経て、現在、政務調査会長。
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◆ 発行元 ◆
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