ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの評伝を2冊の後、彼女が大人向けに書いた小説を読んでいる。
小島で暮らす祖母と少女を描いた「少女ソフィアの夏」は、唐突に「おばあちゃんって、いつ死ぬの?」なんて聞いたりして、子供っぽい無邪気な毒が感じられる。
以前、「彫刻家の娘」とか1、2冊、読んだ時は、正直あまりピンとこなかったが、今回、トーベ・ヤンソンコレクション1「軽い手荷物の旅」には、すっと引き込まれた。
短編集だが、なにしろ冒頭の「往復書簡」では、噂に聞いていたタミコ・アツミそのひとが登場だ。
トーベは、ファンレターに必ず返事を書いていたというから驚きである。
夏に暮らしていた小島にファンが押しかけ、執筆や生活を邪魔されもしたようだから、相当なストレスもあっただろう。
アニメ化されたこともあって、ムーミンは日本のファンが多い。
タミコ・アツミというのは特定の人物ではなく、日本のファンを象徴する名前。
書きつのるほどに前のめりになっていくタミコに、作家は「作家と出会うのは、作品のなかでこそあるべき」と返す。
作家とファンに限らず、距離感って難しいね。
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