音楽ボランティアSWIMGの歌手紙&老いぼれの戯言
日本の歌 心の歌「エッセイ コンテスト」
最優秀賞 東京都 後藤幸子さんの作品
いつの頃の作品かもわかりませんが、本棚を整理し
見つけた1枚のコピーです!!
以前にGOO BLOGに投稿したときのコピーだと
思います。
私と同級位の年齢の方と思われます。
書かれている内容が見聞き経験したことと全く
同じような内容だからです!!
本文
心の歌「仰げば尊し」
入退院の繰り返しで、外出もままならない私は
空をキャンパスにして、雲のクレパスで魚を泳がせ、
花を咲かせる。「早春賦」や「赤とんぼ」「里の秋」などの
唱歌や童謡を口ずさめば心和むひと時となる。
そんな私に、夫が1枚のCDを買ってきてくれた。
忘れられない心の歌「仰げば尊し」その中に
収められていた。
もう、50年前(65年前)以上の昔のこと、中学1年の
夏休み前のことだった。お弁当を開いていると
「今日も恵ちゃんおらんよ」と話し声が聞こえた。
恵ちゃんの家はお父さんが戦死され、病弱のお母さんが
近所の農家のお手伝いをして暮らしていることを初めて
しった。
新聞紙にくるんだサツマイモがが弁当代わりの人も
いた時代のこと、多分それもなかったのであろう。
私は急ぎ昼食を済ませて、校舎の裏側に出てみた、
しゃがみこんで地面に何かを書いているらしい
恵ちゃんの後姿は、あまりにも寂びしそうで声を
かけることが出来なかった。
翌日、弁当をおにぎりにしてもらい、包みを二つにして
持っていった。一つを人目を避けて恵ちゃんの机の中
に入れ周りに気づかれないように伝えた。
恵ちゃんは下を向いたまま「平気じゃ、心配せんで」と
怒ったように言った。
その日昼食の席に彼女の姿はなかった。
自分がとてつもなく嫌な子に思えて悲しく、帰り道はいっそう
遠くにかんじられた。
2年生になるとクラス替えがあり。、私は少しほっとした。
卒業式の朝、恵ちゃんに呼び止められた。
「おにぎりありがとう。あの日は食べんで家に持って帰ったよ
弟が美味しそうに食べたとよ。嬉しかったーあんたの
優しかったことわすれんよ!」
「仰げば尊し」・・・・15歳の少女は涙をポロポロ流しながら
歌った。懐かしくも思い出の1曲。
昨年届いた同窓会だよりの名簿から恵ちゃんの
名前は消えていた。
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