http://mainichi.jp/articles/20170224/k00/00e/040/286000c
ジーランディア 海に沈んだ謎の大陸 掘削し本格調査へ
毎日新聞2017年2月24日
地球には六つの大陸があるが、かつてはもう一つの「ジーランディア」が存在し、現在は大半が豪州の東の海域に沈んでいる。この地層を掘削し、誕生や水没の謎を解き明かそうとする国際プロジェクトが本格的に動き出した。【飯田和樹】
●NZは一部
ジーランディアの面積は約500万平方キロで、豪州大陸の6割程度ある。元は豪州と南極、インドと同じ東ゴンドワナ大陸の一部だったが、8000万年前ごろに豪州から分裂し、2500万~2000万年前にほぼ全域が水没したと考えられる。現在は隆起しており、約6%が海面上にある。標高3724メートルの最高峰・マウントクックがそびえるニュージーランドやニューカレドニアはその一部だ。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)掘削情報科学研究開発グループの斎藤実篤グループリーダーによると、ジーランディアが大陸だったと言えるのは、ニュージーランド近海で掘削すると、大陸の特徴としてみられる花こう岩など軽い岩石が確認されるため。最初から海底なら、玄武岩など重い岩石が主体になる。
ジーランディアが形成された原因は二つの仮説が提唱されている。一つは、大陸性地殻の下にあるマントルが上昇し、大陸が突き上げられて分断されたと考える「マントルプルーム説」。もう一つは、東側から深く沈み込む海洋プレート(岩板)の動きで大陸プレートの端が東側に引っ張られ、陸地が裂けたとする「ロールバック説」だ。
●六大陸との違いは
大陸の縁から大地が分かれると、ユーラシア大陸から分裂した日本列島のように「コンチネンタルリボン」と呼ぶ細長い形になる。海中のジーランディアにはこのリボンが南北に幾筋かあり、何度か分裂を繰り返したとみられる。
他の六大陸と違って海に沈んだ理由について、斎藤氏は「地殻の厚さが関係する」と説明する。ジーランディアでは約20キロで、約6キロの海洋性地殻より厚いが、30~40キロの大陸性に比べれば半分だ。地殻はマントルに浮かんだ状態にあり、厚い部分ほど浮力を受けて標高が高くなる。ジーランディアは豪州大陸と分かれる際に引き伸ばされて薄くなり、浮力を得られず海面下にあると想像される。ただ、詳細なメカニズムは不明だ。今、隆起しているのは、プレート運動の方向の変化が関係していると考えられている。
●分裂原因2説探る
二つの仮説のうち、どちらの仕組みで分裂したか、なぜ水没したかなどを明らかにする取り組みが、日豪などを中心に進む国際計画「ロードハウライズプロジェクト」だ。世界最高の掘削能力をもつJAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」を使い、リボンの一部であるロードハウライズ(豪州ブリスベン沖約600キロ)と呼ばれる海域(水深約1600メートル)で約3500メートル掘る。採取した岩石に含まれる元素の同位体の分析などで、解明が図れるという。
プロジェクトは長い間、構想にとどまっていたが、今年1月10~12日、米サンディエゴ市で行われた国際深海科学掘削計画(IODP)の科学評価委員会で実施が承認され、本格的に歩み出した。JAMSTECは今年末に深海調査研究船「かいれい」を2度目の事前調査として出発させ、2019年前半のちきゅうによる本格掘削を目指している。
斎藤氏は「日本ではジーランディアの存在があまり知られていない。だが、このプロジェクトが成功すれば、日本がどのように大陸から分裂し、日本海が形成されたかについて、理解を深める成果が得られる可能性もある」と話している。
ニュースサイトで読む: https://mainichi.jp/articles/20170224/k00/00e/040/286000c#csidx7eb5d7389711d2887911ab7050093a6
Copyright 毎日新聞
海底に沈んだ「第7大陸」の存在が明らかになった。オーストラリアに次ぐ面積を持つ規模で「ジーランディア」と命名されている。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)も調査に着手しており、2019年にも地球深部探査船「ちきゅう」を投入してジーランディアを掘削し、得られる地質情報から水没の原因や過程などの詳細解明に挑む計画だ。
参照元:ジーランディア 太平洋に沈んだ第7大陸があった(産経ニュース)
,