おこぜの唐揚げ、はもの湯引き、たこの天麩羅、石鯛の薄造り、殻付きの地物うに、鯛めし。焼酎には「森伊蔵」、日本酒には「天狗舞」が、メニューのリストにある。私は職業柄、これらの料理がいかに高価で、ここの料理人は、かなり確かな腕の持ち主であることが、よく分かる。一般市民が、このような店に予約なしで、すぐに席を取れる訳がない。それに、いくらお遍路さんとはいえ、こんな豪華な接待は変だ。 しかし、盆と正月が . . . 本文を読む
料亭の玄関で、彼女に見送られ、タクシーで香園寺に帰った。巫女さん達とはコースが違うので、琴平で落ち合う事にして別れた。まずは、気を取り直し、お遍路再開である。 次の宝寿寺さんへは、2キロと離れていなかった。さらに、国道11号線を東へ約2キロ走れば、第六十三番札所吉祥寺。門柱に「四国唯一体毘沙聞天王鎮座」とある。四国霊場の中で唯一、毘沙聞天を御本尊としているお寺。 ここには、秘仏のマリア観音という珍 . . . 本文を読む
四国中央市では、車野宿の場所探しは大変であった。街中で不用意に、長時間駐車していれば、不審車両として通報されかねない。コンビ二も市街地は駐車場が狭く、迷惑がかかる。給油がてら、ガソリンスタンドで尋ねてみれば、高松自動車道のサービスエリアを勧められた。貧乏旅行ゆえ、高速道路とは想定外。しかし、夜も遅く、他に妙案もうかばない。一区間だけ高速にのることにし、道の駅より格上の高速サービスエリアに挑んでみよ . . . 本文を読む
田園風景が、のどかに広がる三豊平野。地元では、「小松尾さん」と呼ばれ、親しまれている大興寺、六十七番札所である。なぜか、鬼嫁と二人だけで到着。寺の前を流れる川にかかった小さな橋を渡って、仁王門まで行く。 またもや、子供らは大阪のオバハン達の中にいる。お菓子に釣られて子供らはバスに乗り込み、そのまま移動した訳だ。皆さん、それぞれに、孫の面影を見るのか、小春に留吉は,引く手もあまた状態だったらしく、お . . . 本文を読む
今日は、弘法大師の誕生の地、善通寺市に入る。のどかな田園風景のなか、様々に外観を飾った「さかさクラゲ」の宿泊施設が、やたらと、目に入る。なかなか、価格競争が激しそうだ。やはり、遍路割引とかはあるのだろうか?建物の屋上にオブジェを載せているラブホもある。子供らの「あれ何?」攻撃が始まる。「あれはね、アメリカのお寺だよ」「アメリカのお寺には、納経にいかんのん?」「あそこはね、アメリカ人しか入れんのんよ . . . 本文を読む
善通寺から、七十六番さんの金倉寺を経て、うろうろしていたら、マクドナルドに捕まってしまった。昼食となる。入口にあるゴミ箱の上に、クーポン券を発見! 千円札一枚で親子4人満腹になる。なかなか味な事をやってくれるではないか・・ 第七十七番札所道隆寺の山門前。広い駐車場に「どうじゃ!」と言わんばかりの巨体を誇るハーレー・ダビットソンがおわした。高知の岩本寺で会ったうんこ博士が、いるに違いない。 合掌をし . . . 本文を読む
寝不足の上、今日は、お寺参りはしないので、9時頃まで、車中でゴロゴロ過ごす。携帯電話が鳴る。東北の巫女さんだ。2時に役場の駐車場で、世良さんと落ち合う約束になった。そこから車で案内してくれるらしい。うんこ博士の事を話すと、別に来ても構わないだろうとの事。甥御(姪御?)さんに代わると言う。「早めに集まって、金比羅まいりしませんか」「そうですね、じゃ、12時に行きますので」「私達は、もう近くまで来てい . . . 本文を読む
全てが終わり外へ出た時には、もう日は、とっぷりと暮れていた。わたくしこと、轟寅吉は、42.195キロを完走したら、こんなものかな? ぐらいに、足腰がクラゲに変化していた。もう、誰に頼まれても、霊などに体は貸しません。 そして、もう一つ、悲しい事だけど、記しておかねばならない。黒巫女さんも、相当に疲れていたらしく、世良さんのご主人の肉体に、魂を入れ込む事が出来なかった。私達は=光明五鈷杵=の話をし . . . 本文を読む
昨夜は、お風呂をパスし、ショッピングセンターで涼んだ後に、フェリー乗り場の駐車場でトラックに紛れ込んで寝た。今日も好天に恵まれている。さて、残すところあと5ヶ寺となった。うまくいけば、今日中に打ち終えることが出来る。しかし、何事も旨く行かないところが、お遍路と、零細鮮魚店経営と、夫婦生活の三位一体にして、難しいところだ。 フェリーターミナルから、志度街道を徳島方面にむかうと、屋根のような形からその . . . 本文を読む
八栗寺から二十分も走れば、第八十六番札所志度寺。まだお昼前である。急げば今日中に打ち終え、家に帰れるかもしれない。 国道11号線を左折し、瀬戸内海へと抜ける道から五重の塔が見えた。駐車場から境内まで、ものの数分。山門には両サイドに巨大なわらじが吊り下げてある。ガイドブックよると、この堂々とした造りの仁王門は、本堂とともに讃岐藩主・松平頼重が寄進したもので、日本でも有数の名門とたたえられる。その門に . . . 本文を読む
令子様のお宅での、不愉快な一夜が明けた。苦虫を噛み潰したような、あの髭の甲斐性なしにまで、思う存分笑われた。「この人が笑うの何年ぶりかしら」令子様の顔がゆるんでいだ。 くどいようだが、なんと言っても私は、粋でいなせな魚屋家業である。宵ごしの恥は持ち越さない。だが、子供らは私を「お漏らし父さん」とくどい。普段、お漏らしを、責めている私の立場はもろくも崩壊した。 さて、残るお寺はあと2つ、今日こそは、 . . . 本文を読む