2015/07/11 日比野庵さんより
http://kotobukibune.at.webry.info/201507/article_11.html
7月9日、IMFは、2015年の経済見通しを発表しました。
IMFのオリビエ・ブランシャール調査局長は今年の世界の成長率の予測を下方修正し、連日荒れまくっている上海総合株価指数について、「バブルは崩壊した」と述べました。
まぁ、IMFが何の指標を参考にしたのかは分かりませんけれども、IMFがこう宣言してしまった以上、タダではすまないと思われます。なぜなら、IMFの声明をうけて、その他の各証券会社などが、顧客向けレポートに「遂に中国バブル、はじけました」などと伝えるであろうからです。
現実問題、IMFの向こうを張ってそれを全力で否定するレポートを出せるようなところは、そう多くはないと思います。むしろ「お墨付きを得た」とばかりに、手仕舞いを勧めるものと思われます。
まぁ、中には、ゴールドマン・サックス(GS)のように、中国株は「まだバブルではない。…中国政府には相場を支える多くの手段がある」という見通しを出すところもあることはありますけれども、GSはかつてインサイダースレスレの手口で莫大な利益を手にした過去がありますからね。一部には"はめ込み"を警戒する声もあるようです。
ただ、「中国政府には相場を支える多くの手段がある」という指摘は其の通りで、実際、一方的な売買停止やら、大口投資家に売りを禁止するよう命じるなど、市場ルールを力づくで変更する"無法"ぶりを発揮して、市場に介入しています。
そのせいもあっては、7月9日、10日と暴騰していますけれども、その見せかけの上昇の裏で、中国は確実に市場の信用を失いました。
7月10日、『中国証券報』が、中国証券監督管理委員会(CSRC)と公安部の係官が証券会社や個人投資家など十数カ所を、悪意を持って優良銘柄を空売りした容疑で捜索したと伝えています。
一体、何をもって"悪意"というのか、良く分からないのですけれども、"空売り"とて売買手法の一つです。もしも、空売りに"悪意"があるというのなら、よく、仕手株などで見られる空売りを狙い撃ちする、いわゆる"踏み上げの買い"には悪意はないのでしょうか。
株式売買は契約行為の最たるものの一つですけれども、大事なことは、決められたルールの元で、きちんと取引が行われる保証があることです。
例えば、何某かの銘柄を信用取引する場合、そこで「借りた株」や「貸した株」は期限内に返すという前提の下に取引が行われるわけです。つまり、信用取引は、その場だけでなく、何ヶ月か先に、再び売買をするという契約でもあるのですけれども、そこでもし、借りた株を返却していないときに、いきなり当局から売買ストップをかけられてしまったとしたら、最初の契約(予定)を全うすることはできなくなってしまいます。
要するに、市場の取引ルールの一方的変更は、そのルール下で取引をしている第三者の契約を破壊する行為になるかもしれないということです。
ですから、株取引のルールそのものが、当局の都合によって恣意的に変更されるのならば、そちらのほうがよっぽど"悪意"があると思いますね。
まぁ、いずれにせよ、中国当局がこんな無茶苦茶をやり続けるようでは、少なくとも、今後、海外資本は投資できなくなってしまうでしょうね。
既に日本でも、中国株を組み込んだ投資信託などは、売買停止銘柄の急増で基準価格が算出できないという理由で購入や解約を停止するところも出てきています。
筆者は、「中国バブルの走狗AIIB」のエントリーで、今後の中国株市場はマネーゲームと化したジェットコースター相場になるのではないかと述べたことがありますけれども、どうやらそんな気配が漂ってきました。
…今日は力尽きましたので、この辺で…
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。
ゴールドマンが塩漬けを抱えているので、上昇しないと困るので一般投資家を巻き込んで、反対売買をして呑もうとしてる可能性もありますね。
顧客の利益と、自社の利益と相反する売買のことです。
資本力が違いますので。
ウォール街の強欲資本主義を学んで、銀行家として裏方に回ろうとしている日本人の本を読んでいる途中ですが、信じられないぐらい酷いものですね。
映画かマンガかと思えるぐらい、酷いですね。
だって、中小企業を育てる銀行家を探すのが大変だということです。
そういう銀行すら、無いということですからね。