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暁のヨナ、クロスアンジュ感想。対照的なお姫様。良い姫とゲスな姫

【ネタバレ】【900本目】
2014年秋から2015年冬アニメの感想の続きです。
まだまだたくさんありますが、少しずつ書いていきます。

◎「暁のヨナ」(全24話)

総合評価3点(5点満点)。
2014年秋から2015年冬アニメ。大河ドラマのようで、この手のものはあまり好みではないので低い点にしましたが、物語や絵はしっかりしていますし、長い割には飽きたわけでもないですし、一般的には4点くらいかも知れません。また、ヨナ以外は美男子キャラばかりなので、少女漫画原作ということもあってやや女子向けなのかも知れません。

時々シリアス、時々コメディ、基本的にやや軽快な物語展開で、時々バトルを交えつつのヨナの成長物語であり、少しのラブコメ。

皇女ヨナ(cv斎藤千和)の幼馴染で従兄で、ヨナが好きなスウォン(cv小林裕介)が、王位につくためにヨナの父で国王のイル(cv赤城進)を殺し、ヨナも殺そうとし、ヨナの護衛官である幼馴染のソン・ハク(cv前野智昭)との逃避行と、身を守るためと復讐のために仲間を増やしつつの(特に、龍神の血を引く4戦士を探して仲間になる。)、時々世直しバトル。

最終24話後半、ヨナのスウォンへの好きという気持ちと父殺しへの憎しみからくる複雑な感情というのは、さすが、千和さんという感じ。


アニメジャパン2015にて。



○ お姫様なので世間知らずではあるものの性格が良くて、「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」(2014年秋から2015年冬アニメ。)のお姫様のアンジュとは大違いですが、アンジュの境遇とは雲泥の差なので、ヨナがアンジュと同じ境遇だったらそうならない保証はないわけで。


○ 21話。ヨナが売られる娘としてわざと捕まって船内で一悶着あったとき、悪い領主のヤン・クムジ(cv菅生隆之)をにらみつけた表情が凛々しいというよりはとても強い殺意と憎しみにしか見えなかったのですが。クムジは、野生の獣のような目、と評していました。22話ではクムジを弓矢で殺していますからとても強い殺意と憎しみでも構わないのですが、姫様であって(これまでもお転婆な言動や怖い表情はするものの)品のあるたたずまいでしたから、高貴な人格という位置づけにしておいてほしかった気も。

とても強い殺意と憎しみなんて、復讐という気持ちがあるということですから、この時点でもヨナがそうだというのも、復讐の連鎖を生むだけの物語になりそうで。ただ、自分の憎しみというよりは他人のことを思っての憎しみだったですし、自分が王宮にいたときには一般国民の窮状や役人の横暴を知らなかったということに自責の念を抱いていますから、憎しみに囚われたとしても戻るのは早いでしょう。

最終話、俺達の戦いはこれからだ、という終わり方でしたが、ヨナ自身やアニメの雰囲気からして、最後には憎しみの連鎖を断ち切って、幼馴染への思いの整理もつけて、弥勒菩薩のような優しく高貴な微笑みになるのでしょうかね。



◎「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」(・・・ろんど)(全25話)

総合評価3.5点(5点満点)。
狙い澄ました御都合主義の笑いの連続が見事。人によっては4から4.5くらいの評価をしそうですが、こういうのは嫌いではないですが、声優の豪華さで売っている部分も結構あるアニメなので、敢えてそこはマイナスです。

声優が豪華。自分勝手でゲスな女子キャラばかりなので、この声優からしてゲスなだけでは終わらないのではと思わせつつ、豪華声優で視聴者を飽きさせないように&豪華声優で視聴者をキャラ嫌いにさせないように、ということなのでしょうか。それはそれで成功していると思います。

アンジュ(cv水樹奈々)、サリア(cv喜多村英梨)、ヒルダ(cv田村ゆかり)、ヴィヴィアン(cv桑島法子)、ロザリー(cv石原夏織)、エルシャ(cv小清水亜美)、クリス(cv小倉唯)、モモカ(cv上坂すみれ)、サラ(cv堀江由衣)、タスク(cv宮野真守)、ジル(cv本田貴子)、エンブリヲ(cv関俊彦)など。



秋葉原ゲーマーズにて、前期ED曲を歌う喜多村さんの衣装。



○ 1話からヒロインが・・・2014年秋アニメでは作画を含めてかなりの美人キャラだと思いましたが・・・

平和で穏やかな王国の第一皇女のアンジュは国民の人気者。しかし、ノーマ(マナ(魔法のようなもので、「普通の人間」は持っている。)を持たない。)であることがバレ(親と侍女のモモカが隠していたのでアンジュは知らなかった。)、アルゼナルへ隔離されて竜と戦うことに。

最初の検査で下の穴から手を突っ込まれて体の中を調べられたようですが、調べる必要があるからしているのか、単に人間ではないことを認識させるための屈辱なのか、そこはよく分かりませんでした。

ノーマは人間ではなくて忌み嫌われているとか、アンジュも蔑視しているとか、だからこそ、自分はノーマではなく人間だと主張して皇女としての扱いを求めるとか、他のノーマには傲慢だとか。
アンジュは他の人間同様にノーマを化け物だと思っていて人間だと思っていないから、仲良くしようとも思わないし、3話ではアンジュを助けたり巻き添えになったりで隊長と新兵の3人のノーマが死んでも何とも思わないし。

ゴキブリや虫が死んでも人間は何とも思わないのと同様、人間の姿かたちをしていて感情があっても人間ではないどころか人間に害をなすとされるノーマがいくら死のうが、喜びこそすれ何とも思わないのは当然なことです。

アメリカのような奴隷制度があった国での奴隷が人間扱いされずに差別されるのが当然であるとされていたのと同様です(まあ、アメリカではいまだに有色人種への差別は残っていて、その差別は見えにくい場合も多いようですけれど。)。


○ 9話で、脱走したヒルダが実の母と妹に会いに行ったら、妹には恐怖の顔で罵倒され、母はいくらかの愛情は残っている様子でしたがノーマは化け物扱いですから恐怖で追い返すというのも、この世界では自然なことです。
人間が悪魔を生んでしまった、ノーマは悪魔である、といった感じでしょうか。

とは言え、ノーマの見かけは人間と同じですし、知的生命体なので、アンジュは少しの迷いというか少しの良心というかは感じている様子。

10話でアンジェが公開処刑されそうになったときに国民から罵声を浴び、「こんな連中を生かすために、私達ノーマは・・・」と思っていますが、自分も人間とされていたときは同じようにノーマのことを思っていたのに。


○ 歌いながら戦ったり、アンジュとタスクのHとか、アンジュとヒルダの口づけとか、ロザリーとクリスの口づけとかのレズも交えて、盛りだくさん。

竜は敵ではなく人間に搾取されている側だったり、結局はエンブリヲとそれに依存して考えない人間が悪かったり。

女たらしのエンブリオに惚れて味方になるノーマもいたり。

アンジュによるタスクへの超ラッキードスケベのサービスは抱腹絶倒のあり得なさ。終盤に近づくほどご都合主義も増えてきましたが、それが上手く笑いになっていて楽しかったです。


アンジュらの多くは、結局はゲスなままというのも、逆にスッキリしていてよかったです。


○ 最終25話。エンブリオを倒して、アンジュが、本来の地球に「国を創るわ、ここに。私達だけの国、ノーマも人間もドラゴンも関係ない。みんなが自分の意思で生きる、厳しくて当たり前の国。」、
ヒルダ「あたしは、あんたと一緒に行くよ。どこだってさ。」、
モモカ「それはわたしの仕事です。」、
前にいた地球のことを聞かれてアンジュ「知ったこっちゃないわ。エンブリヲは死んだ。これからはもう、誰も導いてくれない。自分達の力で生きていかなければ、野垂れ死ぬだけよ。」、
モモカが少しためらいがありそうな口調で「そう、ですね。」、
アンジュ「さあ、私達も行きましょう。自分の道を、自分の足で。」。

そんなアンジュに、「イエス、マム!」と言って付いていくことにした皆というのは、少し引っかかりました。

エンブリヲが思い通りになる世界と女性を望んでそれ以外は否定し、自分で考えずにいた別の地球(アンジェらが前にいた地球。)の人間などを見捨てたかのようなアンジェでしたが、結局はアンジュに従う人々と共にアンジュに従う人が多い国を創ることになりそうで。

一方、アンジュが前にいた地球では、妹のシルヴィア皇女(cv東山奈央)が皆と一緒に戦っていて、皆を率いている感じで、「死にたくなければ、戦いなさい。」と殺されかけた人を助けてからさとしていて、それは自分で考えろと言っているようであり、自分の足で立っている感じ、自分の足で立つことを促している感じがあったり。

いつの間にか、自分の意思で生きるかどうかが、逆転したような感じ。



【shin】
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