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大・一万吉

国立科学博物館での学び

 先日、東京都台東区にある国立科学博物館(以下「科博」)を訪れた。本施設はたびたび博物館人気ランキングの上位に入ることがあるほど注目されており、私もこれまでに数度訪れたことがあるお気に入りの博物館だ。しかし、ここへ行くのにそれほど時間を要さず、いつでも行けるという認識があったので、なかなか訪れる機会がなかった。ところが、私の通っている大学がパートナーシップ契約を結んでおり、本施設を無料で利用できるということから、ようやく行ってみることにしたのだ。通常では630円のところ、無料で利用できるというのはありがたい。ならば、もう少し利用する機会を増やしても良かったのではないかと思われるところだが、ここへ行くための交通費は安くないため、あまり気軽には利用できなかった。もう少し安い交通費で済むような、比較的近辺に住んでいたならば、頻繁に利用したことだろう。そんな生活を送ってみたかったものだ。

 博物館は、世界には多くの知識が溢れているということを私に教えてくれる。特に、この科博はその傾向が顕著だった。われわれ一般人にもわかりやすく説明してくれているのだろうが、なかなか理解し難い説明ばかりだった。言葉遣いは易しくあるが、専門用語が多く、それを的確に把握していなければ内容を理解することは難しい。しかし、その妥協の無さが心地良い。それでも興味深い情報に溢れており、1日掛けてもすべてを見ることはできなかった。これからより知識を蓄えれば、それだけ展示物を見る時間が長くなり、次第に同じ時間を掛けても、見て回る割合が小さくなっていくだろう。しかし、それで良いのだ。多くの時間を要するようになるほど、その博物館と向き合っていることになるのだから。

 さて、そのようにして今回は科博を見て回ったのだが、ただ見るだけでは勿体ないので、これは覚えておきたいと思った情報や、驚いた情報などを写真に撮って記録しておいた。本記事では、その情報を簡潔に述べていこうと思う。ただし、詳細な説明や根拠は抜きにして、結論部分のみを抜粋し、箇条書きにして紹介する。常識的なものも含まれるが、私がそれをしっかりと認識していなかったということで取り上げることにする。

 

〈日本館3階北翼 日本列島の生い立ち〉

  • 首長竜は恐竜ではない。
  • 世界最古級の魚竜は「ウタツサウルス」である。
  • 日本で初めて発見された恐竜は「モシリュウ」(茂師竜)である。
  • 「モシリュウ」(茂師竜)は1978年に岩手県岩泉町茂師で発見された。
  • 「モシリュウ」(茂師竜)が発見されるまで、日本列島では恐竜の化石は出ないと思われていた。

 

〈日本館2階南翼 生き物たちの日本列島〉

  • 北海道のヒグマ集団は分布の南限に当たる。
  • ニホンジカは日本だけではなく、ロシア沿海州からベトナムにかけての東アジアに広く分布する。
  • 北海道と本州を分ける津軽海峡はブラキストン線とも呼ばれ、多くの動物がこの線を境に種が分けられる。その分化は特に鳥類に顕著である。
  • イノシシやフキといった動植物では、北方で大型化する傾向がみられる。
  • 恒温脊椎動物は環境の温度が低下するに従って大型化し、他方で、温暖な地域に生息する個体群は小型化する傾向がみられる。この現象を「ベルグマンの法則」という。
  • ヤクシカ、ホンシュウジカ、エゾシカなど、さまざまな呼び名があるが、これらはニホンジカを指す。
  • ノウサギの中でも、冬毛が白くなるものをトウホクノウサギと呼び、冬でも褐色のままのものをキュウシュウノウサギと呼ぶ。

 

〈日本館2階北翼 日本人と自然〉

  • 日本列島に私たちの祖先が現れたのは、今から4万年前ごろであったと考えられる。
  • 日本列島から発見されている旧跡時代の落とし穴群は世界最古のものである。
  • 縄文土器発祥の地である新潟県津南町には、多くの縄文時代の遺跡が点在していることから「縄文銀座」とも呼ばれている。
  • 2900~2500年前、大陸から水田稲作と金属器の文化をもった人々が北九州と本州西部に渡来し始め、縄文人の子孫と混血しながら、ゆっくりと列島辺縁部に広がっていった。
  • 弥生時代の発見のきっかけは、1884年、帝国大学(現在の東京大学)から出土した土器だった。この土器は出土地の地名を取って弥生式土器(現在は弥生土器と称する)と名づけられ、のちにこの土器がつくられた時代を弥生時代と呼ぶことになった。
  • 短頭化現象と長頭化現象は世界各地で起きていたことが明らかにされているが、しかし、その原因については未だに決定的な説はない。
  • 日本列島における森林の自然植生比率は19%である。
  • 帰化植物は、日本に分布しない外国の植物が、人間によって海外から持ち込まれ、日本で野生化したものである。
  • 金魚が中国から日本に渡来したのは、16世紀初頭の室町時代であったといわれている。また、金魚の祖先は野生のフナであったと考えられている。
  • 家畜としてのイヌの歴史は2万年に及ぶ。
  • 現在の日本における水稲収穫最上位5品種は、「コシヒカリ」、「ヒノヒカリ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」、「はえぬき」である。
  • 「コシヒカリ」は「農林1号」と「農林22号」を人工交配させて誕生した品種である。

 

〈日本館1階南翼 自然をみる技〉

  • 1969(昭和44)年には世界に先駆けてクォーツ式腕時計を世に送り出し、そして1980(昭和55)年にはスイスを抜いて腕時計生産量世界第1位となった。

 

〈地球館1階 地球子ナビゲーター〉

  • 地球は約46億年の歴史を持っているが、40億年以前の活動を示す「物的証拠」は極めて少ない。この時代を「冥王代」と呼ぶ。
  • プレートの運動を受け、大陸は漂い動く。そして一所に集まり、超大陸をつくる。超大陸はやがて分裂し、大陸片は再び漂う。こうした大陸の離合集散のはたらきを「プレートテクトニクス」という。
  • 熱帯雨林には、地球上の植物種の3分の2以上がみられるという。

 

〈地球館1階 地球の多様な生き物たち〉

  • 生物は、細胞の構造からみて大きく2つのグループに分けることができる。DNAが核膜で保護されている真核生物と核膜をもたない原核生物である。
  • 多細胞の生物で、原生生物に対して後生生物とよばれる。

 

〈地球館B1階 地球環境の変動と生物の進化─恐竜の謎を探る─〉

  • ある研究によると、ティラノサウルスはしゃがんでしまうと、短い前あしを地面につけないとすみやかに立ち上がれないことが明らかになった。

 

〈地球館B2階 地球環境の変動と生物の進化─誕生と絶滅の不思議─〉

  • 三葉虫は古生代に大繁栄した節足動物の1郡で、この時代の浅海を最初に "征服" した動物といえる。
  • 最初の人類はアフリカで生まれた。人類の進化を便宜的に段階としてとらえると猿人・原人・旧人・新人に分けられる。

 

〈地球館B3階──自然のしくみを知る──〉

  • 1949年、物理学者の湯川秀樹が、日本人として初めてノーベル賞を受賞した。このノーベル賞は、戦前の1934年に発表された「中間子論」に対するものだった。
  • 吉野彰はリチウムイオン電池(LIB)を発明し、2019年ノーベル化学賞をグッドイナフ、スタンリー・ウィッティンガムと共同受賞した。
  • 山中伸弥はiPS細胞を(人口多能性幹細胞)を作製した人物である。
  • 池田菊苗は昆布だしの「うま味」の素となる物質を探り、それがアミノ酸の一種のグルタミン酸であることを発見した。グルタミン酸自身は酸っぱい味がするが、それをナトリウム塩にするとうま味が強く感じられることを発見して調味料とした。池田は「うま味」を第5の味覚として提唱し、今では「umami」として世界に通用している。
  • 科学の世界でさまざまな量をはかるものさしは、「SI単位」(国際単位)に統一されている。長さの単位メートル(m)・時間の秒(s)・質量のキログラム(kg)という身近な単位のほか、電流のアンペア(A)、温度のケルビン(K)、光度のカンデラ(cd)、物質量のモル(mol)の七つが基本単位である。
  • 1790年にフランスの国民議会が十進法による新しい単位をつくろうと決め、長さの単位として地球の極から赤道までの長さの1000万分の1を1mとした。1983年になると、光が真空中を299 792 458分の1秒間に進む長さを1mとすることとなった。
  • 1mという単位を定めるとともに、一辺が1dm(10cm)の立方体の体積を占める蒸留水の質量を1kgと定めた。2019年5月20日以降、基礎物理定数の一つである「ブランク定数」をもとに、計算によって定めている。
  • molとは物質の量をあらわす単位である。原子や分子を「アボガドロ数」という数だけ集めると1molになる。
  • 時間の単位の1秒は、はじめ地球の自転をもとにして1日=86400秒と決められた。1967年には、セシウム133原子の放出するマイクロ波の周期から1秒を定義することとなった。
  • 電気抵抗の大きさをあらわす1Ωは、1Vの電圧を加えたときに1Aの電流が流れるような抵抗の値である。1980年に量子ホール効果という現象が発見され、1990年からはこれを利用して抵抗の標準をつくりだしている。
  • セ氏温度(℃)は、水の氷点を0度、沸点を100度とし、その間を100等分して温度の目盛りを決めたものである。ところが、アルコール温度計と水銀温度計では同じ温度をはかっても値がわずかにちがう。そこで、正確な温度の目盛りとして登場したのが熱力学温度である。
  • 月の起源については、最近もっとも有力なのは「巨大衝突説」である。
  • 現在の理論では、6種類のクォーク、電子やニュートリノなど6種類のレプトン、さらに光子、ボソンなど力を伝える4種類のゲージ粒子、および物質に質量を与えるヒッグス粒子の17種類の粒子が基本的粒子、すなわち「素粒子」であると考えられている。
  • 低分子や高分子の有機材料には電流を流すと発行するものがある。この「エレクトロルミネッセンス(EL)」現象を利用した表示素子が有機EL素子である。

 

〈地球館2階 科学と技術の歩み〉

  • 方位磁石のN極は「真北(地図上の北)」ではなく、ややずれた「磁北(方位磁針の北)」を指す。この真北と磁北の差を「偏角」とよび、場所によってまた時代によって異なる。
  • 八木・宇田アンテナは、レーダーやテレビのアンテナとして世界中で使われている。
  • 本格的な工作機械を備えた最初の工場は1861(文久元)年に幕府が設立した長崎製鉄所である。
  • 日本は海に囲まれているため、効率よく海洋エネルギーから発電を行うことができれば、太陽や風力など天候の影響を受けやすいエネルギーよりも安定した供給が期待できる。

 

 今回は地球館3階まで見て回ることができなかった。それでもかなり駆け足で他の階の展示を見て回ったのだから、いっそのこと今回は日本館か地球館のどちらかに絞ってじっくりと見ることにすれば良かったかもしれない。そういえば、以前にここを訪れた際には零戦があった気がしていたのだが、今回は見ることができなかった。どうやら数年前に修復をした後、科博廣澤航空博物館で展示することになったらしい。いつか行ってみたいものだ。

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