詩「僕は悪魔に魂を売り渡すが僕は人を選ぶ」 石川勝敏
僕は 誰にでも 魂を売り渡す類じゃない
いわば 選ぶ悪鬼だ
人が思うほど 僕は愚かじゃないってことさ
今 梅雨の炎天下 青空のもと
生暖かい向かい風が勢いづいている
僕はそれを涼やかな潮風に変え アスファルトの地面に濡れた砂浜を見
そこへは波が寄せては返している
この数ヶ月の間 会った人たちの顔を思い返す
美醜に関わりなく 内には悪魔がいたかもしれない
だがしかし 誰にも 第三者が被害を被るような 魂売りはしていない
それは絵でしかなかった たとえたっとばれるものであっても 絵でしかなかった
それは芝居でしかなかった たとえさげすまれるものであっても 芝居でしかなかった
だがしかし 僕は 本当に だれかれの資質を問わず
悪魔に魂を売る者たちを見てきた
たとえば 目俵町界隈に 文化住宅から二世帯住宅を購入しやって来た
今西家の血族
そのご子息はマネーロンダリングをやっていて 先日捕まった
午後3時 今 急峻に空は黒くなってき
僕の幻覚が効かず 現実のみが大きく降り出してきた
僕は 誰にでも 魂を売り渡す類じゃない
いわば 選ぶ悪鬼だ
人が思うほど 僕は愚かじゃないってことさ
photo by Katsutoshi Ishikawa