詩「善人」 作・石川勝敏
「悪事働いては
万人に向けては 由緒正しき言葉を操るけれど
神への道じゃあないんだよ
生身の人間の生活がそこにはあるんだよ
剛肌(ごわはだ)の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道説く君
反応うかがいにしては
その前に 知っていること知っているだろうに 変に振る舞うけれど
神への道じゃあないんだよ
私は見せた聞かせた 彼は見せない聞かせないと
あとから 君は 安堵するけれど
その身体には 臓腑には ちゃんと神経が張り巡っているんだよ
剛肌(ごわはだ)の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道説く君
改心? 厚化粧を薄くしながら目だけは描く
あひるの唇で 世の中渡るのやめて 泣く芝居は続ける
私は女優 いいえ東大出の弁護士よ
悪事働いては
このすり傷に 自分のこと 刷りこむけれど
神への道じゃあないんだよ
そこには必死で生きている己がいるんだよ
剛肌(ごわはだ)の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道説く君」