あなごたんのうた

ユーモアチックな詩を書いてます。
どうぞお気軽にお立ち寄りください。

そんじょそこいらのさなえさん

2011-08-10 | 

そんじょそこいらのさなえさん、
  自販機であったかいお茶お買い上げ。

ところが…

取出し口から出てきたのはスポーツドリンク。
「何よこれ?私に運動でもしろってこと?
  大きなお世話よ!私はお茶が飲みたかったの!」
仕方なく
さなえさんはスポーツドリンクを手に去っていった。

心なしか、
  いつもより大きく手を振って歩いていた。

そんじょそこいらのさなえさん、
  千円札を投入しあったかいお茶お買い上げ。
「ガチャ、ガチャ、ガチャ」
さなえさんはおつりを取ろうとした。

ところが…

「えっ?嘘?」
「…ガチャ、ガチャ、ガチャ、ガチャ…」
いつもより余計におつり落ちてる?
残念ながらそうじゃなく
 おつりはすべて50円玉と10円玉だった。
「何よこれ?おつりがないなら最初からそう言いなさいよ。
       わかってたらここでなんか買わなかったわよ!」

さなえさんはふくれっ面をしていた。
ついでに小銭入れもふっくらしていた。

そんじょそこいらのさなえさん、 
  自販機であったかいお茶お買い上げ。
「ゴトゴトゴト」
なんと三本落ちてきた。
「ラッキー!、たまにはこんなこともなくちゃね」

でもそうでもなかった。

取出し口が予想以上に狭く、
  詰まって結局一本も取り出せなかった。
さなえさんは心の中で叫んだ。
「こんなことでくじけるとでも思って?
 私の人生は…
  私の人生はこんなもんじゃないの!」

さなえさんは夕日に向かって去って行った。
そうだ、いいことあろうとなかろうと

     さなえさんはさなえさん
        
                 なのだ。



思いおもい

2011-08-08 | 

「いい加減腹くくって
白黒付けちゃどうなんだい?
あんた男だろ?」


「いやぁね、
あっしははっきりしねぇのがでーきれいで
白黒五分五分で迷ってんだか
六四なのか四六なのか
まずはそこをはっきりさせねぇことにはと思いましてね、へぇ・・・」


人それぞれ
頭んなかは思いおもいなのだ・・・



招かざる客

2011-08-08 | 


ボーっとうつむきながら
       入り口に入った。

「うっ!」
 二三歩歩いたところで慌てて引き返した。

なんともいえない違和感を覚えた。
生まれて初めての経験だった。

そういえば前にこんなことがあった。
その後ろ姿を友人と思い込み
挨拶のつもりで「よっ!」って軽く頭をポンと。

  そのときイヤな予感の矢は放たれた…

矢は時を超え
源氏、平家が固唾を呑んで見守る中
見事扇の的に命中。

ふと我に返るとイヤな予感的中。

 …ドウゾフリムカナクテモケッコウデスカラ…みたいな。 
    
そんな気まずい感覚に似ていた。

そこは

             女子トイレだった…


フーフーしましょう

2011-08-05 | 

「ハ、ハ、ハックション!」

あらやだ、おじ・サマ。
大事なかつら
  ずれてしまいましてよ。
なのにまたグーグーだなんて、
仕方なく私が戻してさし上げる。

  フー フー って。

  フー フー
  「カツラよカツラ定位置まで飛んでケー!」 
                  なんてね…

ところでおじ・サマ、
考えてみたら私たち、巡り巡って
こうして電車の中で向かい合って座ってるの。
これっきり出会うことはないかもしれないの。

 そう、限られた時間…

初めまして。
お名前は?おいくつなの?
最近いいことありまして?
せっかくの記念に
   にらめっこでもしましょうか?

ねぇ、おじ・サマ…聞いてる?
あなたにとって
  幸せってなんでしょう?
あなたの一番切ないのは
     どんなことなんでしょう?

悲しいこと
 上手に忘れる方法ご存知ですか?
眠れない夜は
 何を思って過ごしてますか?
どうしたら
 素敵に年をとれるのでしょう…

  で、いったいそのカツラ

        どうしましょう…


水曜の妻ですもの

2011-08-04 | 


あなたをやさしく
 そう、あなたの母のようにやさしく包んで、

あなたのすべてを
 まるごと包み込んで…

いよいよ明日がやってくるの。
せめてあの頃のようにお洒落して
笑顔であなたを見送りましょう。

だってあなたの旅立ちですもの…

だって明日は
   燃えないゴミの日
 
          ですもの…