照・テル・ぼうず

つれづれ日記

元禄スーパーヒーローの日

2010-12-14 | 日記
  12月13日は祖父母の結婚記念日。そしてその翌日、12月14日は四十七士の討ち入りの日。年末にはきまったように、“忠臣蔵”を見ていた。今年は誰が大石内蔵助で吉良上野介役を演じるのか、また四十七士が誰なのかが気になるところであった。もちろん同じあらすじなのだがこの配役と演出によって盛り上がり方がちがうんだなあ・・・。私の一番のお気に入りだったのは1985年日本テレビで年末に放映された森繁 久彌演じるところの吉良上野介である。(ちなみにそのときの大石は里見浩太郎。)この吉良のどこが良かったかというと、今までの吉良とは違って単に首を切られるのではなく、とにかく最後まで命乞いをしてなんとも人間くさくて醜く、憎らしいというところだと思う。森繁はやっぱりうまい!

  ご存知のようにこれは江戸時代で元禄のときのあだ討ちもの。つまり万人が好む正義が勝ち悪(もしくは権威)が滅びるという物語である。始まりは播州赤穂のお殿様、浅野内匠頭が江戸城内の松の廊下において吉良上野介に切りかかったいわゆる人情松の廊下といわれる刃傷事件。浅野匠頭の切腹、その後浅野家はお家断絶。それによって君主に忠臣を尽くすべく、家老上席の大石内蔵助を中心にした四十七士たちがが仇討ちをするまでの物語。このあだ討ちを遂行するまでの四十七士たちのいろんな苦労話しをみていると、思わず頑張れと応援したくなるものであった。そしてあだ討ちを果たしたときは最高潮に達し、どんなに嬉しい気持ちになったことか。

  でもよく考えれば、辛抱のないお坊ちゃま君主のせいで、自分たちの生活が失われたわけだからいい迷惑というものなんだけど、これを武士世界の忠臣という美しい部分として取り上げて物語になっているのも悪くはない。江戸幕府によって押さえつけられていた人々の暮らし、その鬱憤を晴らすかのような日本のスーパーヒーロー、四十七士たち。彼らのあだ討ちを年末に家族みんなで揃って見ることで、この一年が無事終わるんだと実感していたあの頃を懐かしく思い出す。