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　かめちゃん水槽の掃除を済ませて、陽が差して風も穏やかな日は、電動抜き自転車で年代不詳な田園風景の中を走る。いくら世間が年号変わると騒いだって、てこでも変わらない風景がある。タイムスキップしてきたひとに「え？今ですか。昭和ですよ」と教えても、きっと疑わないに違いない。養鶏場の自販機でたまごを買う。
　近頃、訃報が相次いでいる。元横綱双羽黒の北尾氏も５５歳の若さで亡くなった。優勝がないまま横綱になって、優勝がないまま廃業って。一度も優勝したことない横綱ってあり？　ちゃんこの味で親方と喧嘩、おかみさんを突き飛ばして部屋を飛び出したとか、付き人をエアガンで追いかけまわしたとか、なにかと話題の横綱の品格とはほど遠い人物像だが、当時パソコンが趣味だったりと、親しみを感じさせる面もあった。若くして横綱だなんだと持ち上げられて、そりゃあ浮足立つなと言われても難しいよね。恵まれた資質を期待され過ぎたがゆえに、その可能性を生かせなかったわけだけど、あの千代の富士も、もし双羽黒が相撲を続けていたら、自身のこれほどの優勝や勝利もなかっただろうと、語っていたという。
　声優の白石冬美さんも亡くなった。「巨人の星」の電柱の影から見守るお姉さんも有名だけど、「翔んで埼玉」に続いて公開の加藤諒主演実写版「パタリロ！」も楽しみだが、昭和子供世代には、パタリロといったら白石さんの声のイメージだな。意味不明の「誰が殺したクックロビン！」とか、バンコランとの間に漂う雰囲気も子供ゴコロにも何かあやしさを感じさせるアニメだったなあ。
　「ねじまき鳥クロニクル」と並行して「君たちはどう生きるか」を読みはじめた。コペル君たちとの帰り道。叔父さんは、火の付いたタバコを放り投げた。おいおい、せっかくいい話してんだから、ポイ捨てはいかんよ。これも時代かな。
　新元号なんだろ。もう決め打ちなんだろうけど、まさか〇〇ニューエイジとかじゃないよね。