The Diary of Ka2104-2

オペラアリアテノールのレパートリーを一巡させて ー オペラ歌手石川勝敏

私はオペラアリア等テノール歌曲を発展させながら、1歌曲につき何巡したのかはわかりませんが、一応の私のレパートリーのすべてを聴いて下さる皆様に捧げつつ、先程挙げたアリアを以って終結させました。

お気付きでしたでしょうか?

そんな筈は御座いませんね。私は誰にも口外しておらず、拠ってこの記事で語ることにより皆さんは知らしめられるわけですから。

何キロに及ぶでしょう。私は婦人が引くよなキャリーバッグに、毎回、そのときまでの楽譜を全て詰めて歌う現場まで右手で柄をつかみゴロゴロと引っ張っては通っていたのです。昇り下りのある階段では、2輪式ですので、車と車を結ぶスティールを左手で持ち上げ右手でその重みを上から支えしては力をやり繰りしていました。

この度をもちまして、その重量も大方最終且つ決定的となるようです。

最近の音大生は楽譜を持ち運びする代わりに、電子化スコアの容量たっぷり入るタブレットでスマートに行き交うらしいですが。私のモバイルはパソコンとスマホで、今度タブレットを購入するとしたら、それはたとえばアドビのillustratorというソフトを使うためだとかだと思います。ウィンドウズ11標準搭載のペイントやペイント3Dというソフトは単純な割りには使い勝手が悪く、描く手段としてもおのずから限界があります。illustratorクラスになると、単にCGというだけでなくタッチペンを使えるでしょうから、可能性としてはそれはあくまでも電子上の絵やデザインと割り切るなら結構奥深いのではと、あくまで紙に手書きが資本の私にとっては、安心してどれぐらい先かの未来を見ています。こんなことを考えるのも私がUp-Tで商売しているからでしょう。困ったことにスキャナーも購買しなくてはなりません。打ち明けますと手書きの絵画作品を撮影してアップすると画像が変質して白の画面の下地が陰ります。

私はYouTubeに語りの動画を何本か挙げておりますが、そのどこかで、私は私がメイシアター練習室で撮ったその曲その曲の初演を「本式」と呼んでおりますが、一方やはりどこかでは、「これからも今まで歌った分をブラッシュアップしてゆき都度都度アップロードしていきます」と断言しています。

それではどちらが謂わば「公式」なのでしょうか?

答えは無論後者の内、私がとりわけベストだと思っている分と申し上げるしか他ないことは、鑑賞者の皆様にも合点がいくことだと信じて疑いません。

たとえば前回最後になろうかと思いますがその節の20数アリアは、一時期に全てのアリアを自分の身に覚え込ませ、そのレッスンを一巡20数歌曲回していくという手法を取っています。いつもそうでしたが前回は20超あったのです。そうやってこれまた一時に収録してしまうなんて(時間の関係上リテイクは避けるべきものとしてあしらいます)、そんな離れ業で物の見事ができるわけがもとよりないのです。しかもそこはボックスよりかなり広いですが、なんのことはないただの防音室なのです。吸音壁になっていて一分も響きません。

メイシアター初演からボックスへとあとになればなるほど、どんどん素晴らしいものになるかというと、これまた私にはほぞをかむ思いで、二つ返事でこたえられないところがあり、なんとも言えません。というのも幻声が発せられる向こう側からの干渉が常につきまとっていたからで御座います。

かくのごときですが、そうして、私はその時々に臨機応変に出来ることはすべてやったという、「レパートリーのひとつの輪」の終焉をいつの間にか思うに至りました。

レパートリーの輪はひとつではありません。決してそうではないのです。それは転回しながら更に大きな輪を何重にも描き出すことでしょう。少なくとも今の私はそういう気概でいます。

このリセットを踏まえ次に私はどうするか?

スコアもlibrettoも見ずに、両方暗譜で、これからの動画にはフリーハンドの私が立って歌っていることでしょう。確信は御座いません。ともすると神経認知機能の劣化によりすぐ私の記憶は私から滑り落ちて行きます。そこには果てしない困難と果てしない自由という二律背反する可能性の海が広がっています。ピアノもオーケストラもなんらのaccompanimentも優れた空気環境もそこには御座いません。ひょっとしてこの手は使わず新しい譜や今までの譜を持って一見同じように私は結局いるかもしれません。

私には精神病という圧力が掛かる分、その反射でリラックス・集中する力を有しております。これからはよそものからの干渉を受けませんようにと同時に強く願う次第です。

こうさせて欲しいのですが、アップロードは遅れ遅れするかもしれませんが、大切な一歌曲一歌曲なのですし、じっくりとうとうと時間をかけ、クラシックレーベルからのお声掛けを待ちわびでもするかのように、ひとつひとつの歌曲に向き合っていきたいと存じます。手段は後から付いてくるものではないでしょうか?


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