8月22日から1週間、デンマークに出張してきました。
「高齢者の自立支援に向けた介護予防やリハビリテーション等についての国際比較研究」の調査・研究委員として、「おしごと」で、行ってきたわけです。
当法人からは、伊藤功院長と私の2名が参加しました。
介護予防やリハビリテーションの調査結果については、報告書を見ていただくとして、ここでは「デンマークで驚いた5つのコト」について書いてみますね。
せっかくの機会ですので、ちょっと長いのですがお付き合い下さいませ。
【その1:自転車に驚いた!】
まず、道路にはどこに行っても「自転車専用レーン」があります。(青ラインの所)
そして、いろんな種類の自転車が走っています。
ちなみに、ショップライダー(日本で言うシニアカー)もこの自転車レーンを走ります。
レンタルバイクもたくさんあります。
駅の自転車置き場はスゴい事になっていました。
カーゴバイクという実用車も多く見かけました。う〜ん・・・欲しい。
配達や出店でも大活躍でした。
【その2:電車で驚いた!】
私自身、鉄分多めなので、電車にも興味津々でした。
電車そのものも、なかなか格好良いですね。
驚いたのは、改札がないこと。駅のホームには、誰でも自由に入れます。チケットを持っているかは、時々やってくる強面のチェックのおじさん達。チケットがないと罰金2万円だそうです。
何より、電車に自転車ごと乗るのは、驚きですよね。
そして、車両の中には、クワイエットゾーンなるものもあり、みなさん静か〜に読書などしていました。
【その3:コペンハーゲンの街に驚いた!】
コペンハーゲンの街並みは、古い石造りの建物と、新しいビルとが融合した街。
チボリ公園は夜までやっていてにぎわっています。
運河の中を巡るクルーズ40DK(約680円)は、超オススメです。(高いのもあるので注意)
小さな街なので5kmも走ると、人魚姫にも会えますよ。
【その4:ICTやガジェット好きに驚いた!】
デンマーク政府は、ペーパーレス化、福祉サービスの電子化、公的部門間の連携強化を柱とする「電子政府戦略」を推進しているので、どの施設に行っても机の上に紙が山積みになっている事がありません。
例えば、訪問看護のオフィスでは、ノートパソコンとモニタによる2モニタで作業効率を上げつつ、とにかく紙が少ない・・・。そして、もう一つ、固定電話がどこの事業所に行ってもありません。「モバイルフォン」だ、そうです。
社会のICT普及率が高い環境なので、行政の手続きなどもパソコンとネットワークが欠かせません。よって、地域の高齢者が集まる「活動センター」においても、パソコン教室が大人気なんだそうです。
リハビリテーションの現場でも、様々な機器が活用されています。
例えば、理学療法士が経営する民間のリハセンターでは、チェックインや個人別のトレーニングメニューはICチップで管理されています。右下の女性の右腕の赤いリング、ここに個人認証とプログラム記憶がされているそうです。
スタッフコールは、部屋だけではなく、必要に応じて、個人が着けていました。
また、外来リハセンターでも、いろんなトレーニング機器を開発・活用していました。
こちらはICURAという、自宅でトレーニングを自分で行うための道具。
手足にセンサーを付けて、アプリケーションの言うとおりに自主トレーニングを行う事で、トレーニングメニューを正確な内容、回数で行え、かつ外来リハセンターに通う回数を減らす事が出来る・・・などのメリットがあるそうです。
ビデオでも紹介されていましたので、参考になりますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=gk_iMPyzU9A
別のリハビリテーションセンターでは、「石畳トレーニング」というのを開発していました。LEDで発光するタイルを床に敷いて、点灯する順にそれを踏んでいき、移動動作やバランス能力の向上に活かすものです。
どちらも、自施設の利用者の特性にあわせて、トレーニングを効果的に行うツールの開発をしているんだなあ・・と感心しました。
【その5:価値観・仕組みに驚いた!】
よく聞く話に、「ヨーロッパでは成人すると独立する」という話がありますね。ですので、デンマークでも、高齢者はほとんど夫婦または単身で暮らしています。介護施設は廃止され、徐々に高齢者住宅に移行しています(エルダボーリ:自立型高齢者住宅とプライエボーリ:介護付き高齢者住宅)。・・・て、事は、病院を退院する時は全部自宅退院??
滞在中、「仕事の仕方が変わったから・・・」という言葉も聞きました。北欧は日照時間の関係でうつになる人が多いそうですが、そんなこんなで、働き方に関する決まり事がいろいろあって、「働き過ぎないようになっている」そうです。そういえば、医療・介護・行政など、様々な所で調査を行いましたが、お仕事をしている人は、ほとんど女性でした。きっと女性が仕事をしやすいようになっているんですね。
決まり事と言えば、こんなルールもあるそうです。「高齢者は活動的な毎日を送る必要がある」、「労働時間内に、運動する時間を組み込む必要がある」、「何らかの介護サービスを受ける前に、リハビリテーションを受けなければならない」、「ホームヘルプを受けている人は、その時間内でトレーニングを行う事が義務づけられている」、「65〜74歳の何らかの問題がある人や、75歳以上の人は、家庭訪問による生活状況のアセスメントを受けなければならない」。これらを「法律による規制」と表現していました。日本で規制と聞くと、「〇〇してはならない」という形を想像しますね。この価値観の違いに驚きました。
徹底して「予防」に重点を置き、医療や介護を必要とする状態にならないように、前倒しで様々な働きかけを行っていました。そして、自助・互助の考え方が規範として浸透しており、かつ、医療も介護も予防分野も全てにおいて、共通の一貫したマネジメントを行政が中心になって行っている様子に、自分たちの仕事をしている地域では、どのようにしていったらいいだろう・・・・と、色々と考える時間になりました。
最後に、一緒に調査に行ったメンバーと記念の一枚です。このような機会をいただいたこと、ならびに職場で支えて下さった皆さんに、感謝いたします。ありがとうございます。
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