南シナ海、初の司法判断へ 中国と比、領有権主張
西日本新聞 7月1日(金)11時50分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160701-00010004-nishinp-int&pos=1
シナ海の領有権を巡りフィリピンが申し立てたオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所による判断が、12日に示されることになった。6カ国・地域が領有を主張する同海域に関し、国際的な司法判断が出るのは初めて。中国が南シナ海で独自に設定する境界線「九段線」などに関し、どのような見解を示すかが焦点となる。
【画像】フィリピンが申し立てた主張のポイント
「仲裁裁判所には管轄権はなく、審理や判決を出すべきではない」。中国外務省の洪磊副報道局長は30日の記者会見で仲裁手続きを批判。判断が示されても、受け入れない方針を改めて表明した。
国連海洋法条約に基づき、フィリピンが仲裁を申し立てたのは2013年1月。中国が滑走路を建設する南沙諸島のミスチーフ礁などは満潮時に水没する「低潮高地」であり、領海などの権利は生じない▽中国の「九段線」に基づく権利の主張は国連海洋法条約違反-など、計15項目の確認を求めている。
このうち7項目について、裁判所は判断を示すと発表した。条約上、「島」は領海や排他的経済水域(EEZ)を、「岩」は領海の権利を主張できるが、「低潮高地」は領海もEEZも主張できない。フィリピンの主張が受け入れられた場合、中国の実効支配、人工島建造などの根拠が揺らぐことになる。
1953年から中国政府が「歴史的権利」と主張する「九段線」など8項目については、裁判所は判断を示すかどうか留保し、12日に結論を出すとしている。
九段線はそもそも根拠があいまい。裁判所が何らかの判断に踏み込む可能性もあり、中国政府の焦りは大きい。6月に入り、中国海軍艦船が日本の接続水域を航行するなどの行動に出たのも、南シナ海問題から目をそらす狙いがあるのでは、との見方が出た。
国際社会の視線が集まる中、中国が期待するのは、対中対話に前向きなフィリピンの新大統領、ドゥテルテ氏だ。習近平国家主席は30日、大統領就任への祝電を送り「中国とフィリピンは引っ越しのできない隣人であり、千年に及ぶ善隣友好の伝統がある」と友好関係をアピールした。今後、経済支援をてこに接近を図るとみられる。
=2016/07/01付 西日本新聞朝刊=