
★ 【ゲド戦記シリーズ:アーシュラ・K・ル=グウィン】過去帳より再掲(origin2007-11-17:)
BLOGのに「影のとの戦い」の書評を掲載しましたが、シリーズの最終版である「アースシーの風」を読み直し、前回の感想が若干表層的かなと思い、再度トライしてみることにしました。
第1作が1970年代に出版され、今流行りの「ハリーポッター」シリーズの原型にもなった「魔法使い」が主人公となる児童文学小説です。ただ、読んでみて判るのですが、内面の描写が多く、難解と思われる内容を含み、児童文学とは言いがたいのではないでしょうか。
第1作では「影との戦い」は、自分の心に抱えた裏の部分との向き合うシーンとなっています。それは、まるで精神的な病との格闘とも思えます。また、最新作の「アースシーの風」でも【夢】で出てくる「死の世界」の記述は、独特な設定であり、人間が意図的にイメージした「地獄」そのものになっています。そもそも『言葉』には秘められた力があり、その力により「死の世界」が作られていると言うストーリになっています。
『言葉』に【魔力】がある、と恐らく古代の人たちはそう思っていたのではないのでしょうか。『言葉』の発明により著しい文明・技術の発展が進んできている事を冷静に考えれば、その力は【魔力】と言っても過言ではないのかもしれません。単なる意思の伝達手段だけではなく、知識として蓄積をし、また、考えを纏めたり、色々と熟考できる大きな能力をも備える事になり、その恩恵は大きいはずです。ちょっと本の書評としては、脱線し過ぎとなりました。
「アースシーの風」で出てくる「死の世界」のイメージも作者の意図なのか、「死に対する恐怖」をも感じさせます。最終的に人も他の動植物と同じ「自然の輪廻」へ回帰していることでhappy-endと為っている点、人の「頭でっかち」故の「死のイメージ」を払拭しない限り、この悩みは消えていかないという作者のメッセージにともなっていると推測します。
「アースシーの風」を読み返し、前回どうも読み飛ばしたのか、忘れたのか新鮮に感じる部分が多々ありました。ゲド戦記シリーズは、その内最初から読み直してみたいものです。色々と考えさせられる内容(メッセージ)がありそうです。