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亡国のクライシス+

消費するだけの「観光」に未来はない

どの新聞もどのテレビもトップニュースは「観光」一色である。おそらく真珠湾攻撃で戦争が始まった日の、「戦争」一色の大本営発表もこんな雰囲気だったのだろう。

全国旅行支援で補助金を出してあげるから旅行しよう。入国制限をなくしたし、未曾有の円安で外国人もいっぱい入ってくるからドンドン売りつけよう。
支持率が急落している岸田文雄は、観光にすべてをかけるような勢いである。

ホテルや旅館、電車やバス会社、土産物屋、旅行代理店などにはドンと金が入って来るだろう。
「今のうちに旅行しなくちゃ」という銭ゲバ旅行者がいるし、円安で電気製品が安く買え、安く泊まれて安く食べられるから日本に行こうという銭ゲバ外人も入って来るからだ。

多額の税金を投入して飲ませ喰わせした後に残るものは何もない。単に消費するだけだからだ。
民主党政権も含めて、この国の政治を担う人間たちの、いわゆる見せかけだけの政策がまた始まったのだ。

コロナ禍が終息すれば、税金を投入しなくても観光客は戻る。

逆に、こんな銭ゲバ観光キャンペーンを張ったら、本来の旅好きは旅行を控えるだろう。何もしなくても満室になるホテルや旅館は料理の質を落とし、ゆったリ湯に浸かりたいと思っても、風呂はいつもごちゃごちゃ。子どもは浴場を駆け回り、外国人観光客は浴場内でオシッコをする。宿の従業員も商売用の笑顔の裏で
「この人たち、補助金がなかったら旅行しない人たちよね。見てすぐわかる。チップもないだろうし、最悪!」と話しているだろう。こんな旅はごめんである。

税金は他に使い道があるだろう。

今、日本の大学の研究所では優秀な研究員が次々にアメリカや中国、シンガポールなどの海外研究施設に移っている。日本では満足な研究費が貰えず、研究員としての道が閉ざされるからだ。特に、それは基礎研究分野で顕著である。すぐに結果が出るものでないと予算が下りないのだ。

かつて、半導体研究は日本がダントツに先端を走っていた。今は台湾に追い越されてしまった。台湾の半導体なしでは車も電子機器も作れなくなった。アメリカが台湾に近寄っているのはそのせいである。

日本は宮澤政権までは旧帝大を中心とする国公立大学に豊富な研究費が渡っていた。だから半導体や液晶の基礎研究が進んだ。いい半導体を造るには、シリコンなどの素材研究が必要であり、新しい金属を見つけるための金属分子の研究も必要だ。チリひとつない無菌室、空気清浄装置の基礎研究も必要になる。
しかし、宮澤政権後、東北大学の例をとっても研究費が激減してしまった。以後に続く私立大学出身の総理が私学助成金のほうを増やしたからである。安倍政権が何の生産性のない加計学園の獣医学部新設に多額のムダな税金を投入したことがいい例である。
 
岸田文雄も私立大学出身である。私立大学出身が悪いわけではない。優秀な人材もたくさんいる。しかし、歴代私学出身総理は旧帝大系の基礎研究には関心がなかった。
旧帝大系大学を持ち出すのは、基礎研究は基礎研究の歴史や蓄積のない新しい大学ではできないのだ。日本各地に誕生している先端科学技術大学も頑張っているが、あそこは産業応用技術の研究機関である。

菅義偉のGOTOキャンペーン、そして岸田文雄の全国旅行支援を見ても、すべて見かけだけの施策しか考えられないことがよくわかる。

全国旅行支援に回す金のほんの一部でも基礎研究に回せば、日本は再び科学技術立国として再生できる。

観光地で分厚い牛肉や大トロ、大吟醸酒を飲み食いしても、残るのは大量の大便だけである。

東北大学の理系准教授の携帯電話がきょうも鳴る。 
「中国、いらしてください。研究費いっぱいある」。

コメント一覧

chisei
小泉、竹中に首根っこを抑えられた大学は、安倍の時代、完全い窒息死していました。
特に、学歴コンの安倍はひどかった。

ノーベル賞前に日本人の予想で騒げるのも、長くてあと10年。
その後は、中国人の受賞を横目に、ずっと沈黙でしょう。
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